またマレー半島北部ペナン島に長居していました。
今回もマレーシアの移動に欠かせないハイウェイの話。
マレー半島をタイ国境からシンガポール国境までの847.4kmを縦断する南北ハイウェイ(PLUS)が、中国正月のマレーシア人の帰省に格段の便を提供した。このハイウェイ、開通したのが94年9月8日。10年とちょっと経った勘定だ。ボク自身は、それ以前のペナン−KL間の移動も頻繁にしていたが、その頃はバスで正味7時間かかった。それがPLUSのおかげで4時間弱の移動となった。それから自家用車の普及もあり、マレーシア人にはマイカー帰省がポピュラーとなったのである。
脱線するが、PLUS以前のバス移動は変わらぬ風景をのろのろと旅するもので、2回の食事・トイレ休憩がある。車内はビンビンに冷房が効いているので、長袖シャツを2枚重ね着し、ひたすら眠ることに務めた。
休憩地の旧式ドライブインでは、現地式ビュッフェといえば聞こえがいいが、要するに24時間頻繁にバス利用客があるので、大量に作りおいた現地料理を盛って置くスタイルだった。作り置きなので腐りかけていることもあり、現地料理を選ぶ作法を学んだのもここだった。こちらでポピュラーなご飯のおかずを選んで取り食べる経済飯を食べる時、おかずの新鮮度ばかりに気を取られていて、ご飯に混ざった小石を噛んで歯を欠いたこともある。
さらにトイレは囲いがあるものの、壁と床が作る直角の部分に半円の穴が開いているだけのものもあり、大の時や女性はどうするのだろうと疑問に思ったこともある。
すべて10年一昔のお話。
さてこのPLUS、前にも書いたように今年1月から10%の値上げ。KLからイポーまでRM26.50、イポーからペナンまでRM16.80。合計RM43.30。これにペナン大橋を渡るためにRM7かかる。(ペナンに入る時だけ徴収。ちなみにクルマでフェリーを利用して渡る時も同額)RM50かかる。
10%値上げには反対世論も大きかったが、管轄の建設大臣の一声で決定した。KL−ペナン間は、320kmあまり。1kmでRM1の料金になったときにも大騒ぎだったが、1km走ってRM1.5払うところまで来た。マレーシアの格安航空会社の特割料金の方が安い事態にまでなっている。
今回の値上げ反対の背景には、PULS区画で起こる土砂崩れによる不通が頻発したことにもあるようだ。03年のハリラヤ・プアサ期間という交通量が1年で最も多い時期に、よりにもよってダマンサラからKL、イポー方面(北)への分岐点という要所でがけ崩れが起こり、利用者は6ヶ月間もの迂回を強いられた。昨年10月にもグア・テンプルンという場所で小規模ながけ崩れが起きている。ついでに言うと96年にはこの地点から500m離れた所のがけ崩れでトラック運転手が死亡する事故が起きている。
そういうこともあり、PULSはテレビCMを頻繁に流し、イメージアップに躍起だ。
今回ペナンからKLに向かう道中で立ち寄ったタパというレストエリアで驚いてしまった。
なんと、バリの庭園スタイルを髣髴させる施設が完成し、エアコンつきのカフェ、31味アイスクリーム屋、何とかキン・ドーナツ屋などがテナントとして営業しているのだ。ボク自身は、旧来の地元料理を売るテナント店(街角の屋台スタイル)でも、料金は外と同じ程度だし、清潔でまぁまぁ美味しいものが食べられるので十分満足していたが、ここまでフランチャイズの波が押し寄せている。
トイレもしゃれた中庭を配した広々としたもので、女性用のトイレの中にある幼児のオムツを代えるスペースには無料のベビーパウダーやローションまで備えている。また、そのトイレが文字通り四六時中掃除されており、ボクは柱まで磨いている掃除人まで目撃した。おそらくマレーシアで一番美しい公衆トイレは、PULSのものだと断言できる。
食事所がないレストエリアでも清潔でしゃれたデザインの公園といった趣で、果物売りのテナントが入っている。ついでにこの果物売りについても昔は、ドリアンの季節になると沿道のガードレールの外から売り子がいて商売していた。買う客は、非常用レーンに停車することになるので、やはり危ないということからかここ6、7年は見ていない。
まぁ、ここまで公団ながら営業努力し、沿道の人たちに職を与え、値上げの批判をかわそうとしている姿には感心せざる得ない。
もう一度繰り返すが、10年一昔。
ホント、自分がおっさんになっていくような話題だなぁ。