先日、NHKで深夜「私の1冊 日本の100冊」という特集番組があった。
チャンネルをひねっていて偶然見つけただけなので、特に集中して見ていたわけではないのだが、なかなかに面白くついつい引き込まれていった。
「本とはなんぞや」という大上段なテーマを抱えたものではなく、作家やタレントらゲストが選ぶ「これこそ自分にとってかけがえのない一冊」を紹介しながら、本のよさや使命をごく自然に語っていくという番組だった。
見ながら、自分にとっての一冊はなんだろうということや、幼いときはどんな本を読んでいたんだろうと思い返してみた。
印象に残っている本は多数あるのだが、ふと、小学5年生の頃に読んだ「ぼくがぼくであること」(山中恒 作)のことを思い出した。学校の図書室で借りたんだと思う。
思春期にはまだ手が届かない世代の少年が、偶然に家出をし、不思議な体験をしながら成長していくという内容だったと思う。同世代の少年の姿が自分に重なり、幼いながらもやけに印象に残った。未だにすぐに思い出せるタイトルも強烈なインパクトを残している。
同時期に、単発ドラマ化もされたと思う。
児童文学書ではあるが、Amazonでも入手可能なようなので、40年近く経った今、もう一回読んでみようと思う。
それにしても、繰り返し読んだわけでもないのに、なぜこんなにも印象深いのだろう。しかも、なんとなくどんよりした甘酸っぱさのような、妙な香りが残っている。
ごく普通の少年だったあの頃、想像さえできない外の世界に惹かれていたのだろうか。それとも、当時の日常に不満でもあったのだろうか…。
そういえば、小学校高学年の頃は、SFモノや冒険モノばかり読んでいたような気がする。男の子はみな、そういう時期があるのだろうか。
昨日は、小学3年になる息子の誕生日だった。野球盤に興じる後ろ姿を見ながら、こいつもあと1〜2年も経てばそういことを考えるようになるんだろうかと思うと、なにか不思議な気分になる。
「私の1冊 日本の100冊」は、11/3から毎朝8:00〜8:10、BS-2でレギュラー化されるので、楽しみにしたい。