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誰の誕生日でもない国王誕生日 – アサ・ネギシのページ/Music Raja
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マレーシア・ライターの見聞録

誰の誕生日でもない国王誕生日

 昨日のバーレーン戦を観て寝坊した。うっかりしていたのだが、今日は『国王誕生日』という祝日だ。
 この国王誕生日だが、誰の誕生日でもないとう変な日なのだ。というのも、マレーシア国王は、ペルリス、ケダ、ケランタン、トレンガヌ、ペラ、セランゴール、ネグリ・センビラン、パハン、ジョホールの9つの州のスルタンから選ばれる。それに5年の任期があるというのが特異だ。サイド・シラジュディン・サイド・プトラ・ジャマルライル現国王は、12代目でペルリス州のスルタンだ。
 スルタンというのはアラブ起源の王位であり、本来は最強の王国の王だけが名乗れるはずだったが、マレー半島の王権は並立的な関係であり、また英国植民地時代に土着の王をスルタンとする指針を掲げたため、こういった複数のスルタンがいる状況が形成された。
 そんなわけで独立以来マレーシアは48年間で12人の国王を戴いてきた。それに対し、首相は5人。立憲君主制の国で歴代国王数が首相よりも多いという現象が起こる。日本の場合、ひとりの天皇の時代に何人総理があるのだろうな。
 それで国王やキングと訳されているマレーシアの国家元首は厳密には、ヤン・ディ・プルトゥアン・アゴン(Yang Di Pertuan Agong )が正式な名称で、「最高の統治者」という意味。マレーシアの国王は、スルタンであるのだが、マレーシア国のスルタンではない。
 それで今日の祝日の話だが、こうして最高5年で国王が替わるので、政府は6月の第一土曜日を国王誕生日としたのだ。昔は6月の第一水曜日だったが、誰の誕生日でもないのに週の真ん中を休むと生産性にも影響するので、マハティール前首相が現行の日にした。
 現国王の本当の誕生日は出身州の祝日となっている。また、他のスルタン誕生日も州単位の祝日だ。
 今日は国王が任務を務めていられることを祝福する日という感じ。褒章、受勲などの儀式が行われ、タン・スリやダトの称号が国に貢献した国民や外国人に贈られる。
 現地のビジネスマンは、タン・スリやダトをもらった有力者をチェックし、商売のために取り入るというわけ。国王よりもそっちの方が関心事かもしれない。

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