お待ちかね(?)の1月31日に行われたレシュモニュ(Reshmonu)、新作『Superfine』コンサートの様子を。
稀代のR&Bシンガー、レシュモニュ(Reshmonu)が2年の感覚で新作『Superfine』を引っさげてシーンに戻ってきた。05年に東京アジア・ミュージック・マーケット(TAM)への出演したレシュモニュの音楽への勤勉さと真摯な態度、人を楽しませるサービス精神と心遣いなどを目の当たりにし、彼の活躍が気になっているところだった。
「1月31日に新作発表と無料コンサートを行う」ということは聞いていたが、事前に詳細も調べなかったボクは、会場であるパブの名を聞いて「あんな狭いところのステージじゃ、ファンもロクに楽しめないだろうなぁ」と思い込んでいた。ところが、会場に足を運んだ際に屋外の特設ステージが目に入った。せいぜい新作発表では2、3曲聴かせる程度が並みの地元アーティストのやることだが、やはりレシュモニュはスケール違う。手渡されたセットリストをみると1時間半の予定とあり、彼の力が大きいことに改めて感服した。
さて、記者会見の始まりが遅れたのとメディア各社の個別の取材の対応で、コンサートは予定の午後7時半から大幅に遅れ、8時20分にスタート。会場はショッピングセンターから伸びるレストランが軒を並べる回廊の端にある広場。仕切りを設けず、往来も自由なので、ショーが始まりそうになったらぞろぞろと人が集まり始める。ファンも場所取りのために苦痛な時間を強いられることもなく、非常にいいアイデアだ。
レシュモニュのニュースタイルは、トレードマークの編みこんだ髪をワイヤーで四方八方に逆立てている。コスチュームも袖なしのびったりしたつなぎ。おまけにエリマキトカゲ並みの大きな襟が突っ立っているという、もう“異形”もここに極まった出で立ち。なんだか歌舞伎の演目でも一番ケレンミである『暫(しばらく)』に出てくる頭がカニのようになった鎌倉権五郎景政異形を思い出した。ファンには怒られるかもしれないが、密かに“アジアのかぶき(傾き)者”と呼ばせてもらおう。
観衆が見守る中、ステージに現れたレシュモニュは、「How are you feeling? 」と呼びかける。もちろんファンの答えは「Superfine!」だ。幕開けは、新作の最後を飾るスケールの大きなバラード「Miracle」。3年前にインド洋を襲った津波の惨事から生き残った人々の“奇跡”に触発されて作ったという曲だが、この夜は「息子のモーリスが生まれたことへの思い入れがある曲」と紹介した。最初からアルバム通りのソウルフルな歌いっぷりだが、ちょっと盛り上がったところで聴きたかったのが正直なところ。
ステーにには、キーボード、ギター、バス、ドラム、バックボーカルに加えて、ホーンセッションが入る総勢12人。新顔は、ドラムセットの後ろにいるポール・モリソン。新作でも「Where There Is Love, There Is You」のラテン・アレンジを担当したレシュモニュのあらたな盟友。腕利きミュージシャンを連れてくるレシュモニュの嗅覚も大したものだ。
続いて前作からマレー語曲「Dewana」、そしてインドのパーカッション奏者をステージに招いて新曲の「Leave Me Alone」を披露。「Leave Me Alone」は、パーカッションの使い方に彼の卓越したアレンジセンスのよさを感じたが、ステージでも再現してみせてくれるところに彼のアレンジャーとしてサウンドへのこだわりにも感心する。
ここまでしっとりとした曲が続いたが、ここでサプライズが用意されていた。彼のステージでは欠かせない存在であるキーボードのアチが弾き始めたのは、Coldplayの「Clocks」。聴衆もおなじみの曲が入り、次第に引き込まれてくる。
ここでレシュモニュはステージにゲスト・シンガーとしてテー・タリ・クルー(The Tarik Crew)の女性ボーカリスト、ニナを招いた。そして始まった曲は、新作の冒頭を飾るアップ・テンポな「Where There Is Love, There Is You」。前作における「It’s You That Matters」的な親しみやすいメロディーの曲。ヒップホップ界切っての美人ニナは、ラップ・パートをきっちりをこなし、アルバムの顔である曲の華を飾った。
(写真右:レシュに選ばれた男、DJファズ)
続いてマレー語曲「Cintak Pergi」のソウルフルな歌いっぷりで聴衆を緩やかにスイングさせたあと、ステージでは視覚的にも楽しませてくれる「It’s You That Matters」で会場もリズムに乗ってくる。続いてレゲイのスタンダード「Day By Day」を披露し、聴衆もリズムに体が揺れて心地よくなってきたところで、レシュモニュは共演機会の多い盟友であるDJファズ(DJ Fazz)をステージに。「DJファズは、いつもオレのバックでスクラッチしてくれている」というフレーズに“背中(バック)を掻いて(スクラッチ)くれる”と二重の意味を込めて紹介し、必殺のナンバー、「Hey Waley」へ。ステージには、パーカッション、ドロス奏者とパンジャビ語ラッパーのアルビンドも加わり、「Hey Waley」ワールドの役者が揃い、会場も「ヘイ・ワレ」の掛け合いで次第に熱くなっていく。
