しあわせな時間

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 昨日、20年来のFavoriteバンド「AB’Sのライブを見に行った。
 
 仕事がら、おつきあいや打ち合わせ・取材等でいろんなアーティストのライブを見に行く機会が多いが、ちゃんと自分でチケットを予約し、開場時間に入って、自分の本当に好きなライブを見に行くのって、何年ぶりだろう。ちょっとだけドキドキしながら、若い頃のワクワク感を隠しきれない気分で、渋谷のライブスポット「KABUTO」に入った。
 開場時間をほんの少し過ぎただけなのに、観客はかなりいる。ぐるりと見渡しても、自分と同世代の人たちがほとんどだ。間違っても中高生はいない。
 大好きなドナルドフェイゲンのBGMが流れる中、メンバーが無造作にステージに入ってきた。
 自分のアイドルがすぐそこにいる。25年ほど前、スペクトラムのファイナルで武道館に行き、だだっ広いステージで光を放っていたあの人たちが、手を伸ばせば届きそうなところにいる。そんなミーハー的な気分も交えつつ、曲はスタートした。
 メンバー5人とも、すでにいい年だ。そりゃそうだ、自分も45歳になろうとしてるんだから。そのいい年こいたおっちゃんたちが、実に楽しげに嬉しそうに演奏している。超一流の演奏がそこにあるが、そんなことより、曲に、雰囲気に、どんどん引き込まれていく。幸せな気持ちになっていく。
 曲間のMCも非常に楽しく、80人ほどのギャラリーと、日本を代表する名うてのミュージシャンが、実に屈託のない、和やかな空気に包まれた。腹の底から笑い、身体全体で興奮した。

会場で購入した「Single」

 昨年リリースしたアルバム「NEW」全曲を、その順番通りに演奏。曲数はわずか10曲。MCで、曲紹介やこれまでの生い立ち(?)・業界裏話等を交え、世代的にはそんなにかわらないんだなぁということを再認識した。あっという間に時が流れた。
 アンコールでは、「今日が誕生日の人のために」と、オリジナルアレンジの「Moon River」を、なんとアカペラで歌い上げた。メンバー全員がボーカルもやり、曲の至る所でコーラスを盛り込んでいるAB’S。絶妙のコーラスワークだった。最近ぽっと出のアカペラユニットなんかより数百倍も心にしみた。
 2回目のアンコールでは、曲目を用意してないということで、1曲目を再演。さらに盛り上がり、しわせな時間は通り過ぎた。
 言葉にするのももどかしいくらい、ほんとに最高だった。心を解放して音楽に接するって、何年ぶりだろう。じんわりとしたここちいい余韻が、終電の中まで残った。

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