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マレーシアン・エンタメ映画良作ラッシュ、“玉の輿”女の物語『Pisau Cukur』 – アサ・ネギシのページ/Music Raja
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マレーシア・ライターの見聞録

マレーシアン・エンタメ映画良作ラッシュ、“玉の輿”女の物語『Pisau Cukur』

 昨年公開されたバーナード・チャウリー(Bernard Chauly )監督の三作目『Pisau Cukur』は、カビール・バティタ監督(Kabir Bhatia)『Setem』に続き、マレーシアン・エンタメ潮流を決定付ける良作だ。

 『Pisau Cukur』は、玉の輿を狙う美女二人の物語。
 主演は、トップ女優の地位を勝ち得ているマヤ・カリン(Maya Karin)と同監督のデビュー作『Gol Dan Gincu』(05年)に主演したヌル・ファズーラ(Nur Fazura)
 ミニ・スカートからのぞく美脚を披露し、雰囲気からして脱マレー映画の香りが漂ってくる作品だ。


 バーナード・チャウリーは、フットサル打ち込む女の子たち青春を描いた『Gol Dan Gincu』でデビュー。女の子のスポーツという切り口も当地としては新しかったが、マレー語が主でもマレー味を排除し、ストーリーの描き方もリアルで普遍性があることが新鮮だった。同名でテレビ・シリーズも製作され、都市層の若者たちに支持を集めた。
 同作は、05年東京国際映画祭にも出展されて、『ゴールと口紅』という邦題で紹介されている。ちなみに同年のTIFFでは、ヤスミン・アーマッド(Yasmin Ahmad)監督の『Sepet』(邦題:細い目)が、アジアの風部門を受賞し、センセーションを起こしているが、『ゴールと口紅』も当地では脱マレー映画の流れの源流となっていることで重要な作品であった。
 さて新作『Pisau Cukur』は、徹頭徹尾娯楽に特化した作品。
 ダト(社会的貢献がある人に授与される称号で、お金持ちのイメージ)とかマレーシアのイスラム教徒は重婚OKというところで、マレーシアらしい事情もでてくるが、絵がきれいなこと、テンポが良いことなど、マレーシア映画という意識なしに楽しめる。
 あらすじは、こんな感じ。
 ベラ(マヤ・カリン)とインタン(ヌル・ファズーラ)は、ブランド品に身を包み、お金持ちのダトとの結婚を夢見ている。
 ベラは、お金持ちとの交際できるチャンスを与えられるテレビ・ショーに出演するものの、夢はかなわず。ニュースキャスターのインタンは、豪華クルーズに同行するはずだったお金持ちの恋人が、夫人の入院で身動きがとれず、ベラを誘うことに。
 船上で2人は、3人の奥さんを持つダト・ザカリア一家に遭遇。ダトは、船中で毒殺される事件が発生。ジャーナリストの名声を勝ち得たいインタンは、ダト・ザカリアのお雇い探偵アリと一緒に事件解決に乗り出す。
 一方、ベラは策を尽くし、奥さんを亡くしたダト・ヒシャムに接近。ヒシャムの気を惹くために出来ない社交ダンスのコンペに出る約束をしてしまう。ベラは、彼女をテレビで知って、まとわりついてくる青年ファキルをダンスの練習のために利用する。
 果たして、インタンは事件を解決できるか、ベラはダト・ヒシャムの心を射止めることができるのか…。
 
 設定が豪華で、美しいものばかり見せる絵空事的恋愛ゲームのストーリーは、やっぱり当地でも少なくはなく、やはりダト・ザカリア毒殺事件というミステリーの要素を加えたことが白眉。
 90年代のマレー映画では、“商業映画で複雑なストーリーはご法度”のきらいがあり、ましてや推理など、という風潮が強かった。作り手は観衆のレベルをあまり高く設定していなかったようだ。
 最近では、アフドゥリン・シャウキ(Afdlin Shauki)監督・主演の『Los Dan Faun』など、ミステリー仕立ても増えてきた観がある。やはり、映画を観る層も大学生などが増えてきて、頭を使わない作品が逆に受けなくなってきたのだろう。
 ちなみに毒殺事件といってもいきなり深刻なトーンになるわけでなく、ダト・ザカリアの3人の奥さんと2人の子供のうち犯人は誰かという推理ゲームで、結末もちゃんと溜飲を下げてくれる。いわゆる主にマレー系を対象にした映画で、いつも詰めが甘いなぁ、と感じていたボクは、これぐらいの整合性がなくてはだめだと改めて思う。
 さて、ストーリーの縦糸である2人の玉の輿女の人生哲学(?)の方もきっちり、溜飲を下げてくれる。
 インタンはアリに、ベラはファキルに「なぜ、そんなにお金が大事なのか」の問いを投げかけられる。そして二人は、旅の終わりに金よりも大事なものを見つける。
 ここで大事なものとは、宗教や文化のモラルとは無縁の普遍的なもの。
 このあたりは、脱マレー映画たる所以だ。
 ただ、解説が必要なのは、マレーシアのイスラム教徒は重婚OKな部分。
 奥さんがいる身なのに若い女を追いかけるのは、行為を逸脱しなければ、不倫ではないこと。女性のほうも、お金持ちならば第2夫人以降でもいいという人もいるという前提。
 ただ、この作品でも毒殺事件の推理に面白みを与える要素であることもあって、夫人同士は仲が悪いです。
 この辺は、異文化の観衆がマレーシアの映画と意識して楽しめる。
 特にマレーシア映画をみたことがない、という初心者にお薦めの一作だ。

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2 Comments

  1. おーこ おーこ
    2010年2月12日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6.4; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 1.0.3705; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729; YJSG3)
    わたしもお金持ちならば第2夫人以降でもいいわぁ☆と妄想しつつ・・・おもしろそうだなと思ってYouTubeで予告編見てみたら・・・
    一瞬出てきたノーマンKRUに釘付けになってしまいました(笑)
    ミリオネアキャラは似合いますねぇ♪
    来月大阪の映画祭があるんですが、東京から半年遅れのヤスミン監督追悼特集です。
    映画界に勢いのあるうちに他の監督作品がどんどん来てほしいもんです☆

  2. アサ・ネギシ アサ・ネギシ
    2010年2月13日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 6.0; Trident/4.0; GTB6.4; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.21022; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30618)
     ははは、ノーマンに目がいくとはさすが。
     もちろん、カメオ出演でしたが、彼も仕事を結婚している人ですね。
     大阪には、アフドゥリン・シャウキの新作が行きますよ。

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