2007.5月のFM AHB 日本の楽器、箏(琴)とギターが炸裂
FM AHB初登場となる、日本の音楽を紹介。
とはいっても、レーベルはドイツのAcoustic Music Recordsなので、日本発ヨーロッパ経由のアジアンミュージックといえるかも知れない。
ここ数年、日本国内でも和楽器が注目されるケースが増えてきた。初めは津軽三味線をメインストリームとしたパフォーマンス性にフォーカスされることが多かったが、浸透して行くにつれ、伝統的な音楽から、新しいチャレンジを行っているアーティストにいたるまで、様々な切り口で取りあげられるようになってきている。自分たちの国の楽器を再認識するというのは、いたって健全なことだろう。
さて、今回はそんな伝統的な和楽器の世界で活躍する箏奏者が、インプロの世界で活動するギタリストとデュオを組んだことで、二人の音楽性が炸裂、とても面白く、かつ刺激的な音へと変貌をとげた、箏(こと)とアコースティックギターのデュオ:AKI & KUNIKOを紹介。
箏は13本の絃を柱(じ)という可動式のフレットでチューニングするのだが、縦横無尽に展開するAKIのギターに触発され、ライブを重ねていくにつれ、今までの殻を破りどんどん進化していった帯名久仁子(箏)の演奏にも注目。特にライブ音源「Trust」は圧巻の一言に尽きる。番組はファーストアルバム『Ha』を取りあげるが、最近のライブではさらに進化した音を聴くことができる。
ON AIR 放送局
5月5日(土)23時〜30分 調布FM(83.8MHz)
▼エリア(近郊は一部地域)
調布市・世田谷区・狛江市
府中市・三鷹市・稲城市
川崎市多摩区
5月7日(月)23時〜30分 FM西東京(84.2MHz)
▼エリア(近郊は一部地域)
西東京市・練馬区・武蔵野市
東久留米市・小平市・小金井市
いずれも音楽評判堂にてON AIR
Pick up(太字はON AIR曲)
インスト
2005年
Acoustic Music Records
1. Ha
2. Jimi’s Spirit Of Acoustic
3. Suna No Shiro
4. Flash Back
5. Myo-giji
6. Kimigayo
7. Trust
8. Forest In Love
そむちゃい吉田の音タイ夢 Vol.3
第3回 クーデターとタイの人々
1992年5月17日 わたしは初めて訪れたバンコクにいた。それが初めての一人旅であり、約3ヶ月に渡ってネパール、インドネシア、フィリピンとまわる旅の途中だった。夜、シーロムのパッポンで下手な英語を並べていい気分になっていたわたしは、前夜にも同じ店で朝方まで飲んでいた。2回目にはもう常連客のような気分だった。それは、タイ人たちが商売であっても、それを忘れさせる人なつこさとその場を楽しもうという気質を持ち合わせていたからだろう。夜12時になるころ。バタバタと店じまいをはじめる彼らに、なぜきょうは早く閉めるのかと聞いたが、お互いに語彙の少ない英会話では、答えは要領を得ない。「ボクシング」答えてくれたウエイトレスは、考えあぐねた挙げ句にそう答えた。全くわけが分からなかった。ムエタイの国だから、どこかでタイトルマッチでもあるのか?
