先月、「Yoshiの作品たち」として本邦初公開した記事の中で、まもなく新たな大きな子供が増えるってお話をしました。
その子をようやく公開できます。
「くるり」というバンドの完全スコアです。
チオビタドリンクのCFで知られる、独特の世界観を持った息の長いバンドですね。
くるりとは、ずいぶん以前から、バンドスコアを制作するにあたり、取材や譜面チェックを通じて一緒に仕事をしてきたバンドです。
7月某日、メンバーと作業の進め方や体裁などを話し合いました。
最終的に、今回は通常のTAB譜付きバンドスコアという形態ではなく、レコーディングした音をすべて──“ジャ〜ン”というような効果音的な音や、他の音に埋もれてなかなか前面には聞こえてこない音もすべて──完全譜面化したいという、メンバーの希望に答えることになりました。
僕はギター弾きですが、ボーカルやコーラスに始まり、ドラムス・ベース・キーボード・パーカッションなどポピュラー楽器から、ストリングス・ブラスなどオーケストラ楽器、はてはあらゆる民族楽器まで、耳を頼りにコピーして、どういうふうに演奏しているかを譜面に起こさなくてはなりません。
ちょうど、世はワールドカップ真っ最中。
見たくてしょうがない試合も我慢し、ひたすらマスター音源と提供していただいたパートごとの音声ファイル(曲によっては400以上も!)を照らし合わせて、一音一音綿密にチェックしながら、コツコツと譜面に起こしていきました。
全14曲すべて終了したときは、達成感と脱力感に、深い眠りにつきました…。
そんなこんなして、手塩にかけて生まれたのがこの作品です。
音源を聞きながら、譜面にするとこういうふうになるんだって思うのもいいし、もう少し突っ込んで、音楽のタテのラインとヨコのラインを有機的に結びつけながら楽曲を理解するのにも有効だと思います。
くるりの、330ページに及ぶ完全スコア付きニューアルバム、まもなく発売です!