竹下通りよりお勉強? 今どきの修学旅行
「東京へ修学旅行」といえば、東京タワーに東京ドーム、ディズニーランドに竹下通り・・・と思いきや、最近の中学生はそんなに簡単には遊ばせてもらえないようだ。
5月中旬、銀座のあるオフィスに中学生のグループが入ってきた。あたりはオフィスビルが建ち並ぶ銀座のビジネス街、制服姿の彼女たちはいやがおうにも周囲の目を惹く。宮城県の七ヶ浜町立向洋中学校から修学旅行でやってきた彼女たちは、総合学習授業の一環としてマレーシアの貿易について調べるべく、マレーシア貿易開発公社(Matrade)を訪れていた。
ムスタファ所長のにこやかな出迎えを受けて、固くなっていた表情に笑みがこぼれる。ところで彼女たちはなぜここに来たのだろうか。現在、中学では“総合学習”という科目が組み入れられており、担当教員の大寺先生によると「2年生の終わり頃から、政治経済、スポーツ、科学、美術、文学歴史、国際理解という6 つのカテゴリの中からそれぞれに好きな1つを選択」する。この中で「国際理解を選んだ約20名の生徒たちはさらにアジアの国々の中から「ブルネイダルサラームの観光」「アジアの民族衣装」「中国と日本の観光」「マレーシアの貿易」「韓国について」といった具合にテーマを決め学習。修学旅行で東京に行く機会を使い、テーマに相応しい機関を先生が選び、アポイントを取って直接訪問。他のグループはASEANセンター、日本ブルネイ友好協会、中国国家観光局、国際理解教育センター(ERIC)、あーずぷらざなど、訪問先も様々」だ。
2泊3日のスケジュールで来た約130名の生徒たちは、初日こそ東京ディズニーランドを楽しんだものの(午前中国会議事堂を訪ねているのだが!)、翌日は 1名から2〜3名単位に分かれて、合計9つの商店街にある沢山のお店に行き、職場体験として実際の仕事を経験。最終日は各テーマに合わせて会社や機関を訪問と、遊びの要素は非常に限られており、せっかく東京に来たのだから…と記者は少々気の毒に思った。
5人の代表を務める日高彩さんは、なぜマレーシア?という問いに「日本とマレーシアは貿易が盛んだと聞いて興味を持ちました」と恥ずかしそうに答えていたが、展示フロアにピューター製のディズニーグッズを見つけると、はしゃぎながら写真を撮ったりする普通の中学生に戻っていた。
ムスタファ所長は「弊社に来て、実際にマレーシアの製品やマレーシアの情報に触れてもらうことで、将来の日本を担う若い人たちに、マレーシアに対して興味を持ってもらうことは非常に良いことだ」と、これからもこういった生徒の受け入れを積極的に行っていきたい考えだ。