第23回(2004年)大賞作品
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日本冒険小説協会大賞 |
日本部門1位 |
『ロング・グッドバイ』 |
矢作俊彦 殿 |
貴方は混迷の世紀、戦争の世紀、と言われながらも未来への希望には満ち満ちていた二十世紀と、
最早パロディの対象としてしか存在しえなくなった“汚れた街を行く騎士”たちへの壮大な挽歌である
本作により会員の圧倒的支持を得て、見事大賞を受賞されました。
極東のうらぶれた酒場で警察からはみ出した刑事と、軍隊からはみ出した兵士が出会ったことから始まった数奇な物語。
横須賀港に打ち寄せられた英国籍ベトナム人の遺体。車のトランクに女性の遺体を載せたまま逃亡した元米軍パイロット。
忽然と姿を消した国際的ヴァイオリニストの養母。三つの謎が収束するとき、垣間見える現代社会の悲劇。
利害を超越した男の友情という名の魔物に魅入られた刑事二村永爾の辿る現世の迷宮巡り。
その行き着く先に待つのはパンドラの函か、茨の冠か。
帰り来ぬ旧世紀、切なく物悲しくそれゆえに愛おしい二十世紀に捧げられた、しなやかでしたたかな鎮魂曲を
完奏した貴方の黄金の指先を称え、ここにその栄誉を賞します。
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2005年4月2日 日本冒険小説協会会長 内藤 陳 |
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