それを見るために早仕舞い? などと頭の中に「?」マークがいっぱいのままホテルに戻った。それから数日後、パタヤビーチのゲストハウス。テレビに国王陛下の前に二人の男性が、横座りのまま手を合わせる姿が映っていた。そして、バンコクを出る空港でテレビ局のカメラマンと思しき人が手にしていた日本の新聞には、軍による民衆への発砲。国王による調停と写真付きの記事。タイ国内では、軍によって報道管制が敷かれ、新聞もテレビも王宮広場周辺で起きた悲劇を伝えられなかったのだ。数週間に及んだ民衆のデモを力で抑え込もうとして起きた悲劇であり、血の惨劇と言われている。
あれから15年。アジア通貨危機を乗り越えて、アセアンのリーダーとまで言われるようになったタイで、またクーデターが起きるとは誰もが予想していなかった。政権を追われたタクシン前首相も「まさかと思った。」そうだ。しかし今回は、一人の負傷者も無く、いわゆる無血クーデターとして成功した。それは、前回とは全く正反対の目的だったためだろう。前回、1992年は軍が民主化を求める動きを抑えようとして悲劇が起こされた。今回は、民主主義をかさに利益誘導を計るタクシン氏に抗議する民意を軍が代行して行った。端的に言えばこうなるのだが、果たしてそれが全てだろうか。
おとなしくて、従順で、しかし陽気なタイの人々。彼らは絶対王政のもとで数世紀を生きて来た。スコータイ、アユタヤと何代もの王がこの国に君臨している。王朝が変わる時には、やはり軍隊によるクーデターがあった。アユタヤ王朝がビルマ軍によって陥落したあと、タークシン王によるトンブリー王朝が打ち立てられる。しかし、1代限りで現王朝に至るラーマ1世によって、取って代わられる。タークシン王が精神を患ったためだとか、謀略があったなどと諸説あるが、これも武力を持つものによるクーデターには違いない。タイに限らず、王となり国を治めて来たものは武人であった。平和な世の中が何世代も続いて、やっと武力が影を潜め文化の花が咲き始める。日本はその意味では、鎖国のうちに平和な徳川時代は賢明だったと言えるのかも知れない。近代に入り、立憲君主制となった1832年のあとも、クーデターは25回を数える。タイが他国による支配を免れて来たのは、豊かな農作物があった事とは無関係ではないはずだ。それが故に民衆は飢える事が無く、その意味で統治者たちは他国と比べてはるかに政権の維持は楽だった。しかし、好事魔を多しである。国が豊だからこそ、その利権を巡る争いが絶えない。近年にはこれに工業も加わり、利権は更に膨れ上がっているのだ。タクシン前首相は、一見ビジネスマン的手法で政権を運営していたと思われている。しかし、彼は警察官僚の出身。その種類は微妙に違うが、力をバックに利権を確保するという事に関しては同じだ。そして、どこかの超大国がしていることも、規模が違うだけで全く同じ構造ではないだろうか。
クーデターによる新政権を即座に承認したプミポン国王だが、昨年12月5日の誕生日のスピーチでは賢明な注文を付けている。「足るを知る経済」その確立を望むと。国王は、タクシン前首相が持ち込んだ成果主義、ビジネス手法的国家運営をもともと快く思っていなかった。政権を担当する者は、滅私奉公でなくてはならないとも言われた。この度のクーデターにも、背後には利権の奪い合いがある事も見抜いているのだろう。今、まさに利権を巡っての足の引っ張り合いが繰り広げられているタイ。そんな「持てる人々」を「持たざる人々」、一般庶民は諦めにも似た感情を持って傍観している。それは、スコータイに初めて王朝が開かれて以来、何も変わっていないのかも知れない。そのような中で生きていくには、自らをしっかり持って家族を養うために仕事に集中したり、学んだりするものだろう。しかし、教育制度が不十分だったこの国では、そう考える素養も育ちにくかった。だから、「マイ・ペン・ライ。マイ・ミー・パンハー(大丈夫。問題ない。)」そう自らに言い聞かせて、開き直って生きる事しか出来なかったはずだ。だがしかしである。タイの人々が素晴らしいのは、ここで落ち込まず、どうせ望みが無いのなら、何事も楽しく生きたほうがいいと考えた事だろう。明日はどうなるかわからない。だから、今を楽しもうじゃないか。まさしく究極の楽観主義者たちと言えるのがタイの人々なのかも知れない。
