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レシュモニュ、TAM日本初ライブ – アサ・ネギシのページ/Music Raja
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マレーシア・ライターの見聞録

レシュモニュ、TAM日本初ライブ

 マレーシア切ってのR&Bアーティスト、レシュモニュのハイライトとなる10月21日(金)の記録。
 
 ちょっと間が空いてしまったのは、アサ・ネギシの帰マレーシアが24日の深夜になってしまったこととが原因だが、読み進んでいただければ即更新とならなかった理由の一端も窺い知れることになると思う。
 さて、DJ Fuzzとパーカッショニスト、アロンゾが加わり、マネージャー代行のジミー・タン氏を加えて4人となったレシュモニュ一行。この4人がスゴイ。
 何がすごいというと全員人種がバラバラなこと。レシュモニュはインド系、ジミー氏は中華系、DJ Fuzzはマレー系とマレーシア三大民族が揃い踏みしている上に、アロンゾはコロンビア人と来ている。宗教的にはキリスト、イスラム、ヒンドゥー、仏教と世界4大宗教。言語的にも英語、中国語、スペイン語、マレー語と世界の4分の3ぐらいは軽くカバーしそうだ。
 しかし日本は彼らのカバーしない4分の1に含まれているのはなんとも皮肉なことだ。

さてDJ Fuzzはターンテーブルのメーカー、ベストボックスとパイオニアのDJコンテストで優勝歴のある凄腕。アロンゾもマレーシアでラテン・ジャズバンドのメンバーとして名をはせている。

 エンジニア出身のレシュモニュは地元の凄腕ミュージシャンにもいいコネを持っているのだ。
 ホテルを出て霞ヶ関の官庁街と皇居のお堀を車窓に望みながら東京アジア・ミュージック・マーケット(TAM)会場の代官山UNITへ。レシュモニュはジョギングを習慣としているので、「皇居の周りをジョギングしたい」とのこと。以前はコーヒーに4杯は砂糖を入れる甘党であったが、節制と運動でシェイプアップを心がけているとのこと。人前に出るプロ魂もさすがなもの。
 とは書いたものの、車内での話題は文字にできない男どもの話題。この辺は人種が違っても万国共通。とにかくリラックスムード。
 会場入りしてまず一番にチェックしたのはアロンゾのパーカッション。前夜まで楽器が揃っていることが最後まで心配だったが、日本人の約束したことはきっちり果す姿勢に感服した様子で、一行も胸をなでおろす。
 代官山UNITで楽屋入りしても終始リラックスムード。レシュモニュは持ち前のフレンドリーさで同じ日の出演者との歓談に余念がない。他の三人は、またもや男同士の話題。他の出演者はやはり緊張しているのにこのリラックスムードはどこからくるのか。
 リハーサルを前にレシュモニュは『Pop Asia』誌などのインタビューをこなす。ちょっとしゃべりすぎる嫌いはあるものの、レシュモニュは質問に対し、的確に回答をしているのが印象的だった。
 そしてリハーサルに。
 レシュモニュは出演前に「Hey Waley」のビデオクリップを流すことを要望。しかし、字幕に出す名前のスペルが間違っていることに気がつく。
 しかし、その問題は後回しとステージに。要望はきっちりとだしながら、音響スタッフと和気藹々とした雰囲気でステージの仕込みに余念なし。ここでレシュモニュは昨日会ったばかりのパキスタン人の友人をステージに上げるという。今時点ではアサ・ネギシもレシュモニュがどんな仕掛けを用意しているかを汁余地も無かった…。
 リハーサルが終わったころには、スタッフの尽力で字幕のスペルも正しく修正。また、日本式仕事に一行は感服する。

