Warning: Creating default object from empty value in /home/aisaco/www/musicraja/wp-content/plugins/redux-framework/ReduxCore/inc/class.redux_filesystem.php on line 28

Warning: Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/aisaco/www/musicraja/wp-content/plugins/redux-framework/ReduxCore/inc/class.redux_filesystem.php:28) in /home/aisaco/www/musicraja/wp-content/plugins/wp-super-cache/wp-cache-phase2.php on line 1164
2010年マレーシア映画の総評 – アサ・ネギシのページ/Music Raja
アサ・ネギシのページ/Music Raja
マレーシア・ライターの見聞録

2010年マレーシア映画の総評

 今年の映画界は、興行的に好調だった。

 『Adnan Sempit』(アーマッド・イダムAhmad Idham監督)と『Nangkung』が、それぞれRM766万とRM800万超を記録し、01年から破られなかった『Lagi-Lagi Senario』(アジズ・M.オスマンAziz M.Osman監督)の興行収入記録RM633万を更新した。コメディ・ホラー『Nangkung』の方は、12月24日公開であり、最終的にどれだけ数字が伸びるかが注目されている。この1年で、RM700万の壁を突破しただけでなく、RM800 万の大台まで到達し、映画市場は、まだまだ拡大することを示した。


 この2作の制作は、デービット・ティオ氏が率いるメトロウェルス・プロダクションによるもの。今年劇場公開の25作品中の12作がメトロウェルス作という勢いのよさ。『Adman〜』を監督したアーマッド・イダムは、今年も5作という多作ぶりである。
 メトロウェルスの躍進は、売れっ子俳優をマネージメント契約で囲っていること、そし徹底した商業路線だ。ひとつの企画があたれば、かならず続編を作るのは当たり前なのだが、シリアスものやホラーなどが当たるとコメディとして作品にするあざとさだ。『Adnan〜』は、暴走族モノの『Ramp-it』を意識したお笑いモノ。また、『Jangan Pandang Belakang』と『Congkak』の2つのホラーが当たると『Jangan Pandang Belakang Congkak』というコメディを作るといった具合。タイトルからしてチンケなのだが、きっちり数字を叩き出している。
 
 ただ、メトロウェルス作品、やっぱりマレー系にしかウケないし、新しい部分はあまりなく、個人的には積極的に評価はし難い。TV3など民放テレビ局系プライム・ワークス作品などの商業映画もどっこいどっこいの出来で、見どころは少なかった。

 そんななかでKRUプロダクション作品、エドリー(Edry)監督の『Magika』は、マレーの伝記ヒーローが登場するファンタジックな世界をCGで表現し、ミュージカルに仕立てた新感覚が際立っていた。マレーシア映画祭で最優秀作品賞を受賞し、とうとうKRU流も認められたかという感慨。
 反対に同祭で最優秀監督賞を獲得したシャムスル・ユスフ(Syamsul Yusof)監督の『Evolusi KL Drift2』は、90年代の映画停滞時代のマンネリズムを思い起こさせる作品だった。シャムスル監督の父親は、90年代を代表する大御所ユスフ・ハスラム監督である。監督2作目『Evolusi〜』の評価で、シャムスルは、ハスラムから家督を相続したのだが、悪いところが父親にそっくりなのだ。
 
 デビュー作『KL Drift』と続編『Evolusi〜』で、父親の築いたスコープ・プロダクションのお家芸である当地レベルでは、本格アクションのノウハウを引きついたが、いかんせんストーリーに深みがない。シャムスル自身が演じる主人公が、正義感がゆえにギャングに付け狙われ、友人たちが犠牲になっていくストーリーなのだが、父親の作った数々の恋愛映画と同じく、結末は悲運で結ばれる。
 ただ、その正義感に何の深みもなく、美学もない。監督としても主演としても不運のヒーロー酔っているだけ。はなはだしい勘違いヒーロー振りにフィルムの外まで振り回させられたら、それこそ映画界が悲運の結末に向かいそうだ。
 昨年、カビール・バティタ(Kabir Bhatia)監督の『Setem』とバーナード・チャウリー(Bernard Chauly )監督の『Pisau Cukur』と良作が続いた脱マレー映画路線の“マレーシア・エンタメ映画”は、ジェイソン・チョン(Jason Chong)監督の『Belukar』やママッ・カリッド(Mamat Khalid)監督の『Estet』といった作品でも流れとして引き継がれた観がある。