▲バックパッカーの聖地カオサン ここでも1992年には軍と民衆との衝突が繰り広げられた。
(文・写真:そむちゃい吉田)
●そむちゃい吉田さんの著作はこちら
大人のタイ極楽ガイド 大人のイラスト会話タイ語
●そむちゃい吉田
略歴: 1963年5月生まれ
高校卒業後、バンドでプロを目指して都内でライブ活動を続けるも断念。同時期にはXジャパンやShow-Yaなどがアマチュアとして廻っていた。その後、新潟の山で隠遁生活を決め込み、冬はスキーペンション、夏はバイトと言う生活を7年以上続けていた。
そんな中の1992年4月25日 軍隊が民主主義デモへ発砲し、多くの死傷者を出している最中のバンコクを初めての一人旅で訪れる。その一度でタイの魅力に取りつかれて以降、数ヶ月に一度訪タイを繰り返す。
1999年4月25日。世紀末の日本から逃れるため渡タイ。 友人らと小さな会社を興し、細々とバンコクに暮らす。
2002年 バンコク情報誌「Daco」でのルークトゥン特集を監修
2004年3月、タイ女性と入籍。
2004年末、久保田麻琴プロデュース「Hotel Bangkok」(キングレコード)取材協力
2005年末より日本で出稼ぎ中。
【関係書籍】
・大人のタイ極楽ガイド 執筆監修 2006年6月
・新版 大人のイラスト会話タイ語 編集 2006年2月
・楽園生活(ムック) 取材協力 2004年12月
いずれも実業之日本社より
・心にいつも、る〜くとぅん♪ バンコク情報誌「Web」にて隔号連載中
開店休業状態ながら、ウェブサイト:ルークトゥン・タイランド!もある。
(http://loogthungthailand.fc2web.com/)
2007.4月のFM AHB ボリウッドの底力!
インドの音楽業界といえば、映画とは切っても切れない蜜月関係にあり、ヒット曲は常に映画から生まれるといっても過言ではないほど。
ハリウッド映画になぞらえてボリウッドとも呼ばれるくらいの映画大国で、テレビが普及した現在でも大衆のハートをつかんでやみません。
さて、今回はそんなインドの音楽事情の中から、日本でも大ヒットした「ムトゥ踊るマハラジャ」の音楽監督として知られる、A.Rラフマーンの音源を紹介します。
ON AIR 放送局
4月21日(土)23時〜30分 調布FM(83.8MHz)
▼エリア(近郊は一部地域)
調布市・世田谷区・狛江市
府中市・三鷹市・稲城市
川崎市多摩区
4月23日(月)23時〜30分 FM西東京(84.2MHz)
▼エリア(近郊は一部地域)
西東京市・練馬区・武蔵野市
東久留米市・小平市・小金井市
いずれも音楽評判堂にてON AIR
Pick up(太字はON AIR曲)
1. Ik Onkar
2. Rang De Basanti
3. Paathshala
4. Tu Bin Bataye
5. Khalbali
6. Khoon Chala
7. Paathshala-Be A Rebel
8. Luka Chuppi
9. Lalkaar
10. Roobaroo
The Rising – Ballad of Mangal Pandey
言語:英語他
2005年
1. MANGAL MANGAL (2.29) – Kailash Kher
2. MAI VARI VARI (4.51) – Kavitha Krishnamurthy, Reena Bharadwaj
3. HOLI RE (4.51) – Aamir Khan, Udit Narayan, Madhushree, Srinivas, Chinmaye
4. RASIYA (5.55) – Richa Sharma, Bonnie Chakraborty
5. MANGAL MANGAL (AGNI) (2.25) – Kailash Kher
6. TAKEY TAKEY (4.31) – Sukhwinder Singh, Kailash Kher, Kartick Das Baul
7. AL MADDATH MAULA (5.55) – AR Rahman, Kailash Kher, Murtaza, Kadir
8. MANGAL MANGAL (AATMA) (4.19) – Sukhwinder Singh, Kailash Kher
アジアの犬たち。その名もアジワン!
