クアラルンプールのイベント、芸能、グルメ情報誌として人気がある『KLUE』という英語誌がある。ハイソ(死語?)で流行に敏い若者をターゲットにした内容とデザインの良い紙面が人気だ。
さて、表題と『KLUE』の関係だが、話題のヤスミン・アーマッド(Yasmin Ahmad)監督新作『Muallaf』(10月公開予定という話)に登場する若い中華系教師役に抜擢されたのは、同誌のライターであるブライアン・ヤップ(Braian Yap)氏。8月号には、彼自身が同作をつづるとの予告があり、売っている所を探し回り、入手した次第だ。
ところで『Muallaf』は、クランクアップし、編集段階とのこと。その試写を観た在住日本人映画人窪田道博氏のブログの記事(こちら)を読む限り、なかなか難解で深いテーマがある作品のようだ。
タイトルは、英語で「Convert」という意味であり、転換、転向、改心、特に宗教では改宗という意味もある。また、シャリファ・アマニ(Sharifah Amani)とアリシャ(Sharifah Ayesha)姉妹が演じる父親の暴力に耐えかねて家出をした姉妹と、ブライアン・ヤップ氏が演じる青年教師も、それぞれイスラムとカソリックという宗教の背景が描かれているという。
それで、出演したヤップ氏がライターとして、この難しそうな作品をどう語るか。
まず、ヤップ氏は、『Muallaf』は、「過去の桎梏から逃れようとする3人の人間の物語」としている。
彼の口から語られるあらすじは、こんな感じだ。
父親の暴力から家を抜け出したロハニ(シャリファ・アマニ)とロハナ(シャリファ・アリシャ)は、悲しみを背負いながらも、互いに支えあい、宗教(イスラム教)からオーラのようなポジティブに生きる力を得ている。
一方、カソリックの家庭に育った青年教師ブライアン・ゴー(ブライアン・ヤップ氏)は、子供の頃の不幸な出来事がトラウマとなり、家族と宗教(カソリック)を疎ましく思うように育つ。しかし、ロハニとロハナ姉妹がお互いを愛し合い、逆境にも立ち向かっている姿を目にし、ブライアンは次第に自分を苛んできている惨めな過去と決別する決意をする。
さて、やはり公開前という制約のためにこれ以上の詳細は語れないのだろうが、ヤップ氏は「作品は“改宗”をした人生を描こうとしたものではない」と語っている。
そして「ヤスミン監督の『Muallaf』は、他の作品のようにもっと広いテーマに触れようとしている。本作の場合“愛と許すこと”だ」としている。
ヤップ氏もライターであるからもっと触れたい部分もあるものだと思うが、主演しているという立場もあるので、これが精一杯といところだろう。
個人的には、もうちょっと新作の主題について、ヤスミン作品のなかでどんな位置を占めるのか、そして監督がどんな表現を目指したのかという輪郭だけでもヤップ氏に書いてもらいたかった。
記事の他の大部分は、彼が出演に至った経緯とヤスミン監督の撮影現場の状況などについて書かれているので、ヤスミン作品ファンは楽しめるものになっている。
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ネギシさんこんばんは。
Muallafですが、本当に物語はシンプルで書かれているのがそのほとんどです。細かく書いてしまうとネタバレなどになってしまいそうで内容を話すのが難しいです。
僕のブログにはっていただいて光栄です。
ネギシさんのこの映画のレビューを待ち望んでいます。