JB(ジョホール・バルのこと)に1泊の出張の予定が2泊になり、更新が途絶えてしまいました。まぁ、仕事していたことにしてください。
<JBの街並。写真奥はシンガポールとの国境>
マレー半島の南端の都市JBは、近代都市の島国シンガポールとの国境の街だ。
やはり、多くの日本人にはサッカー日本代表が初めてW杯出場を果した場所として記憶されている場所であろう。
シンガポール−JB間の国境は、JBから労働力と資源を、シンガポールから雇用と市場と供給する補完関係にあり、東南アジアの国境の中でも緊張感が最も薄い場所のひとつだろう。毎日、10万単位で両国から人が行きかうので関税のチェックなどもおざなりな感じだ。
両国は地続きではないもの、ジョホール水道の浅瀬に作った土手によるコーズウェイがあり、車で入国できる。やはり車に乗ったまま国境を越えられるのが嬉しくて、2度ほど試したこともある。マレーシアからシンガポールに車で入るには、入国料がS$30(シンガポール・ドル)徴収される。それ以外にもシンガポール市街地の制限区域に入るとS$10徴収され、S$1=RM2.28(マレーシア・リンギット)というレート通貨の差でリンギットで暮らしている身には痛い出費となる。
最近、シンガポールも隣国からの観光客誘致に熱心で、12月中は平日の午後12時から無料入国料を無料とする措置が採られている。通常は、平日午後7時以降から無料。
まぁ、それでも今はシンガポール・ドル高であり、わざわざ見に行くほどのシンガポールの観光資源もないので、マレーシア人が大挙して行くということはなさそうだ。やはり、マレーシア人ならば、誰かしらシンガポール人の親戚がいるので、訪れやすくなったということなのだろう。
国境の情況はちょっと参考までに。
今回の主題は、JBは国境の街らしく、横流し天国なのである話。
国境があれば、関税がある。
この関税のチェックをかいくぐった品々が出回ってくるのも国境の街ならでは。
今年も来年度予算でタバコは、増税対象になり、RM5からRM6.50という「吸えるもんなら吸ってみろ」価格となった。
RM6.50は、円換算で180円(RM1=27.5円)ほどだが、RM5あれば庶民の1食分は十分なので、650円払っている感覚だ。
潔癖そうなアブドゥーラ首相がタバコ吸いに辛くあたるという話は置いておこう。
JBの知人は、免税横流し品のマイルドセブンをRM4で楽しんでいる。
どうもこの横流れ品は、JB市内にある免税特区(インドネシアへのフェリーの発着場とホテルとショッピングセンターがある)から来ているらしい。
横流れ品を扱う御用聞きが存在し、知人は携帯電話一本で配達してもらっているとのことだ。
タバコだけではなく、ビールもしかりで、カートンで買うと赤ワインまでおまけしてくれるという。
かその御用聞きも携帯電話が通じない時期があり、どうも警察のご厄介になっていらしい。
しかし、また性懲りもなく横流し家業に励んでいる。
けしからぬことであるのは確かだが、知人の話を聞いているとその御用聞きはみんなが喜ぶことを率先してやってくれている存在である気がして、なんだか親近感がわいてしまう。
また、JBは海賊盤の天国でもある。
音楽CD、映画ソフトのVCDとDVD、コンピューターソフト、ゲームソフトなどの海賊盤取締りは、主にアメリカからの圧力にさらされ、東南アジア各国政府にとって頭の痛い問題。
当地の政府もここ1年、海賊盤の罰則を厳しくし、禁固刑を適用できるようにした。この措置の甲斐もあり、KL(クアラルンプール)の街角でおおぴらに音楽CDや映画のVCDが売られることはなくなった。
しかし、JBではそんなこともお構いなしのようだ。
また、価格も安い。
アドビなどのコンピューターソフトは、RM7で堂々と売られている。KLでも売られているが、RM25〜30ぐらいは取っている。
知人によるとRM5まで値切れるそうだ。
また、最新映画のDVDもRM5〜6だという。
いずれにしても150円もしないと聞くと恐れ入る。
まぁ、こんな話は世界の国境ネタとしてはかわいい話だろう。
別に無理して裏社会の話など書こうという気はない。
JBも他のマレーシアの都市と同じで、概して平穏でどうということもない場所なのだ。
しかし、国境がそばにあることは人々に常に外の世界を意識させ、いい意味でも悪い意味でも冒険心を刺激する。
海に囲まれた国境しか持たなかった日本は、消毒された刺激しか持てないのかもしれない。