アジアの国々へ行くと、自由気ままにうろうろするワンコたちを目にする。
一日中くさりにつながれて、不自由きわまりない日本に比べたら、アジアの国々はまさにワンコの天国。
そんな彼らを「アジワン」とネーミングし、のんきでコミカルなアジワン達の日常を、写真とイラストエッセイで綴った新刊が人気だ。
著者は、明治の愛犬家:平岩米吉の生涯をおった『愛犬王ー平岩米吉伝』で小学館ノンフィクション大賞を受賞した片野ゆかさん。犬と言えばこの作家というほど、犬と人間との関わり合いに造詣が深い。そんな著者がアジアに行っては、旅先で出会った「脱力系ワンコ」たちを中心に全頁フルカラーでアジワンの魅力をたっぷり伝えてくれる。
アジアの犬たち。その名もアジワン!
アジア好きには「あー、この風景あるある!」
ワンコ好きには「わー、この犬かわいい!」
と思わずニンマリの一冊だ。
アジワン―ゆるりアジアで犬に会う
定価:1,300円+税
単行本: 150ページ
出版社: ジュリアン
ISBN: 4902584441
●片野ゆか
1966年東京生まれ。台湾、タイなどを中心としたアジアエリアのグルメ・食文化、人と犬の生活をテーマにしたもの全般について取材・執筆。
『愛犬王–平岩米吉伝』で第12回小学館ノンフィクション大賞受賞。
ブログ『片野ゆかの台湾と遊ぼう』
http://www.taiwankanko.com/yuka/
麻生あかりのYANGON日記 Vol.3
私の夫は歌手である。
そして夫の母はミャンマーで物凄く有名な歌手である。
さらに夫の妹もまあまあ有名な歌手である。
なので、一般的に芸能一家と言えるだろう。
そんなこんなで、夫にライブショーの依頼があると私も一緒についていく。
ミャンマーにいると「なんでも夫婦同伴」をよ〜く目にする。
夫の仕事であろうと、奥さんがついていくのが当たり前なのだ。
歌手が地方に巡業に行く場合でも奥さんは当たり前のように付いていき、オーガナイザーは奥さんの為のホテル代、食事代も持たなければならない。
ミャンマーではマネージャーという存在が存在しないため、恐らく奥さんはマネージャーの仕事兼任と言う感じになっているから…、と言えなくもない。
まあ、さすがに巡業にまでは付いて行かないが、私の住んでいるヤンゴン市内であれば、夫の方も当然のように私が付いてくるものだと思っているので、冷やかし半分についていく。
夫は自分が歌うステージでなくても、歌手仲間から招待される事が多いから、ステージショーに行く機会は自然と物凄い数になる。
そうやって沢山の場数を踏んでいるうちに、私はあることに気がついた。
というか、イヤでも気がつくだろう。
それは、どの歌手も、ものすご〜〜〜く持ち歌が少ないと言う事。
少ないなんてものじゃない。毎回毎回行くたびに同じ歌ばっかり歌っている。
あまりに不思議なので夫に聞いてみると
夫「だって有名な歌じゃないとお客さんは喜ばないから・・・。」
私「・・・」
それじゃいつまでたっても新曲を覚えてもらえないじゃん!(あかり心のシャウト!)
