ローカル・サッカーの話題の反応がいいのでちょっとビビっている。(付け焼刃の知識なので…)でも今日もちょっとばかり。
今月から開幕した地元FA杯にシンガポールU-23が参戦。1回戦シャザン・ムダを破り、2回戦進出を決めている。マレーシアとシンガポールは、1920年代英国植民地だったころから同じサッカー協会に所属し、リーグ戦とマレーシア杯で切磋琢磨してきた。その両国に加え、ブルネイという地域内3カ国が参加していたことは、この地におけるサッカーの人気とレベル・アップに貢献してきたことは疑いのない事実であり、東南アジアのサッカー中心地の地位にあったといっていい。そしてその歴史は1995年シンガポールのマレーシア・サッカー協会脱退まで続いた。
両国が袂を分かつことになったのは八百長事件。逆の見方をすれば、八百長が横行するまで地元サッカーは熱狂の対象であった。結局、両国は八百長にかかわった者への処分の違いが元で、別の道を歩むことになる。
それから12年も経った今、シンガポールがマレーシア・リーグの強豪としてセランゴールやパハンといったチームと数々の名勝負を演じてきたころの熱さは人々の記憶から消えつつある。しかし、今でもセランゴールとシンガポールはエキビジョン・マッチを行っており、当時の熱狂を偲ばせている。
今年はシンガポールU-23のFA杯参戦するだけでなく、4月に行われるシンガポール杯にもマレーシアU-23が参加する。ここで一気に両国サッカー界再統合につながるのでは、という期待を抱かせるが、最近シンガポール・サッカー協会の発言はつれないの一言だ。
シンガポール・サッカー協会のジョン・コー理事は、21日付けのNST紙とのインタビューで「マレーシア杯の時代に戻るのは、後退を意味する」と発言している。「それに選手やファンはマレーシア杯の熱狂を知らない若い世代なので、われわれにとって過去は忘れたと同然だ」とまで言っている。
しかし、ここまで素っ気無いのは、過去の恋人に復縁を迫られているオールドミスのようだ。まぁ、しかし世界中隣国同士はちょっと近親憎悪の感情が入り混じった論調になるので、記者的にもちょっと“シンガポール=生意気”の構図に沿って書いている部分もあるのだろうと察する。
なので記事からシンガポール側の真意は見えないのだが、ひとつだけ同氏は「ファンの興味を引かない」と述べている。マレーシアもそうだが、ローカル・サッカーの支持者はマレー系で、中華系は興味も示さない。シンガポールでもこの構図は同じな上に中華系多数の国なのでローカル・サッカーの人気のなさは推して図るべきだ。
類推していけば、シンガポールにとってマレーシアと一緒にやっても観客が集まって、儲かるのはマレーシア側のチームだけ、というなんだか非常に当たり前のところに落ち着きそうだ。もちろん、アルビレックス新潟や中国からもチームが参加するシンガポール・リーグは、それで十分なのかも知れないが…。
ところで、マレーシアがアジア・サッカーのサッカーに貢献した経緯を記したサッカージャーナリストの大住良之氏のジャーナルをぜひ読んでみてください。
サッカーは国の代理戦争かもしれないけど、ブラジル流にアミーゴを作るためのものだよ。