今日もちょっと気になる記事について。
日刊スポーツでの古屋知幸氏によるモータースポーツ・コラム、スーパーGTナビゲーション「熱中症、熱帯系…マレーシアGPは灼熱地獄」という記事。
http://www.nikkansports.com/ns/sports/motor/column/furuya/furuya-top.html
また、モータースポーツの話題で申し訳ないが、マレーシアは自動車レース狂国であることの一端がわかるということにしておいて、趣味に走らせてもらう。(昨日の米国F1GPの余韻で頭がモータースポーツなのだ)
さてこのスーパーGTレース(昨年までは全日本GTレース)は、マレーシアがF1開催を果した翌年00年から開催されている。03年は新型肺炎(サーズ)の蔓延により中止された(といっても、マレーシアは多発国ではなく万全を期した)が、GTレースの最初の国外開催地、そして選手権の一戦(ポイントとは関係のないエキジビション・レースの時代もあった)としてなくてはならないものとなった。今年はロータスの親会社であるプロトンの名を冠した地元チームがロータス・EXIGEで参戦するという。
そのGTレースが今年も6月25、26日にセパン国際サーキットで開催される。
それで同記事は、セパンの「暑さ」を伝えるのと同時に「熱さ」をこう伝えている。
それと、やはり熱帯系というか、マレーシアの皆さんはラテンぽいノリがあるんです。(中略)でも、スーパーGTは観客もやはりクルマ大好きの若い人が中心。しかも接触バトルは至るところで展開されますから、もうバトルがどこで行われているか分かるくらいに大きな歓声がサーキットにこだまします。ドライバーにも聞こえるくらいだそうで、そういう意味でもドライバーもノレるのが、このセパン戦です。
ここで伝えている通り、F1開催国となったことがとにかくクルマ好きを刺激した。といってもマレーシアでは、輸入車は高嶺の花であるためにGTがいかに市販車をベースにしていようともF1と同様あこがれのレベルを超えない。日本のようにGTレース参加車種の売り上げが伸びるということを期待できない。いまならば外国車のセダンこそ裕福なひとには手が届くようになったが、スポーツカー日本車でも依然として高級車。大体、スープラやスカGなんて滅多に走っていない。
またGTファンならば空力パーツなどの改造に憧れる部分もあるのだろうが、マレーシアでは改造の規定もあり、それもかなわない。クルマをカッコよくしようという研究資料ぐらいにはなるが。
それではなんでこれだけ盛り上がるのか。はっきりとした答えはわからないが、メディア戦略、事前のミニ・イベントなどやはり興行としての上手さやF1よりも安いチケット料金など理由に挙がるだろうが、ずばり言と“レースクィーン”だ。
「そんなの日本と同じじゃないか」といわれそうだが、これは現地にいればわかると思うが、日本とは断じて違う。ここはイランやタリバン時代のアフガニスタンほどではないが、イスラム教徒が過半数の国。イスラム教徒のマレー系は、足など肌を見せる服装はほとんど着ないし、中国系の女性でも以前よりミニスカ姿が少なくなっているご時世。そんななかで半裸のレースクリーンが目を惹かないわけがない。
それでこちらはニュースやイベントの数が絶対的に少ないから、このレースクィーンはメディアの格好の被写体となる。それにGTレースをPRするレースクィーンは、ほぼ1ヶ月間に渡りマレーシア各地のミニ・イベントに参加する。まぁ、これほどキャンギャル(キャンペーンガールのこと)の効果がてきめんなイベントもあるまい。
蛇足レベルの話だが、私の知人の日本語教師の(日本人)女性は、生徒がレースクィーン達に書いたラブレターを日本語に訳してと頼まれたことがある。その女性もよせばいいのに訳してあげたのこと。「日本のレース」が「日本人女性へのレース」という激しいバトルになってないるような…。
同じ年の話なのだがレースが終わり帰国したレースクィーンのひとりが、裕福そうなマレーシア人の男性と一緒に入るのを目撃したことがある。もしかして、もうチェッカーズ・フラッグを受けたやつまでいるのか…。
なんだか書いている自分も、おそらく読者も本論なんてどうにでもよくなっているに違いない。レースのバトルで喚声が上がっているのは確認できなかったが、レースクィーンが客席に手を振るだけでスタンドに大歓声が上がるのは本当だ。
「カッコいいクルマにいい女」、日本ならば頭の構造が単純といわれそうな図式でものすごい盛り上がりを見せている。ひとりひとりは意外にシャイだが、アジアのラテンというのは案外当たっている。
それで、一番後になってしまったのだが、古屋氏の「暑さ」の記述について老婆心。
ちなみに今年のF1マレーシアGPは4月上旬。マレーシアは北半球ですから、日本と同じ季節のサイクルです。したがって、暑いと言っても日本の夏に較べれば、まだまだ……。それに引き替え、スーパーGTセパン戦は6月下旬。向こうでも初夏、その日差しの強さは、日本の真夏並。
これには少し訂正を。F1開催は3月(4月上旬ではない)で折りしも春分の日前後。つまり赤道直下(北緯2度から6度)のマレーシアでは南中時に太陽が90度近い角度にあるので、理論上やはり一番暑い。
GTの開催時の6月中旬は日本では夏至で一番太陽の位置が高いのだが、赤道直下のマレーシアでは逆に高度が一番低くなる(といっても90度−23.5度で十分高いが)。しかし十分暑い。かろうじて北半球であるが北回帰線以南で、しかも赤道直下のマレーシアに初夏なんてない。一年中、日本の真夏並みなのだ。
だからF1もGTのレーサーも十分暑いというのが正解。ただし、GTの方はレースクィーンのせいでもっと「あつい」というのだったら大正解だろう。