余韻を引きずったまま、レシュモニュは「また後で」という声を残して、前半のステージから去った。
後半のステージにレシュモニュは、黒のラメ入りシャツと袴のようにゆったりとしたエスニック系のスラックスといういつもの出で立ちで戻ってきた。まず、トランペットにマレー民謡のフレーズを吹かせて、会場にハミングするように求め、観衆をウォーム・アップ。おなじみのレシュモニュの儀式だ。
そして、タイトル曲である裏声ファンク・ナンバー「Superfine」に。シャウトも決まり、レシュモニュのボーカルも冴えてきた。そして新曲「Hold It」が始まるが、会場のノリが悪かったのか、レシュモニュはスローダウン。曲名の「Hold It(ちょっと待って)」と語り掛け、曲を「Walk Away」に変更。レシュモニュの曲の中でも、一番の歌メロ・ナンバーで会場は再びヒートアップ。会場からも合唱が起こった。メロディーに酔い始めた会場に贈られた次の曲は、Ne-Yoの「So Sick」。曲も声質もレシュモニュの世界にハマっている。続いて披露された愛息に捧げた新曲「Marureece」への流れも自然で、組み合わせの妙にも感心。
「Marureece」が披露されたところで、レシュモニュは会場に姿を現した家族に感謝の言葉を贈り、「両親に捧げる」と演奏されたのはInner Circle「Sweat Along」。ノリが収まらないうちに新作のなかでもダンサブルなナンバーの「The Way It Makes You Move」へ。レシュモニュも腰を揺らすダンスを披露。DJとドラム・ソロを挟んで、後半は会場のノリも全開に近づいてきた。
そしてパンジャビ語ラッパーのアルビンド再びステージに登場。パンジャビ語でまくし立てられて、レシュモニュも母語のマリヤリ語(?)で応酬。アルビンドが英語に切り替えると「なんだ、英語できたのか」と会場を笑わせる。このコンビで演奏される曲は、新作中唯一インド・リズム満開の「Understand」。この曲にかぎっては、ステージを観て体で聴くほうが数倍も楽しい。聴衆もリズムに感応せずにはいられない状態。
(写真右:おなじみの気になるキャラ、アルビンド登場)
会場のノリが冷めあがらぬところで、レシュモニュは「そろそろ終わりに近づいてきたけど何が聴きたい」と話しかける。圧倒的に「Hey Waley」の声が多かったが、その前に「こんな風(Like This)に楽しんでくれ」と、ライブでは欠かせないナンバーの「Like This」へ。
そしてアンコールとしてお約束の「Hey Waley」に流れ込み、レシュモニュからの贈り物を存分に楽しもうとリズムに体を揺らし、「ヘイ・ワレ」を唱和した。
新作、前作、カバーと曲の配分も絶妙で、視覚的にも、そしてトークでも惹きつけるステージだった。1時間半余りの決められた時間の枠で、きっちりと自分の魅力を披露し、聴衆を楽しませる。ライブの魅力が詰まった充実した時間を無料でプレゼントする心意気は、やっぱりかぶき者に通じるのではないか。
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ネギシさん
お久しぶりです。
ドラムの後ろにいたポール・モリソンって、あのポール・モリソンでしょうか?
彼は楽器何をやったんですか?
あの人、ピアノでもの凄い即興のJAZZを演奏したりするんですけど。
ドラムも叩いてたかな・・・と薄らボンヤリな記憶で・・・。
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詳細なレポありがとうございました〜
CDが手に入るのがますます楽しみに
なってきました。
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クミコさん、お久しぶりです。
ポール・モリソン(ds)です。レシュモニュは、PVをkk彼と一緒に制作するとか。
520さん、なんか彼の新作、国内でも手に入れづらいですね。
インターナショナルの棚に置かれているのかなぁ。
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マレーシア国内でも手に入れづらいんですね。
私は先日サンビーニャさん経由で思ったよりも
早く入手できました。毎日聴いてます。
前作よりも大人の雰囲気プンプンという気がします。