 そして迎えた本番。「Hey Waley」のビデオクリップが映し出され、場内は好奇の目と期待感に包まれる。きっちりビデオの終わりと同時にレシュモニュ切ってのキャッチャー・メロディーの「Walk Away」の演奏が始まるがレシュモニュの姿は中央にあらず。
 千両役者のレシュモニュは舞台右手の階段に座ってスポットライトに照らされて登場。ソウルフルな歌唱で出だしから飛ばしていく。束ねたドレッド・ヘアーに袴のような衣装をまとった異形からは想像できない美声で早くも観客を掴んでいく。後半はファンクっぽいアレンジで心地よいのメロディーを聴かせる。
 第一声は覚えたての日本語で「元気ですか」。メンバーを紹介してからアップテンポな「It’s You That Matters」に。同曲は今となっては幻となったインディー・レーベルからのデビュー作では冒頭を飾る曲。レシュモニュはこの曲で本国の成功の第一歩ステップを踏み出したといってよかろう。アロンゾのパーカッションから始まるアレンジ。この曲でもレシュモニュはソウルフルな歌いっぷり。間奏でもアロンゾのラテンのリズム小気味よくソロで聴かせる。同曲に彩を添えるパーカッションによる間奏の妙味を十二分に引き出したアレンジだ。

 ここでレシュモニュはMC。ここでステージに登場したのがくだんのパキスタン人の青年のムティさん。レシュモニュがムティさんの首の辺りでスイッチをひねる動作をするとムティさんが日本語をしゃべるという趣向。やはりまだ容姿が日本人に似ていない外国人が日本語をしゃべると日本人が驚くことを短い滞在で観察しているところはさすが。どんな仕込みかを知らなかった関係者も感服させられる。 
 ムティさんの口を通じてレシュモニュは「日本は今まで訪れた国で一番すばらしい」、「音楽は世界の共通語」とメッセージを伝えていく。そしてレシュモニュが取り出したのは昨晩の『鳴尾』でもらった拍子木。「今度は日本のトラディションのリズムを聞かせてくれ」と拍子木に合わせて拍手を要求。観客の手拍子のテンポが遅れると腕時計を見るしぐさでからかう。コミュニケーションまで計算に入れたショーマンシップに観客はどんどん引き込まれていく。
 続いて披露されたのはマービン・ゲイの「Sexual Healing」。本国では聴く機会がないカバーだが、愛唱いていることが一聴してわかる出来だった。

 そして必殺のパーティー・ナンバー「Hey Waley」へ。DJ Fuzzのターンテーブルのスクラッチが炸裂し、様子見の観客もリズムに体を揺らし始める。なんだかわからないうちにこの曲の無国籍なグルーブの虜になり、レシュモニュの音楽のマジックの術中にはまっていく。会場でこの曲を聴いた観客は間違いなく未曾有の音楽体験をした初めての日本人になった。
 完全に観客を掌握したレシュモニュはここでもお遊び。DJ Fuzzを引きずり出し、頭を小突いてアロンゾに音を出させるパフォーマンス。ちょっとギャグに走っている嫌いはあったが、観客は分かりやすいパフォーマンスで楽しんだ。お遊びの部分からアロンゾが凄腕のパーカッション・ソロを披露。ここでもレシュモニュは、DJ Fuzzと一緒に水を飲んだりして「早く終われよ」的な突っ込み。しかし、観客はアロンゾに大声援を送った。

 最後を飾ったのはビートとメロディーのバランスが絶妙のナンバー「Like This」。ここではDJ Fuzzが持ち味をいかんなく発揮。打ち込みによる「Like This, Like That」のフレーズが独特のリズムを生み出しながらもきっちりした歌メロもあるこの曲を心地よく酔わせるアレンジで聞かせてくれた。
 幕引きもレシュモニュから舞台を去り、アロンゾ、そしてDJ Fuzzと続き、全員が姿を消した後のステージにDJ Fuzzが舞い戻り、器材のスイッチを切るというユーモラスな演出だった。
 30分という短い時間だったが、レシュモニュの魅力がたっぷりと詰まった濃密なステージだった。
 それでもレシュモニュがほっとした表情を見せたのは、自ら関係者にステージの感想を尋ねた後だった。業界の人も多く、けっしてノリがよい観衆とはいえなかったが、関係者の感想が概ねよかったことでレシュモニュはこれだけやれたという充実感に浸れたようだった。
 さて、代官山UNITを後にしたレシュモニュ一行は渋谷のクラブハウス2軒、六本木のパブ1軒をはしご。関係者やその連れなど最後は11人に膨れ上がり、誰が誰だか全員が把握できない団体で打ち上げ。普段はお酒を飲まないというレシュモニュも特別な夜とあってビールやテキーラなどのグラスを傾ける。終わってみれば5時まで痛飲。
 ジミー氏が「レシュがこんなに飲んだのを見たのは初めて」という東京の夜だった。

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