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第20回マレーシア映画祭結果 – アサ・ネギシのページ/Music Raja
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マレーシア・ライターの見聞録

第20回マレーシア映画祭結果

 昨晩(4日)、行なわれた『第20回マレーシア映画祭』の結果を。

 今年は、前評判通りインド人、カビール・バティタ監督の『CINTA』と女性監督スハイミ・ババの『WARIS JARI HANTU』の対決となった。 
 最優秀作品賞に『CINTA』、最優秀監督賞にスハイミ・ババが獲得した。スハイミ・ババは、昨年の『Pontianak II』に続く連続受賞。『WARIS JARI HANTU』は、ルスディ・ラムリの最優秀男優賞など計4部門、『CINTA』もダト・ラヒム・ラズリの最優秀助演男優賞など計4部門受賞と互角の結果なった。
 今回健闘が目立ったのは、外国人監督オリバー・ノットの『THE RED KEBAYA』。主演のバニーダ・イムランが最優秀女優賞を受賞したほか、最優秀衣装作品賞など計3部門を獲得した。
 注目のヤスミン・アーマッド監督の『MOHKSIN』は、主演のモハメッド・シャフィが最優秀新人賞を獲得した。相撲をテーマにした『SUMO LAH』は、6部門でノミネートされたものの、無冠に終わった。
 今年の傾向としては、『CINTA』のカビール監督が象徴されるように外国人が監督する作品が出てくるようになったことが映画産業の好調さをうかがわせた。また、最優秀デジタル作品賞を受賞した『CHALANGGAI (DANCING BELLS)』のようにタミール語作品も評価された。また、私立美術学校の作品である『HELPING HAND』が最優秀アニメーション賞を受賞したように評価の対象も広がっている観がある。
《受賞者と作品》
最優秀作品賞 『CINTA』
最優秀監督賞 スハイミ・ババ 『WARIS JARI HANTU』 
最優秀男優賞 ルスディ・ラムリ(Rusdi Bin Ramli)『WARIS JARI HANTU』
最優秀女優賞 バニーダ・イムラン(Vanidah Imran) 『THE RED KEBAYA』
最優秀助演男優賞 ラヒム・ラズリ(Rahim Razali)『CINTA』
最優秀助演女優賞 アゼアン・イルダワティ(Azean Irdawaty) 『WARIS JARI HANTU』
最優秀新人賞 モハメッド・シャフィ (Mohammad Syafie) 『MOHKSIN』  
最優秀台本賞 ミラ・ムスタファ&アラ『CINTA』
最優秀原作賞 スハイミ・ババ 『WARIS JARI HANTU』
最優秀撮影技術賞 カリッド・ザキラ 『PUAKA TEBING BIRU』
最優秀編集者賞 アカシュディープ・シン 『CINTA』
最優秀映画音楽賞 シャムスル・チャイエル 『WARIS JARI HANTU』
最優秀芸術監督賞 ナズルル・アシャラフ『PUAKA TEBING BIRU』
最優秀効果音賞 Addaudio Ex 社  『THE RED KEBAYA』
最優秀テーマ曲賞 「Cica-Man」 『Cica-Man』
最優秀衣装作品賞 『THE RED KEBAYA』
最優秀ポスター・デザイン賞 『THE RED KEBAYA』
最優秀デジタル作品賞 『CHALANGGAI (DANCING BELLS)』
最優秀ドキュメンタリー作品賞『JEJAK RASUL – MUHAMMAD S.A.W EPISOD – ISRAK MIKRAJ』
最優秀アニメーション賞 『HELPING HAND』
最優秀短編作品賞『PINTU』
最優秀非マレー語作品 『POSSESSED(纏身)、広東語』


 と、以上がレポートなのだが、私的、かつ蛇足を。
 スハイミ監督の『WARIS JARI HANTU』は、昨今のホラー・ブームを意識したスリラーらしいが、キャストが監督の前作である『Pontaianak』と同じこともあり、興を引かなかった。(つまり観ていません)
 でも、最優秀助演女優賞のアゼアン・イルダワティ、乳がんの治療か髪の毛を剃った痛々しい姿で映画祭の舞台に登場した姿が印象的だった。(スター紙記事参照
 『CINTA』は、レビューしたように編集の妙が冴えた作品で、編集者のアカシュディープ・シンも評価された。ちなみにアカシュディープは、最優秀短編作品賞を受賞した『PINTU』を監督しているようで、さらに活躍しそうだ。  
 賞としては、興行成績を更新した『JANGAN PANDANG BELAKANG』(歴代1位)や『CICAk−MAN』(歴代4位)などはあまり評価していないところが、権威なのか。それでも、少しは商業映画に対する評価も欲しかった。
 ただ、この賞、マレーシア映画振興団体(FINAS)の主催であり、文化・芸術・伝統省が後援するなど政府がらみの部分も強いのも事実。また、当日はライス・ヤティム文化・芸術・伝統大臣や元俳優で国会議員のジン・サムスディンなどが顔を出すものの、やっぱり若い映画人を積極的に支援しているというイメージは薄い。(ライス大臣は、昨年の『GBURA』の主演で最優秀女優賞を受賞したシャリファ・アマニへの批判もしている)
 こういう状況でいかに表現の範囲を広げていくかが、マレーシアの映画人の課題なのだ。
 

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1 Comment

  1. kubota kubota
    2007年8月9日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 2.0.50727)
    ネギシさん、今晩は。ここずっと育児に追われ自分の時間のない日々です。映画祭の感想ですが、cintaには納得!!
    監督賞のスハイミには?です。ただ僕自身「WARIS〜」が観れていないので何とも言えませんが、昨年の監督賞受賞は余計になぜ??と、思ってしまいます。正直「Pontaianak �」は、役者の芝居、衣装などのバックグラウンドは評価しますが、監督の演出はひどかったです。ロジック、見せ方などなど。
    今回もヤスミン監督への“あてつけ”のような気がします・・・。ヤスミン監督、受賞ならず残念でした。
    ちなみにSumo Lahは、僕の予想の範疇でした(笑)
    テーマ曲賞ぐらいはちょっと期待したのですが残念。

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