移住するなら盛岡がいい
公開日:
:
高野秀行の【非】日常模様
先週の土曜日、盛岡市のMORIOKA TSUTAYAでのトークイベントに行ってきたのだが、盛岡の読書環境の豊かさには
驚かされた。
この店は全国のTSUTAYAでも二番目に大きな店舗だそうだが、品揃えの豊富さ、ゆったりしたスペース、子供が遊べる場所を玩具売り場のそばに設けて、家族連れが楽しめるようにする作り、店内のカフェでは商品の本を自由に読めるなど、
まあ、本好きにとっては至れり尽くせりの夢のような空間である。
すっかり感動し、いつもは読まないアメリカ文学のハードカバーなんぞを買ってしまった。
しかし、盛岡に感心するのはまだ早くて、JR盛岡駅構内には「さわや書店フェザン店」というのがあると
親切にもTSUTAYAの社長ご本人が入口まで案内してくれた。
私も名前だけは知っていた。ツイッターでよくツイートが流れてくるので、
「どうして盛岡の書店がこんなに影響力をもってるんだろう?」と不思議に思っていたのだ。
行ってみると、店の内外に本の紹介というかレポートというのか、模造紙にマジックで書かれた熱い文章が
びっしり貼られており、こんなのは東京都内はおろか、他の地域でも見たことがない。
まるで学園祭のようで、なるほど、さわやフェザンが尋常な店ではないことがよくわかった。
こっちでは、これも今までまったく手をつけてなかった吉田修一の文庫を購入。
盛岡は料理もひじょうに美味しく、東京都内にも存在しない魅力的な書店が二店舗もあり、
もしどこかに移住するなら盛岡と勝手に決めたのだった。
☆ ☆ ☆
拙著『世にも奇妙なマラソン大会』(集英社文庫)が18日、今週の金曜日に発売になる。
このゲラを読み返して気づいたのだが、『謎の独立国家ソマリランド』を書いていたとき、
西サハラも未確認国家だということをすっかり忘れていた。
しかもこちらは世界50カ国くらいで承認されており、ソマリランドよりはるかに国際的には認められているのに。
ともに砂漠の遊牧民であり、比較すると面白いはずだ、とこれまた今頃気づいたのだった。はあ。
関連記事
-
鬼のミイラと地震予知動物
「未確認思考物隊」の仕事は続く。 先週は大分県宇佐市にある「鬼のミイラ」(写真・右)と 「地震予知動
-
無許可チムスルウォンとは何か
『腰痛探検家』の韓国語版(パク・スンヒ訳、Bookie出版)が刊行されたらしい。 韓国で本を読
-
療養中の人にはアスクル?
「アスクル」、売れ行きはどうかわからないが、 評判はいい。 amazon.comでも、私の本の中では
-
マンセームー脳人間、読書界へ進出!
学研「ムー」的なものに脳が染まってフリーズしてしまうという恐ろしい状態、 それが「慢性ムー脳人間」。
-
オーケンが語るジャナワール
9月20日(木)深夜25:05から放映される関西テレビの音楽情報番組「MUJACK」で 大槻ケンヂ
-
『メモリークエスト』続編決定
二日酔いのまま、笹塚で杉江さんに会って、定例の放談会。 本の雑誌社の女性スタッフが、『メモリークエス
-
「アヘン王国」復活?!
知人から「アヘン王国」関係の情報を教えてもらった。 「黄金の三角地帯」でアヘン生産が激増しているとい
-
アラジンは中国人だった!?
旅のトリビア「たびとり」はまったく反響がなかったが、懲りずに最近驚いたことを一つ。 山田和『インド
- PREV :
- 4月12日は土曜日
- NEXT :
- 本日発売。自分にとっては世にも奇妙な本