そんなことで、最近では、まあまあ有名な歌手が歌う歌だったら私でも「ああ〜知ってる〜」と口ずさむことが出来るようになってしまった。
だけどさ、お客さんだって飽きると思うんだけどな・・。
毎回毎回同じ歌を歌ってたら新鮮味が全くないじゃん。
それでもミャンマー人特有の気質【その日皆が楽しければ良いじゃん!】の精神に従って、誰も新曲を歌わず、同じ歌手が同じ歌の繰り返しを続けるのであった。
これじゃあ、新人だって育たないよな・・・(ボソっ)
今日も私は夫のステージに付いていき、
「これでいいのかぁぁ〜〜???」と、
1人悶々とするのであった。
●麻生あかり
日緬合作映画「血の絆」の映画撮影後、本格的に語学留学をするため渡緬。その後結婚し、現在ミャンマー在中。
マレーシアで見廻すアジアの暦 仲秋、光の祭り、断食明け
(文・写真:アサネギシ)
マレー系、中華系、インド系というアジアの三大民族が住むマレーシア。一国にいながらにしてアジアのお祭りを見ることができるのが楽しい。今月21日はインド系ヒンドゥー教徒の光の祭り『ディーパ・バリ』、続いて24日はマレー系を中心とするイスラム教徒のラマダン(断食)月明けの大祭『ハリラヤ・プアサ』という2つの宗教にとって最大のお祝いが同時期に重なるのだ。日本で言ったら文字通り“盆と正月が一緒にきた”ような感覚だろうか。地元では、 “ディーパ・ラヤ”という造語もできて、民族の壁を越えてお祭りムードが盛り上がっている。ちなみに飛び石休暇の谷間となる23日も臨時休日が宣言され、 5連休となっている。
こうしてお祭りが重なる理由は、イスラム教、ヒンドゥー教とも新月をもって新しい月の始まりとする太陰暦を採用しているため。ちなみに今月6日の満月は、中華系が名月を眺め、月餅(ゲッペイ)を食べて仲秋節を祝った。名月が欠けるのと同時にラマダン月が終わりを告げる。アジアは、まだまだ月とともに暮らしているのだ。
ディーパ・バリは、善の象徴である光が悪の闇に打ち勝ったことを祝うもの。インド本国では「ディワリー」と呼ばれ大きな祭りではないが、南部出身のタミール人が多数のマレーシアではディーパバリが最大の祭りとなっている。ディーパ・バリはインドと異なる点も多いが、善を演じるのは神クリシュナであることと、光の祭りであることは一致している。ヒンドゥー教二大神の一人ヴィシュヌが化身した人格神クリシュナについては、叙事詩ハリヴァンジヤで英雄として悪を倒す逸話が多く描かれており、正義の象徴として民衆に愛されている。ディーパ・バリの朝には沐浴を行い、頭に香油をつける習慣がある。また、家の中や庭に小さな灯油ランプを置き、正義の象徴である光を灯す風景が見られる。また、両親や親戚を訪れ、団欒を楽しむ時でもある。
ハリラヤ・プアサは実際に新月の観測を行ってから宣言されるしきたりで、今年は24日の予定。ハリラヤ・プアサは1年で最も困難なラマダン月の終了を祝う日で、ディーパバリと同様に最大の祭りであるが新年ではない。こちらは世界中のイスラム教徒共通の最大のお祭りである。ハリラヤ・プアサが宣言された翌朝は新調したバジュ・ムラユ(マレー民族服)を着て、多くの人がモスクに礼拝に出掛ける。そして昼からは普段離れて暮らしている両親や親戚の家を訪れ、歓談や飲食を楽しむ。子供達の楽しみは、日本のお年玉のように袋入りで配られる小遣い、ドゥエ・ラヤだ。
この時期、王室から閣僚といった社会的地位がある人から庶民まで自宅を開放するオープン・ハウスというマレーシアらしい習慣がある。多民族社会のマレーシアは、こういった機会に外国人や民族の違う友人を招き、料理や菓子でもてなして自分たちの民族の習慣を紹介する機会としているのだ。多民族社会の調和の秘訣は、こんなところにもあるのかもしれない。また、庶民でも誰の家が一番お客を招いたかを競い合っているようなところもあって、ほほえましい。
この時期、ぜひマレーシアのお祭り情緒を味わってもらいたいものだ。
この秋、マレーシアの高級茶葉日本初上陸!
