『胎盤ゲットの巻』 アジア 〜 中国(大連)〜
1993年暮れ、中国・大連で念願の胎盤をゲットした。
長らく探しただけにそれはそれは感動しました。でも、これ、ついさっきまで、誰か女性のおなかの中にあったんだ、と考えるとすごく不思議になる。
私が左手にもっている白くて長い管はたぶんへその緒。ゴムのように弾力があり、ぶよぶよしていた。
これをこのあと、餃子にして食べたのは「怪しいシンドバッド」に記したとおりである。
『大連ファッション・ビッグバン1994』 アジア 〜 中国(大連)〜
1994年、中国の大連で突然、ファッション・ビッグバンが起こった。
当時、「北方香港」を自称し、中国近代化の最先端を突っ走っていた大連では、女性は誰も彼もが突拍子もない、ド派手な衣裳を身にまとっていた。
大連の女性には、いったい何度怒鳴られたかわからないので、ひたすら「オソロシイ」というイメージしかなかった私だけに、この変わりようには驚いた。
このウェディング・ドレスみたいな服を着た女性は、なんと市バスの運転手。
これは通りがかったバスの運転席を見た私が仰天、ちょうどバスがスピードを落としたところを追いすがって撮った一枚である。
シャッターを押した瞬間、「あんた、何すんのよ!」というすさまじい罵声を浴びせられた。
変わったのは外見だけで中身は何も変わっていなかった。
それはそれで、ちょっとホッとしたものである。
『纏足(てんそく)の老婆は実在した!』 アジア 〜 中国(貴州省)〜
昔むかし、中国がまだ清と呼ばれていたころ、纏足(てんそく)という習慣があった。
女の子が3歳か4歳のとき、足の全部の指と甲の骨をへし折って腐らせ、それを包帯でぐるぐる巻きに固める。
こんな足では女性はよちよちとしか歩くことができない。
それが「可憐」だと昔の中国人は思った。
また、その包帯をほどき、臭い足の匂いをかぐのが、高貴な男の楽しみであったとも言われる。
昔の中国には、今の人間には考えられない風習があったのだ。
ところが。
2002年、貴州省の田舎町へ行ったとき。
 
いるじゃないか、纏足のばあさんが!
90年前に廃れたはずなのに。
ばあさんの足は私の握りこぶしくらいしかなかった。
まさに、歴史の遺物だ。
このばあさんは世界遺産に登録されるべきだと思ったものだ。
(ばあさん発見の経緯は拙著「西南シルクロードは密林に消える」(講談社)をお読みください)