*

「野々村荘」にほんとに復帰

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

ワセダの「野々村荘」(仮名です、念のため)の部屋が空き、
ちゃぶ台をもって初めて行ってみた。
アパートは古いが全然ぼろくなく、ほんとうにしっかりしたいい造りだ。
もう文化財の域に入っているんじゃないか。
そして三畳間は、私がまさに8年間住んだ部屋なのだが、
記憶の中よりずっと広くてびっくり。
なぜかというと、モノがないから。
住んでいるうちに本とか本棚とかコタツとかラジカセとかいろいろモノが増えたのだ。
何もないと広い。
隠れ家の感じがすごく心地良い。
それは紛れもなく、20年前、初めてこの部屋を訪れたときの感想であり、
なんだか自分がまだ未来も正体も不明な大学5年生であるような錯覚に陥った。
夜、その部屋に友人が二人遊びに来る。
二人ともあまりの居心地のよさに感心していた。
一人は扇風機を持ってきてくれた。
よし、次は冷蔵庫だな…とか思っているのだが、
私はいったいここで何をしようとしているのだろう。
それが謎だ。

関連記事

no image

イスタンブール無事到着

昨夜8時ごろ、ようやくイスタンブールに到着した。 東京の自宅を出て、36時間後のことだ。 なんでも一

記事を読む

no image

在日外国人支援ボランティア

世界中の人たちに二十五年もお世話になりつづけている。 そろそろ何か恩返しをしなければと思い、 在日ア

記事を読む

no image

チェンマイに行きます

二日前、チェンマイにいる知人が病気で重篤な状態にあるという知らせを受けた。 ビルマ(ミャンマー)の反

記事を読む

no image

留守中はウンコと小便に任せた!

これから羽田、関空、ドバイを経由してテヘランに行ってくる。 現地でもこのブログの更新をするつもりだ

記事を読む

2014年に読んだ本ベストテン

新年あけましておめでとうございます。 昨年はほんとうに忙しかった。というか、その慢性多忙状態は

記事を読む

no image

「メモリークエスト」は奇書になる

「メモリークエスト」を担当する幻冬舎の編集者2人と打ち合せ&お疲れ様会。 この一ヵ月、頭がどうかし

記事を読む

no image

前代未聞の藤沢周平ベストテン

『本の雑誌増刊 おすすめ文庫王国2007年』が発売された。 私はこの中で、なんと藤沢周平の全作品か

記事を読む

no image

ヴォイニッチ写本の謎

エンタメノンフフェアで買い込んだ本を読んでいて仕事にならない。 佐藤あつ子『もう一度会いたい 思い

記事を読む

no image

天下一とはすでにプロレス

好村兼一『伊藤一刀斎』(上・下、廣済堂出版)読了。 『行くのか武蔵』(角川学芸出版)がよかったので

記事を読む

no image

ああ、間違えた

どうやら大変な間違いを犯してしまったらしい。 なんとしたことか、某社の依頼で「生き方本」を書いてしま

記事を読む

Comment

  1. 植原要介 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    高野さんの「野々村荘」にほんとに復帰。
    記載から5日もたって、まだ誰もコメントなし?
    高野さんはスパースターになってしまったと思っていましたが、
    少し安心しました。
    辺境・幻獣ファンが多くて、ワセダ三畳には皆さん興味ないのかなー?
    高野さんにお願いします。私は、以前の高野さん3畳部屋の人間跡(壁に染み付いたシミ)を載せて頂きたくお願いします。
    植原 要介

  2. fjsm より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    つい先日、久しぶりに『ワセダ三畳』を読み直していまして、
    以前の印象と変わらずしみじみ良い本だと思いました・・・ので
    これまた久しぶりにこちらを除いてみたら
    エー!戻ったのですね!!
    ジョニーサンダースがCBGBに戻ってきたような・・ってどっちももう亡いか。
    でも、こういうのって大いにアリだと思います。
    思い出の場所が変わらずにあるって素晴らしいことですし、
    そこをまた日常として味わえるなんて大人になって良かったって感じ。
    本が出た当時、もうアパートが無くなってしまったから執筆したのかな〜
    なんて思っていましたが、ここまで現役とは嬉しくなっちゃいますね♪
    遊びに行きてーなー

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