最近、自分が追ってきたものに徹底的に不義理である。
そうマレー“ロック”に不義理でありっぱなしなのだ。もう、Dewaのおかげでマレー語ロックは、インドネシアの天下なのである。
また、昔の話になるが、90年代前半はマレーシアのアンダーグラウンド・メタルの勢力が拡張してきた時期で、特にデス・メタル(*注黒装束でダミ声で吼えまくるヤツです)が希望のない抑圧された若者たちの精神を開放し、風紀委員のようなマレーシア政府に対し反俗を貫いていたのである。
前フリが長いが、その帝王たるバンドがSil Khannazである。
彼らが、昨年末3年ぶりの新作『Berdiri Antara Panji-Panji』。当地最大のロック・イベント『ロック・ザ・ワールド7』に出演し、健在ぶりを示した。
さて、アルバムについては、97年の『Gerbang Kayangan』以来“進歩を止めてしまっている”の一言で、迷走するヘビーメタル・シーンに何もあらたな道は示していないといわざる得ない。やはりこのバンドも歌詞にメッセージを持たせた時点(ダミ声で吼えながら歌詞を伝えるなんてやはり無理だよな)で、デス・メタル本来のキレが失わされてしまった。
あぁ、またもっと昔の話で締めくくらなければいけない。
ところで新作と同時にデジタル音源化で再販されたのが『Pendita Gila』(95年)。
もう待った。とにかく11年も。
いままで、曲ごとにボーナス・トラックとしてデジタル音源化されていたが、やっと全曲がCD音源となった。
だから書かせてもらうけど、このバンドの最高傑作というだけでなく、当地メタル界がいまだに越えられない作品なだ。
実を言うと『Pendita Gila』は、中心メンバーのジャイーとCD(名前です。あしからず)の兄弟だけで制作されたこともあり、ドラムが打ち込みなのが残念だが、とにかくナパーム・デス的な疾風怒涛の音の暴力が凝縮してた音像なのだ。ちなみに言うと彼らのデビュー作『Conception Of Madness』の代表曲も収録されており、徹底した速さのこだわりがあった頃の彼らのパワーが横溢している。
コレを聴いたことがなしに、「マレーシアのメタルは死んだ!」などとは言わせないよ。
再度、ボヤキになるが失われた時代はもう戻らないが、彼らが健在ならばいつまでも応援する。