たぶん、みんなイライラしている
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
1月2日、八王子の実家に行くため京王線に乗っていた。
車内は高尾山や高幡不動へ行く初詣の客で混雑している。
ふと妻が言う。
「今年の干支って何だっけ?」
今更なに言ってるんだろうと思ったが、自分でも思い出せない。
あれだけたくさん年賀状を見ているのに。
「さあ…」
「じゃあ、去年の干支は?
それがわかると今年の干支もわかるよ」
「さあ…」
しばし二人で考え込んでいると妻があっと言う。
「そうだ。去年はネズミじゃなかったっけ。私の齧歯類好きの友だちが喜んでいたから」
「なんだよ、その齧歯類好きの友だちって。だいたい齧歯類だったらウサギかもしれないだろ」
「あ、そうか…」
周囲の人はたぶん、みんな、ものすごくイライラしていたことだろう。
「今年の干支は×だよ!」と喉まで出かかっていたにちがいない。
ついでに去年の干支も教えたかったにちがいない。
てなことがあり、ツイッターにも書いた。
しかし、これでまだ終わりじゃなかった。
昨日、プールに行ったら、獣医をしているK先輩が言うのだ。
「ウサギはね、齧歯類じゃないんですよ」
「え?!」
「前歯が2本あるけど、実はその裏に小さな歯がついていて、
齧歯類じゃないと判断されたんです。ずいぶん前に」
そうだったのか。全く知らなかった。
ツイッターを読んだ多くの人は「また違ってるよ」と思ったのだろう。
でもわざわざ指摘するのも大人げないから、あるいはもう相手しきれなくて
放置したのだろう。
今年も間違うことからスタートした我が家である。
関連記事
-
「間違う力」と「巻き込まれる力」
話すと長くなるが、成り行きで、ソマリランドの新聞に日本の中古車輸出会社の広告を載せるという仕事をやっ
-
タイの懐メロを熱唱してしまう
こちらに来て初めて飲み会に行った。 「アジアの雑誌」編集長の夢野狂作夫妻、同誌で辺境レポー
-
『放っておいても明日は来る』本日発売
一週間で本が二冊出るなど、初めての経験だが、 『放っておいても明日は来る』(本の雑誌社)、通称「アス
-
異国トーキョー漂流記
先週、中島京子さんより初の生メール(?)をいただいた。 「高野さんの『異国トーキョー漂流記』を朝日
-
飲み放題トークイベント
一昨日、神保町に行ったら、いつの間にか東京堂書店が2軒とも様変わりしていた。 一件は女性のファッシ
-
まんせーむーのうあんあん
「本の雑誌」で今度は、大槻ケンヂ氏と「マンセームーノー対談」。 オーケン博士の分析によれば、人は誰で
-
謎の国際ボランティア特殊部隊@浦安
後輩Kとネパール人のクマルという国際統合失調症コンビを引き連れ、 浦安市の被災地へボランティアに行っ
- PREV :
- 今年からノンフィクション作家
- NEXT :
- イギリスにもタマキングがいた!
Comment
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 6.0; YTB730; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30618; .NET4.0C)
間違いが発覚してこそ、事実が分かるというものです^^
私も勉強になりました。
あ。。。2011年度高野秀行選出、ノンフィクション第1位の本。。。
まだ読み始めておりません^^;
なんだか、本から『殺気』を感じて、なかなか読めません(@@;;;
マジで。。。