マレーシアの大手紅茶メーカー、BOH TEA(ボー・ティー)の最高級ブランド「ガーデン・ティー」がこの9月より日本で発売されることになった。
ボー・ティーはマレーシア有数の避暑地、キャメロニアン高原で栽培される良質な茶葉を使用した紅茶が特徴で、あのオリエント急行の東南アジア路線での車内ティーとして公式採用されるほどの格調高いブランドだ。
日本の代理店をつとめる大信実業(株)によると、近年のティー・ブームは一般的に定着してきつつあり、リーフで紅茶を楽しむユーザー層に幅広くアピール出来るアイテムとして、まさにまんをじしての発売になるそうだ。全6アイテム中4アイテムの日本販売が決定しており、50g・840円〜主に紅茶専門店や、外国食品を豊富に扱う食品専門店、また有力スーパーなどで購入できる。
お問い合わせ
大信実業(株)営業部
TEL :03-5250-3951 (山口・伊勢戸・影島)
▲オリエント急行にも使われているBOH TEA(ボー・ティー)
まさにアジアンハートビートの地〜マレーシアに見る新世代音楽の胎動 後編〜
マレー、中華、インド系、アジアの3大民族からなる国マレーシアで開かれたにクアラルンプール(KL)音楽祭に見るアジア音楽の胎動を、マレーシア在住の音楽ライター、アサネギシがつづるレポート後編。
素晴らしいパフォーマンスを魅せたモーラム(Mohram)に続いて舞台に登場したのは、中国楽器による民族楽団プロフェッショナル・センター・カルチャラル・オーケストラ(PCCO)。音楽監督のチュウ・ヒーチャト氏は香港民族楽団の副指揮者でもあり、楽団自体もシンガポール、香港、豪州で演奏歴があるという。共産主義の本国から離れた華人は、海外でも中国的な伝統を守ることに熱心だったのだろう。曲は京劇など伝統的なものが中心で、今夜の出演者のなかでは異色だったが、10人編成の彼らは民族楽器を紹介しながら高い演奏力を披露。インドやマレーのメロディーを織り交ぜた曲では、聴衆から大喝采を受けていた。
▲まさに民俗楽器のミクスチャーオーケストラ、PCCO
「マレーシアン・クラッシックの夕べ」のトリとなったは、ヴァルナ(Varna)というシタールとアコースティック・ギター、ベース、そしてタブラなどインドのパーカッションという編成。当地で活動する英国人ギターリスト、ジェミー・ウイルソンとシタール奏者サミュエル・J.ダスが中心メンバーで、 Prana名義でアルバムもリリースしている。“ジェミー・ウイルソンのお遊びバンド”といった程度の認識でいた聴衆は1曲目に披露された「Prana Express」で瞠目した。いきなりシタールとギター両者によるロックなみの早弾きバトルが展開されたからだ。先のテンプル・オブ・ファインアーツでもそうだったが、「シタールはゆったりとしたインドの悠久の時を奏でる楽器」という観念を見事にひっくり返してくれた。一曲で聴衆をつかんだバンドは、一転して牧歌的な「Kampunku」へ。マレー語で“ボクの田舎”という意味のマレー語だが、曲はジェミーの故郷である英国の調べ。次にボンベイ・ボサノバと表した曲と、ブリックフィールドというKLのインド人地区をタイトルにした「Brickfield Blues」が続き、ジャンルを自在に飛び越えた曲を披露。特にシタールがブルーズ・ギターのようにむせび泣くところでは聴衆から大きな拍手が沸き起こっていた。最後は「Damascus」というアラブ・ムードを湛えた曲で締めくくり。たった30分で音の世界旅行を楽しませてくれた。
KL 音楽祭では、「ワールド・エスニック・フュージョンの夕べ」と題された2日目にアセアナ・パーカッション・ユニット(Aseana Percussion Unit)というマレー・中華・インドのパーカッションのグループが登場したり、「ジャズの夕べ」と題された4日目でもガンブス(ペルシャ起源のマンドリン)奏者ファリッド・アリ(Farid Ali)と津軽三味線の若き女性奏者、塙(はなわ)智恵の共演がみられるなど“国内にアジアがある国”マレーシアらしいステージが繰り広げられた。
