ハリラヤ・プアサの新月が満ちて、中華系が仲秋の名月を祝っていた。
次の新月は、マレーシアのヒンドゥー教徒最大の祭り、ディーパ・バリを迎える。
それで、いきなり話が飛ぶのだが、最近気になるのはナジブ首相のキャッチフレーズ『1マレーシア』である。
この『1マレーシア』、マレー語で“サトゥ・マレーシア”でも、英語で“ワン・マレーシア”でもかまわない。ナジブ首相の意図するところは、「多様性を保ちながらひとつのマレーシアで結束していこう」というもの。
今年4月の就任で、いの一番に始めたことは、ウェブサイトwww.1malaysia.com.myを立ち上げた。サイトをコミュニケーション・ツールにして、国民の声を広く聞いていこうということだ。
8月の独立記念日を迎えるにあたって、首相自ら「1マレーシア・ソング・コンテスト」を主催し、愛国キャンペーンのコンセプトが具体化してくる。また、首相府は、上に掲載したロゴを発表。ロゴは、デザインの規定を守れば、色などはアレンジ自由ということで、独立記念日の祝賀ムードにのって、企業が広告にロゴを使用し始めるなど広がってきた。
そして9月のF1のロータス支援でも、チーム名こそロータス・F1だが、プロジェクト名は、「1MF1(1Malaysia Formula 1)」となっている。さらに「1マレーシア開発公社」を立ち上げ、外国からの直接投資を集める窓口とするなど、国造りのキャッチフレーズの様相も呈してきた。
ついでに言うと、インドネシア・スマトラ地震への義援金募集活動も「1マレーシア基金」という名称。
例えるならば、“がんばれニッポン”みたいな感じに近いのか。“1マレーシア”は、マレーシア新時代のお題目である。ナジブ首相、なかなかのアイデアマンぶりではあるが、今ひとつ与党支持が増えないのが、痛し痒しである。
それで、冒頭の仲秋の名月の話なのだが、ボクの住んでいるアパートの庭で、住民が仲秋を祝うランタン(提灯)祭りをやっていた。祭りといっても、途中からカラオケ大会になって、スピーカーから下手な歌が流れて、迷惑この上なかった。
でも、司会者が「今日は、ハリラヤとディーパ・バリも同時にお祝いするよ。なんてったって“1マレーシア”だからね」と、ここだけマレー語で言っていたのが妙に印象に残った次第。あとは、ずーっと中国語だったのでわからなかっただけだけど。
なんだか意味はわからなくても、“1マレーシア”で民族が仲良くなれればいいし、便利な言葉である。
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Satu Malaysiaか・・・・・ほんとにそうなってくれればいいけど。マハティール首相提唱のWawasan 2020、あれも今でもマレーシアの巷で見聞きします?
中国とインドの経済力強大化、国力・国際発言力の増大に比例して強まる、マレーシアやシンガポールなどのASEAN諸国の華人系国民の「大中華意識」「中華民族意識」、それを底支えする「華夷思想」と、数千年の中国の歴史の中で養われてきてしまった華人の「金さえ儲けられれば住みかはどこだっていい」「金さえ、権力さえ手に入れれば誰にどんな迷惑をかけてもいい」という悪癖に、Satu Malaysiaの根幹を成す民族平等・寛容の精神・マレーシア国家への忠誠心&愛国心&郷土愛は太刀打ちできるのでしょうか。
そして旧宗主国の英国がもたらした、今も根強いマレー人と華人との確執と相互不信。
シンガポールの、マレーシアからの分離独立と経済大国化。
心配事は多いですが、まあこれも私が日本人でマレーシア人じゃないから、他人事だから好き放題言えるんでしょうね。我ながら勝手なものです。
もちろんSatu Malaysiaの精神と目標は、ナジブ首相後もずっと続いて欲しいし、マレーシア国民もそれを支持してほしいと思います。
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わにたさん、マレーシア通ぶりも極まってきましたね。
「1・マレーシア」も「ワワサン2020」のように数字が入っていて、聞いた人が「どういうこと?」と興味をそそられるところが、キャッチフレーズとしての心理をうまく汲んでいるところです。それで、実は、「ワワサン2020」はまだ生きていて、それを達成するために「1・マレーシア」はあるということなんです。
まぁ、おっしゃるように歴史的経緯に発する民族間に漂うビミューな感情ですが、「1・マレーシア」のそのこころは、自分たちの民族の権利ばかりを主張すること、他の民族の悪口ばかり並べ立てることよりも、ポジティブになろうということがミソだと思います。
違う民族同士でも、協力できることはカッコいい、という意識感覚に持っていくことでしょうか。
ナジブ首相もお題目だけでなく、経済でのブミプトラ政策を実質廃止の方向に持ってきたし、また統一マレー人国民組織(UMNO)でもマレー人権利擁護よりも、国民第一路線を打ち出そうとしています。
それに加えて、「1・マレーシア」を冠したプロジェクトで、特定の人たちでなく、何かを成し遂げたというマレーシア人が全体で誇りを分かち合える仕事を後世に残していくことを目指していようです。
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いやいや、マレーシア通振りを極めただなんてそんな・・・・・。恐縮です。
ご丁寧な返答ありがとうございます。
私もぜひWawasan2020、その延長線上にある今回のOne Malaysiaを応援したいと思います。紆余曲折は多いでしょうが、マレーシア人ならできると思います。
この中に、日本が抱える在日朝鮮・韓国人や在日中国人、および様々な外国人移民との共存に関する問題解決の糸口が見出せるかもしれませんね。
Jetro出版「クアラルンプールに暮らす」の最後のページに著者あとがきがありますが、そこには「マレー人の従来の温和で優しい性格に影響された華人やインド人も、マレー人のように柔和になっているのでしょう。」「そもそもマレーシアは革命や暗殺とは無縁の、平和を愛する国です。」と書いてあります。
今こそ日本がマレーシアに学べ、ルックイーストならぬLook Malaysia! だ。
ところでナジブ首相が土地っ子優遇政策を徐々に廃止?!
あのマハティールの旦那ですらできなかったことを、ずいぶん地味に、しかし思い切ってやってますね。
具体的にどのようなことを廃止・追加したんでしょうか?例えば銀行融資のマレー人割安サービスを全民族平等にするとか?
マハテー首相が始めた小学校の算数と理科を英語で教えるというのを廃止したのは聞いていますが。
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わにたさん、ごめんなさい。
「経済でのブミプトラ政策を実質廃止」は、ちょっと誤解を招く表現でした。
正確には、「ブミプトラ政策の根幹である資本参加率(30%)」を撤廃する方向です。
これは、外資が、ブミプトラの資本参加率にとらわれず、マレーシアに進出することができるという側面も大きいですが。
でも、規制のためにブミプトラ系の有力者が名前だけ参加して、報酬をもらっている悪弊を取り払うための大きなステップだと思います。
ブミプトラ政策での高等教育や公務員の民族枠、住宅購入の融資の優遇などは、まだまだです。