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2010年のアルバム1、女性シンガー – アサ・ネギシのページ/Music Raja
アサ・ネギシのページ/Music Raja
マレーシア・ライターの見聞録

2010年のアルバム1、女性シンガー

 最近、めっきりアルバムのリリース数が減って音楽界は寂しいばかりの状況だ。
 新しいアーティストは、インディーズというよりも家内工業といった趣きの自己レーベルという形でアルバムを出すようになってきた。大手レーベルがアルバムの制作費を出し、宣伝や販路を担当するというビジネス・モデルは、かなり昔から過去のものになっているが…。
 いまや大手レーベル各社は、海外アーティストのアルバム販売と地元アーティストの昔の音源を切り売りしているだけの状態。90年代のように海外スタジオ録音や国際的アーティストとの共演など、夢のような話になっている。
 アーティストからしてみれば、マレーシアのような市場規模では、大手レーベルの手を借りなくてもアルバムの販路は押さえられるし、レーベルと契約してもたいした予算ももらえないし、アルバム・セールスの取り分もインディーズとして自分で管理したほうが多いというのが本音のようだ。
 それでも、アカデミ・ファンタジアなどオーディション番組出身アーティストは、別として、レーベルに商売的路線を押し付けられることなく、アーティストが独自の音楽を生み出す素地が生まれてきたことは歓迎すべきことではある。
 前フリが 長すぎた。年末なので、印象に残ったアルバムを紹介していこう。
『Decorate』
ユナ(Yuna)

 「Dan Sebenarnya」が今年1月のジュアラ・ラグ賞24での準優秀曲、マレーシア音楽産業賞(AIM)17で最優秀楽曲賞を獲得したインディー系新人ユナ(Yuna)の待望の2作目。
 08年リリースの『Yuna』で、トゥドン(イスラム女性のスカーフ)にギターを構えたビジュアルとノラ・ジョーンズを思い起こされる新感覚のボーカルが話題となり、今年の音楽賞レースの筆頭になるまで注目された。「Dan Sebenarnya」に続いて発表された「Gadis Semasa」も一見洋楽的な曲調でありながら、どことなくマレー的な抒情が香り、かつ高いクオリティーであり、否が応でもアルバムの期待がかきたてられた次第だ。
 今年7月にリリースされた本作は、全10曲自身による作詞・曲・プロデュース。マレー語・英語曲が混在している構成である。最近、メインを英語曲にしているアーティストの中には、マレー語曲は、営業(オンエアー)目的のコマーシャル・ソングという連中も見受けられるが、彼女の場合、先行発表の2曲も含めて、歌詞の言語にかかわらず、ひとつの調和したサウンド世界となっているとなっているのが白眉。
 彼女の最大の魅力である少しくぐもった感じの声でささやくように歌うボーカルは、全編で冴え渡っている。「Gadis Semasa」のようなスローテンポの曲が大半だが、バラードの「Cinta Sempurna」やアップビートのロックナンバーの「Super Something」など、表現の幅広さも披露している。特に「Cinta Sempurna」のようなバラードでは、マレー人シンガーの常として、声を張り上げてしまうところを抑えて、切々とした抒情で謳っている。この表現力は、ただ者じゃない。
 また、楽曲のアレンジのセンスもボーカルが醸し出す雰囲気を殺すことなく、また余計な音が入っていないシンプルさに迷いのなさやブレのなさを感じる。きちんと表現できるメンバーをバンドに加えている印象だ。
 アンニュイな赴きなのだが、明るさを秘めた無二の魅力のボーカルと飛びぬけたセンスの楽曲。これから音楽界を引っ張っていける逸材だと確信した。
 ネタバレになって申し訳ないが、「Dan Sebenarnya」がシークレット・トラックとして収録されているので、買うのをためらった人も手にとって欲しい。
 
『Indah』
アティリア(Atilia)

 ユナと並び、新世代の女性アーティストと目されている女性シンガー。
 ヤスミン・アーマッド(Yasmin Ahmad)の遺作『Taletime』で主人公メローの歌シーンを担当したアーティストだといえばわかりやすいか。
 彼女は、楽曲の自作はせず、シンガポール人ディック・リーをはじめ、インドネシア人や外国人作曲家を起用した。また、当地ジャズ界の名うてのセッショニスト達やマリック(Maliq)やHujanのノー(Noh)がコラボとしてレコーディングに参加しており、新人ながら卓越したプロデュースの力量を見せている。
 しかし、楽曲もアレンジも、そしてボーカルも新しさが感じられないのが正直なところ。ジャズ寄りの曲調では、やはり先達のシーラ・マジッド(Sheila Majid)を思い起こしてしまう部分もあるのが苦しい。ただ、90年代からのさまざまなマレー・ポップの要素が、「どっかで聴いたことがある」と言うレベルではなく、香として漂っているところを今後のどう料理していくかで、化けそうな予感がする。
 『Taletime』の劇中曲「Angel」の英語歌詞版が収められているが、「Kasih Tak Kembali」は未収録。
 マレー音楽は、シーラ・マジッド的な洗練度までなら許せる人には、おすすめ。

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