実際の流れ

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「耳コピって、どういう順番でやるんですか?」と聞かれることが多々あります。おおまかな流れについてはイントロダクションで触れたので、今回は原稿用紙に向かってからのバンドスコア採譜における実際の流れについて説明しましょう。もちろん、採譜者によってやり方は千差万別だと思いますが、僕の場合は以下のとおりです。
1.セクションに割り、リハーサルマークをつけながら全体のサイズを決める。
2.ボーカルセクションを採る。同時進行的にコーラスパートも採り小玉で入れる。
3.歌詞を入れる。
4.ドラムスを採る。
5,パーカッション・シーケンス等、リズム周りを採る。
6.ベースを採る。
7.コードネームを大まかに入れる。
8.ギターセクションを採る。
9.キーボードセクション(シンセ・ピアノ・オルガン等、鍵盤で音を出す楽器)を採る。
10.生楽器(ストリングス・ブラスセクション等)を採る。
11.その他の楽器(ハーモニカ・サンプリングループ等)を採る。
12.コードネームの決定。

作業中の様子。Macのキーボードはテンキーを左手で操作できるように左側におく。


 もちろん、楽曲やアーティストによって上記の順番はめまぐるしく変化しますが、基本的にはこんな感じです。通常、1日1曲を目安に作業しているので、午前中に7の段階までくることができたら60%は終了したようなもの。その日の午後は気分的にけっこうラクです。
 ただ、最近では2日に3曲、あるいは3日で5曲、場合によっては、1日5曲(?!)という無謀なペースでやるようになったので、どこで一息入れればいいかわからなくなりました(^^ゞ。

前に出たセクションを参照する場合も多々ある。


 バンドスコアでメインになるのはやはりギターセクションで、一番時間をとられると思われがちですが、ベースやドラムスが終われば、どんなに難解な楽曲でも比較的容易に進められます。というのは、
a.ベースが決定すれば、コードの90%は確定できる。
b.ドラムスが決定すれば、基本リズムパターンが確定できる。
からです。
 aについては、ポピュラー音楽の場合、ルート音上で調性が確定しますので、ベース音がとれればメジャーかマイナーかの見極めだけで、ほぼすんなりコードがつかめます。
 ルート指定コードも、そのキーで使うダイアトニックコードの中で用いることがほとんどなので、慣れれば音で確認しなくてもすぐにわかります。あとは7th・6th・sus4やテンションなどですが、これらはギターやキーボードを採りながら追加していきますので後回し。ディミニッシュとm7(-5)の違いも、コード上では7度の音程とその前後のコードとの関わり合いの判断なので、後回し。
 まぁ、特にコードネームを表記しなくてもベースパートを見ればいいことですが、コードネームそのものを見ながら譜面を追いかけるのが習慣になっていますので、この段階で大まかにふっておきます。
 bに関して「なぜドラムスのパターンが?」と不思議に思われるかもしれませんが、キックのリズムパターンは最重要で、これが割れればベースの基本リズムもわかり、ギターのバッキングパターンにもつながります。特にロック・パンク・スラッシュ系の楽曲では、歪み系の音色をあえて分離させず、まさに「音の固まり」としてミックスされていることも少なくありません。こういう場合、ギターは8分で刻んでいるのか16なのか、あるいいはシンコペしているのか単純なアクセント打ちなのかは、案外聞き取りにくいもので、このとき手がかりになるのがキックのパターンだったりします。キックのリズムを休符でヌイていると、そこにシンコペをからめてストロークしている場合が多々あるからです。
 音の固まりだからといって、単純な8分刻みとして譜面にすると、たしかに音としてはそう聞こえるかもしれませんが、バンドで再現したときのノリがまるで変わってきます。譜面としては、コードやポジションが合っていればそれでOKということではない、ということです。

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実際の流れ」への2件のフィードバック

  1. AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10.6; ja-JP-mac; rv:1.9.2.3) Gecko/20100401 Firefox/3.6.3
    初めまして。
    参考になりました。
    ありがとうございます。

  2. AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10.5; ja-JP-mac; rv:1.9.2.3) Gecko/20100401 Firefox/3.6.3
    yoshida様、はじめまして。
    購読ありがとうございます。なかなか更新できずにおりますが、ぜひまたお立ち寄りくださいね。

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