そむちゃい吉田の音タイ夢 Vol.2
第2回 タイ語の響き
タイを訪れる時、全ての人が初めて耳にするのが、フライトアテンダントの話すタイ語だろう。耳慣れない者にとってその響きは、中国語にも似ているが、もっと、まろやかで優しい。そして、どこか甘えられているような印象さえ受ける。タイの言語学会によるとそのタイ語が近年、優しい響きを失いつつあるという。原因として、中国からの移民やその子孫が増えたことや、テレビなどで外国人とのハーフに人気が集まるため、外国語なまりのタイ語が日常的に耳に入り込み、普通のタイ人ですらそれをマネして話すことが多くなったためだと言われている。
ひと言にタイ語と言っても、地方ごとに方言もあればなまりもある。ラオスと国境を接する東北部には、ラオス語そっくりの言葉がありイサーン語と総括して呼ばれている。その響きは、日本人が聞いてもズーズー(東北)弁に聞こえるのが興味深く、面白い。また、カンボジアに接する一部ではクメール語の影響を受けた言葉もあり、カメーン語と呼ばれている。
北部方言は、少しラオス語と似たところもあるが、イサーン語よりも響きは優しい。同じ北部でも、チェンマイ方言とは分けて考えられている。ランナー語の系譜を引き継ぐチェンマイ語は、タイ人をして最も美しい言葉と言われている。中部方言は、標準語とされ教育やテレビラジオもこれに基づいているが、テレビドラマなどでは華僑なまりのタイ語が増えて来たように思う。南部地方の言葉は、語尾を切り詰めて発音されるのが特徴。非常にせっかちにも聞こえ、またその早さからタイ人でも聞き取れない事が多いと言う。
これらの他にも山岳民族の言葉やマレー語の影響を受けた言葉など、言葉の上でも多民族国家である事がおわかりいただけるだろう。しかし、異民族の融和が難しい現在にあって、これまでは世界的に稀なほどにうまくいっている。それがなぜ、どこに起因するものなのかを語るには、私の知識も見聞も足りない。しかし、うまく研究すれば世界的は民族問題解決の一助になり得るのではないかと考えるのは、大げさだろうか。
(文・写真:そむちゃい吉田)
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大人のタイ極楽ガイド 大人のイラスト会話タイ語
●そむちゃい吉田
略歴: 1963年5月生まれ
高校卒業後、バンドでプロを目指して都内でライブ活動を続けるも断念。同時期にはXジャパンやShow-Yaなどがアマチュアとして廻っていた。その後、新潟の山で隠遁生活を決め込み、冬はスキーペンション、夏はバイトと言う生活を7年以上続けていた。
そんな中の1992年4月25日 軍隊が民主主義デモへ発砲し、多くの死傷者を出している最中のバンコクを初めての一人旅で訪れる。その一度でタイの魅力に取りつかれて以降、数ヶ月に一度訪タイを繰り返す。
1999年4月25日。世紀末の日本から逃れるため渡タイ。 友人らと小さな会社を興し、細々とバンコクに暮らす。
2002年 バンコク情報誌「Daco」でのルークトゥン特集を監修
2004年3月、タイ女性と入籍。
2004年末、久保田麻琴プロデュース「Hotel Bangkok」(キングレコード)取材協力
2005年末より日本で出稼ぎ中。
【関係書籍】
・大人のタイ極楽ガイド 執筆監修 2006年6月
・新版 大人のイラスト会話タイ語 編集 2006年2月
・楽園生活(ムック) 取材協力 2004年12月
いずれも実業之日本社より
・心にいつも、る〜くとぅん♪ バンコク情報誌「Web」にて隔号連載中
開店休業状態ながら、ウェブサイト:ルークトゥン・タイランド!もある。
(http://loogthungthailand.fc2web.com/)