アジアの坩堝(るつぼ)、コスモポリタンのKL、あたらしいアジアの音楽創造地としてマレーシアから目が離せない。(文・写真:アサネギシ)
まさにアジアンハートビートの地〜マレーシアに見る新世代音楽の胎動 前編〜
(文・写真:アサネギシ)
マレー、中華、インド系、アジアの3大民族からなる国マレーシア。アジアに関心がある人々には、よく耳にするフレーズかもしれない。しかし、辛口の人間に言わせれば、「どの民族も移民であって、本物の文化はそれぞれのルーツの本場を超えられない」と批評もあるかもしれない。だがマレーシアには、日常的に各民族の文化が隣り合い異文化に触発されるコスモポリタンな環境から新しいアートが生まれる素地がある。本家でないという立場は、裏を返せば伝統のしきたりや桎梏(しっこく)から自由であるということだ。それゆえタブーとされるものにもあえて挑戦する新世代のアーティストが蠢動(しゅんどう)している。そして伝統文化に根ざしながらも“藍よりも青し”となる作品が萌芽しようとしている。
7月2日から6日まで国立劇場(イスタナ・ブダヤ)で行われたクアラルンプール(KL)音楽祭は、そういった多民族社会マレーシアのもつ風土が面白い音楽を生む地であることを十分に示してくれる機会であった。音楽祭の3日目となる4日のテーマは「マレーシアン・クラッシックの夕べ」。伝統・民族楽器をフィーチャーした地元アーティストのための夜となった。
最初に出演したのはインドの弦楽器シタールとパーカッションにキーボードという編成のテンプル・オブ・ファインアーツ(The Temple Of Fine Arts)。活動歴は25年というベテランだ。彼らの音楽は、独特のリズムとシタールにより必然的にインドの香りが漂うものの、曲調や構成はフュージョンだ。インド風の「ツ、タカタ、ツ、タカタ」という口によるリズム取りが、シタール、キーボードと掛け合うパートが面白い。シタールの早弾きはロック・フュージョン的でもあり、無理に例えてみれば“インド版カシオペア”といった趣だ。ソリッドな演奏とモダンな曲調で聴衆を大いに沸かせ、ショーとしても順調な滑り出しとなった。
▲さすがはベテランの貫禄、The Temple Of Fine Arts
▲素晴らしいパフォーマンスを魅せたモーラム(Mohram)
2番目に登場したのは2作目『Antarssukha』の日本盤をリリースし、12月に来日公演を果たしたマレー民族楽器のデュオ、モーラム(Mohram)。この夜の一番のビッグネームの登場に地元の聴衆が大いに沸いた。モーラムはスルリンというマレー伝統の竹笛奏者のモハールとグンダンやレバナ等を操るパーカッション奏者ラムリーからなる。マレー系の音楽界では、現代ポップスであってもマレー的要素の強い音が求められる場合が多いが、彼らはセッショニストとしてシティ・ヌルハリザ(Siti Nurhaliza)など主要なアーティストとの共演も数え切れないほど多い。また、シティ・ヌルハリザの「Sakti」を作曲したことでも有名だ。
この夜は、ギター、ベース、ドラムス、キーボード、ラテン・パーカッションなど6人をバックに従えた豪華な編成。彼らの持ち味は民族楽器をフィーチャーしながらもモダンでよく練られた構成にある。1曲目の『Antarssukha』の冒頭を飾る「Ombak Hijau」は今夜のような大編成の厚い音でより一層映える曲だ。2曲目はゆったりとした「Asimilasi」。キーボードや打ち込みのリズムをフィーチャーした曲だ。普段は無口なモハールも「文化や宗教などの違いが同化していくことをテーマにした曲」と、音楽祭の観客に向けコメント。ステージを移動しながら演奏しフロントマンぶりを発揮していた。3曲目は一転してリズミカルで民族調の「Lenggang Dara」、そしてデビュー作からスリリングで激しさをたたえた「Pawana Pawaka」を披露。第一人者として巧みなバリエーションと曲順で引き込んでいく。最後は大ステージにぴったりな雄大で美しい調べの「Perahu di Samudra」。30分という持ち時間に彼らの魅力をたっぷり詰め込んでステージの幕を閉じた。
後編へつづく