津軽の響 高橋 祐 作曲
津軽の四季は、冬から始まる。そんな想いで奏でる津軽三味線。地吹雪の舞う音、すすり泣く風音、広々とした大地の響き、雪がしんしんと降り積もる静けさ、津軽の冬の情景を、太棹が唸り、奏で、尺八が舞う。

春の海 宮城道雄 作曲
一般的に有名な箏・尺八の二重奏曲のひとつ。大昔の曲だと思いこんでいる人も少なくないが、実は1929年、昭和4年の作曲。翌年に催された宮中での歌御会始<うたごかいはじめ>の勅題<ちょくだい>「海辺巌<かいへんのいわお>」というテーマにちなんで作曲されたため、新春のおめでたい曲として世間一般に定着した。瀬戸内海の海をイメージし、波の音、鳥の声、漁師の舟唄などを箏と尺八の音色で表現している。ちなみに、フランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと宮城道雄の共演で世界的に知られる曲となった。

<みだれ> 八橋検校 作曲
「乱輪舌<みだれりんぜつ>」の略称。箏曲の中では“段物<だんもの>”という比較的テンポ感の分かり易いカテゴリに分類される。プロ・アマ問わず多くの人に愛好され、箏・三味線・尺八による三曲<さんきょく>というスタイルでの演奏も行われる。邦楽専門情報誌『邦楽ジャーナル』でも、目隠し審査による弾き比べ特集が組まれる程に奥が深く、演奏者によって違いの出る曲。今回はその特集内でも審査員から非常に高い評価を受けた、丸田美紀さんの演奏でお楽しみ下さい。

奥州薩慈 琴古流本曲
奥州、東北地方に伝わる琴古流古典本曲。「神保三谷」とも言われ、越後明暗寺所伝の「三谷」が原曲と言われる。三谷の語源は諸説あり、“梵語のsamajya(集会)”“三昧が転化した”“三つの高音が三つの谷に響きわたるさま”などと言われているがいずれもはっきりしない。曲は、拍子やメロディーといった西洋音楽の基本ではなく、音色や技法に主観がおかれているのが特徴。虚無僧でお馴染みの普化宗では儀式用の曲として演奏されていた。

津軽じょんがら節 津軽民謡
青森県津軽地方の盆踊歌(座敷歌)。その昔、現在の黒石市にて千徳政氏という武将が津軽為信に滅ぼされ、千徳家、菩提寺の僧侶が川に身を投じて抗議の意を示した。以降その故事を村人が歌ったのがじょんがら節の始まりと言われている。津軽には現在、「旧節」「中節」「新節」「新旧節」という四種類のじょんがら節の旋律が存在するが、今回はその中の「新節」を、歌の前奏部分を独立させた「じょんがら曲弾」にて演奏します。

浜田節 浜田民謡
江戸時代、北前船の寄港地として栄えた浜田港では、港に出入りする船乗りが船の原動力である南風「ハエ」を待ち望んで「ハイヤ節」という酒盛り歌を歌っていた。九州より日本海側の港を中心に同種の民謡が現存しハイヤ系民謡と言われている。浜田に伝わったハイヤ節は浜田の心意気を歌った「築港節」となり、後に「浜田節」と改め、現在に至るまで浜田港の発展と共に郷土に根付いて親しまれている民謡である。

阿吽<あうん> 渡辺正樹 作曲
いくつかのテーマは決まっているものの、演奏がはじまってしまえば、後は奏者同士のコンディションと呼吸によって変化自在に表情を変える曲。尺八ソロの後、太鼓のソロが続く、二つの音は次第に一つのうねりをつくり出し、会場を飲み込んでいく。尺八と和太鼓による音と音、力と力のぶつかり合い。特に中間部以降のアップテンポになった両者のアドリブに注目。

神楽〜Kagura〜 Binsho 作曲
2002年埼玉県行田市主催創作ミュージカル「コノハナサクヤ姫」(西崎緑主演)にて初演。コノハナが天空の神々に雨を求めて舞うシーンで使われた。今回、石見神楽で有名な浜田市での公演にあたり、急遽曲の冒頭部を作り替え、石見神楽から神楽へとつなぐ作品に改作した。

夢〜yume〜 Binsho 作曲
2001年曹洞宗大本山永平寺主催「アジア子供文化祭」のエンディングテーマとして作曲された。“子供達の夢が叶いますようにと祈りを込めて作り上げた曲である”(作曲者談)。何種類かあるヴァージョンのなか、今回は作品の原点ともいえる初演で演奏したスタイルでお届けします。

黄昏のビギン 中村八大 作曲
昭和34年、永六輔・中村八大という無敵の二人が作詞作曲、水原弘が歌ってヒットした昭和を代表する名曲のひとつ。近年、コーヒーのコマーシャルに使われ、ちあきなおみの歌声で再び注目を集めた。ビギンはマーチやワルツなどと同じ、曲独特のリズム型のこと。ギターが奏でるビギンのリズムに尺八の音色が驚くほど馴染む。

赤い自転車 Yoshi 作曲
ある若い二人の青春時代をイメージして作った曲。のびのびとしたサビは二人乗りの自転車で堤防を駆け降りるシーンを描いており、Yoshiの青春自叙伝ともいえる。2003年発売のマキシシングル「赤い自転車」には、漫画家のいわしげ孝氏のご協力により、著作「ぼっけもん」の1コマをジャケットに使用した。

上海美人 Yoshi 作曲
上海美人というと、チャイナドレスを着た妖艶な美女か…と思いきや、実は小さな女の子が音楽に合わせて楽しそうに踊っている様子を歌った作品。実際ライブなどで小さな女の子が曲に合わせて踊ったことも。軽快なテンポの曲だが、中間部は尺八とギターが自由なテンポでやりとりをする箇所があり、奏者や会場の空気によって毎回変化するのも見所。

涙そうそう BEGIN 作曲
森山直子の詞にBEGINがメロディーをつけ、2000年、夏川りみのカバーで一躍大ヒットした名曲。“なだそうそう”とは涙<みーなだ>が止めどなく流れる様であり、今は会うことの叶わない愛する人への想いを歌った曲。今回のアレンジはマキシシングル「赤い自転車」のカップリングとして収録されている、OΛS/S&箏バージョンです。

異国の旅人 Yoshi 作曲
OΛS/Sの二人がかねてより音楽のルーツとしている“アジア”への想いをメロディーにした「異国の旅人」は、2004年2月に行ったマレーシアのライブでも一番評価の高かった一曲。マイナー調のメロディーと激しいリズム。奏者それぞれの技能を最大限発揮できる楽曲にするため、今回は、和の響宴2004アレンジにしています。

海と風と鳥と 小林 純 作曲
「和の響宴2004」の為に書き下ろされたOΛS/Sの新曲。きれいな海と豊かな自然、その中でのびのびとさえずる鳥たちをイメージし、ギターと二本の尺八で表現している。鳥のさえずりは尺八にて再現、イベント記念のCD「和の響宴」では、尺八を使った鳥の鳴き声を効果音として使ったバージョンにてレコーディングしています。