マレーシアはアセアンの自動車王国である。
もちろん、プロトン、プロドゥアなど国産車があり、現在のところ人口比に対する国内販売数と生産台数では、タイ、フィリピン、インドネシアよりも高い数字となっている。
ただ、人口が2千500万人と4カ国の中では最も少ないことがモータリゼーションの高さとなって指標に反映されている。
しかし、タイがホンダなど大手製造メーカーが生産拠点とするなど、生産力も伸びてきているので、タイがその位置を奪うのも時間の問題だろう。
今日もやっぱりマジメな経済の話ではなくて、そんな自動車好きの国の事情。
マレーシアには一般車両には車検はない。車の所有者が更新しなければいけないのは、道路使用税(通称、ロードタックス)。フロントガラスの窓にこのロードタックスを支払ったことを示すタグを添付しなければならい。
ちなみにこのロードタックスのタグは、シール状でフォログラムが入っている。1回貼り付けると剥がせないようになっており、偽造防止になっている。
このロードタックス、強制保険の更新をしないと道路交通局(JPJ)から発行してもらえない。また、警察の検問では、ロードタックスの有効期限を第一にチェックするので、マレーシア人が最もきちんと納めている税金のひとつだといっていい。
ちなみにこのロードタックス、エンジンの大きさによって料金が変わる。累進課税的な体系で、2000cc以上だとぐんと高くなる。また、4輪駆動車でも高い。
まだ途上国的に贅沢品や嗜好品の税率を高くしているようだ。
マレーシアで自動車の価格は、一概に高い。昨年からアセアン自由化協定の発効で関税率の引き下げが行われているが、一般的な1500ccのセダンでも国産プロトンで5〜6万リンギット、日本車だと7〜8万リンギットぐらいの価格帯となっていることからわかるように国産メーカー保護の関税制度なのだ。
アセアン自由化協定協定の発効は00年を予定していたが、国産車メーカーがあるがゆえにマレーシアが強硬に反対し、05年まで引き伸ばした事情がある。
しかし、今年からアセアン内で組み立てられた車両の関税を廃止しなければならなくなり、国産車メーカーは本当の競争にさらされることになる。
それで今回話したいことは、車をローンで買う場合のほうが便利なことが多いという現象について。
ロードタックスの更新には、強制保険の更新が必要であると書いたが、ローンで車を購入している場合、ファイナンス会社が新しいロードタックスのタグを取得する業務を代行してくれる。というのも、ローンで購入している車はファイナンス会社が車両登録証を担保として保管しているからだ。
ボクはローンを払い続けるのがイヤになり、一番安いプロトンの車を買った。それでロードタックスが切れる頃になると、保険会社で支払いをし、車両登録証を持って郵便局にロードタックスのタグを発行してもらいに行かなければならない。ローンの場合は、ファイナンス会社が提携している保険会社への支払いもロードタックスの支払いも一括してくれるし、新しいタグを届けてくれる。
人からお金を借りている人のほうが待遇がいいということだ。まぁ、利息にその代金が含まれているのだから当たり前なのか。
もうひとつ腑に落ちないのは、ローン途中で車を転売する場合の方が、転売価格が高いということ。
ボクは、この事実を知るにいたって、人にお金を借りないことという家訓(そんな偉い家でもないのだが…)から生まれた性分に虚しさを感じるまでになった。
中古車買取業者の理屈はこんな感じだ。
ローンの車は、実質的な所有者はファイナンス会社であり、買手である中古車買取業者と売り手であるファイナンス会社間の取引となる。
中古車買取業者は、とりあえずファイナンス会社に対してローンの残高を支払えば車の所有権を持つことができる。
例えば5万リンギットの相場の車があり、2万リンギットのローンが残っていたら、中古車買取業者はとりあえず2万リンギットをファイナンス会社に支払えばいいと考える。
中古車買取業者から車の所有者への支払いは、実際に車が売れてからということにしておけば、2万リンギットの元手で商売ができるということだ。(もちろん、新たに車を売った相手がローンを引き継ぐということになれば、さらに元手が少なくて済む)
しかし、ローンが完済している場合やローンを利用しなかった場合は、買手である中古車買取業者と売り手の車の所有者の取引となり、中古車買取業者の元手は5万リンギットとなる。
中古車買取業者は、その元手が大きくなるのを嫌い、売り手である所有者から転売価格を値切るというのが理屈。
まぁ、穴だらけの理屈なのだが、堂々と通用してしまうようだ。
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ちょっと遠出いたします。
更新は2、3日、お休みです。