本日予定されていたインドネシアを代表する音楽ダンドゥッドの女王イヌル・ダラティスタ(Inul Daratista)のKLコンサートが、KL市庁舎による公演許可取り消しでドタキャンとなった。
彼女は、高速腰振り(フラダンスやベリーダンスのように水平にではなく、回転させる)を取り入れたダンスを得意とするアーティスト。また、全マレーシア・イスラム党(PAS)のお家芸とも言える「不道徳」というクレームが通り、今回のドタキャンにつながった模様。
実は彼女のマレーシアでの公演は過去2回(07年と05年)に実現している。
今回禁止になった背景は、やはり今年3月に行われた総選挙での野党勢力続伸。イスラム教による統治を標榜するPASの意見も通りやすくなっている。
しかし、今回はKLだけでなく、政権与党最大の党統一マレー人国民組織(UMNO)のお膝元序ホール州でも公演禁止になったこと。
実は、混迷する政局の最近のニュースはUMNOとPASの接近。野党連合・人民同盟(パカタン・ラキャット)の切り崩しが目的だ。もともと人民同盟の第2党民主行動党(DAP)は、イスラム統治を標榜するPASを煙たがっている節がある。過去にも両党は選挙戦で代替戦線という連携関係を持ったが、うまくいかなかった過去がある。
今、UMNOとPAS連合ができて、連立与党・国民戦線(バリサン・ナショナル)に加わるという憶測も流れている。しかし、非マレー系政党の反発や最悪の場合、連合離脱を招くだけで、ありえないだろうと思っている。
やはり、PASの右派(よりイスラム教とマレー系の権益重視)が、離党して第3の勢力になり、政策によっては国民戦線の協調するのだと思うが…。
話がそれたが、イヌル・ダラティスタを許可しないことが表現の自由に閉塞した空気をもたらすことが心配だ。8月末には、アヴィリル・ラビーンの公演が予定されるが、また「セクシー衣装ご法度」とかいう騒ぎが起きそうだ。