 『Belukar』は、怪優ブロント・パラエとダファン・イキンの非マレー系キャストが主演する本格的ミステリー。保険金目的の爆破事件を巡り、ギャング組織と組織から足抜けしたい女、そしてその事件を追う敏腕保険調査員による騙しあいを描いたストーリー。フラッシュ・バックで種明かしをする典型的手法だが、当地では新鮮だった。

 『Estet』は、プランテーションを舞台にするマレーシア版ボリウッド(インド映画)・コメディ作品。オーバーアクションとわかりやすいことこの上ない勧善懲悪ストーリーというアナクロ的なインド映画に仕上がっており、作りこんだチープさを笑いにするのが持ち味のママッ・カリッド監督らしい作品だった。
 
 しかし、悲しいことに両作品とも興行収入は、RM35万程度のことで大赤字。新しさがある作品が、興行的にウケないのに憂慮すべき事態である。
 さて、今年活躍が一番目立ったのは、ファリッド・カミル(Farid Kamil)だったかな。メトロウェルス作品に主演する傍ら、『Evolusi〜』や『Lagenda Budak Setan』、『Estet』に出演し、『V3 Samseng Jalanan』で監督デビューも飾った。
 監督としては、『Magika』で監督デビューを飾ったKRUのエドリーか。『Cicak-man』で監督デビューの長兄ユスリーは、賞よりも興行収入だったが、エドリーは最優秀作品と新人監督賞を獲得。これからの活躍が楽しみだ。
 コメディ俳優では、このジャンルの顔であるサイフル・アペッが、サッカー・ワールドカップ中に麻薬所持で逮捕されて干されていたが、その合間を縫って伸びるべきナビルやジザンといった若手が映画では今イチだった。サイフルが戻ってきて、そのままの位置でいるのも映画界の将来としては、心配な気がする。
 女優は、ちょっと印象に残っていない。少なくともマヤ・カリムの不在を脅かすような女優はいなかった。
 最後になってしまったが、故ヤスミン・アーマッド監督の作品で国内では最後の公開となった『Muallraf』が、今月24日に行われた映像・放送分野での作品と人材を評価するのスクリーン賞2010(Anugerah Skrin)で最優秀映画作品を獲得。主演のシャリファ・アマニも最優秀女優賞を受賞した。国内の賞で、ヤスミン監督が対象になるのは、これが最後の機会。銅賞では、彼女の名前を冠した部門が新設され、その名を伝えていくことになる。
 大晦日ですが、みなさまよいお年を。

Facebook にシェア
Delicious にシェア
[`evernote` not found]

2 Comments

  1. saya saya
    2011年1月25日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; FunWebProducts; GTB6.6; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.04506.30; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    かなり遅ればせながら、
    それも、周りのローカルに馬鹿にされながらも、
    『Magika』の本物(笑)のDVD買ったんですよ・・・でも、ワタシ的にはXでした。
    この兄弟のドラマもそうなんだけど、
    なんで登場人物にオリジナリティがないんでしょう?
    見終わって友が一言「受賞する映画と市民に受ける映画は違うんだよ」と。

  2. 2011年2月19日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/4.0; GTB6.6; SLCC2; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; Media Center PC 6.0; .NET4.0C)
    アサ・ネギシさん はじめまして
    日本でマレーシア人ダンナとマレーシア料理店やってます。
    マレーシア映画ヤスミン・アハマーッド監督の作品が大好き。
    2009年、来店したマレーシア人ツーリストから「Muallaf]はまだ本国では公開されてない、日本で見れたのは幸せだよ! と聞かされました。
    2010年、カットされて公開され、亡くなってから賞を取ったなんて、悲劇ですね。
     
    さて、大阪アジアン映画祭2011 では 「踊れ!五虎」が上映されます。
    国産初の中国系映画とのことですが、商業的にはどうだったのでしょうか?
     http://www.oaff.jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

2024年11月
« 6月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

おすすめマレーシア本