内藤 陳会長よりご挨拶

「血が男の中に流れている限り、不可能ということはないんだよ」

<高い砦 デズモンド・バグリィ著 ハヤカワ文庫>

 されば愛おしき同志(とも)よ、さんざ工事中で悪かったとまずゴメン、ウ? おれ? 

 おれか?

 おれは、何もかも失ったコメディアンくずれの男だ。失うことのできるものは、もう命くらいしか、残っていない。

 ナイトー・チンというのが名前だ。

 以前をいえば、日本でも指折りの、ハードボイルドコメディアンだった。だがおれの女房は「夜毎の酒」で、おれの親友は「オモシロ本」だった。こいつがあるばっかりに、おれのアタマは狂ってしまった。だがおれは、そのどちらも手放すことができなかった。

 いまは、新宿のゴールデン街でマクツと呼ばれる酒場「深夜プラス1」で神をやっている。この裏町でさえおれは嬉しい。この裏町でさえ、ひとは世界中からおれのところへやってくる。その人びとには、優しさがある。粋な会話とバカ話がある。ホモシロ本とオモシロ映画の世界がある。

 そして、おれは、いまでもコメディアンなのだ。日本でも指折りの、売れないコメディアンなのだ。

 などと、ショッパナから大見得を切っては見せたが、実のところは、オモシロ本と映画と人々とポーカーの大好きな飲んだくれの陳メであるからにして、もっとそばへ、こら!逃げるでない。ま、一言で言えばおれのモットーは『君たちの金を無駄にはさせない』 つまり小説には二種類しかない。『面白い』か『面白くない』かなのである。

 されば、こんな陳メでも良かったらアフリカ(こんご)ヨロシュウ、オタノモウシマス。

 とりあえず三月のオススメは!

■本

(J・リドリー著 角川文庫)

(J・スタインガーテン著 文春文庫)

(高野秀行著 集英社文庫)

■映画

■DVD

であるぞ。されば友よ、またお逢いしようと、陳メは酒場(シンプラ)に帰るのだ。

P.S. 内藤 陳メと我ら日本冒険小説協会全員が、このHPを開けてくれたコバヤシサンに最高のカンシャをささげるのだ。