昨年の映画界の好調ぶりは、昨年のうちに伝えてきたつもりだったが、やはりこの作品のことも少し。
『ポンティアナ2(Pontianak, Harun Sundal Malam 2)』は、昨年12月に公開され、好評を博した作品。もちろん『ポンティアナ』(04年)の続編。前作はアジア太平洋映画祭で主演のマヤ・カリムが最優秀女優賞を獲得した。また前作と同様、スペインのホラー&ファンタジック映画祭でも評価された抱く品。監督はシュハイミ・ババ(Shuhaimi Baba)。最近、マレー人監督に関しては『セペ(Sepek)』のヤスミン・アーマッド監督といい、彼女といい、女流監督の方が話題作を作っている感じがある。
さて『ポンティアナ2』(以下、続編)は、前作の企画段階からある程度用意されていたことがわかるし、しかも前作よりも見どころを盛り込んでいる。マレー映画界では画期的なことだ。
あらすじは、過去に惨殺された踊り子のマリアム(マヤ・カリム)の復讐劇。続編では復讐は完了せず、子々孫々までおよぶというストーリーだ。まず続編の前半は、マリアンの惨殺の一部始終とその後を描写。もちろん、犯人は誰かは前作の次点でもわかっていることだが、ちゃんと新たな謎や伏線を張って、ストーリーが始まる。あと前作で端役だったロシャム・ノールやイダ・ナリダといった大物が続編ではちゃんとそれなりに重要な役を演じている。前作がヒットしたから作った付け焼刃的な続編ではこうはいかない。映画界のストーリーテリングの実力が上がってきた証拠だ。
やはり続編も見どころはホラー映画としてではなく、マレー人の伝統に潜む負と闇の世界。なんだか怨念の塊となったポンティアナ(マヤ・カリム)の姿は日本の幽霊とそう遠くない。
対決するのはマレー伝統の呪術の世界。香港映画のお家芸のワイヤーアクションでみんな飛び回る。最後は地震で地割れが起こるという気合の入った撮影だ。(前作では家が全焼した。それだけでも当地映画としては破格)
ポンティアナが復讐のいけにえに選んだのは、惨殺犯の子孫の赤子。最後はポンティアナに憑依したマリアムと娘であるマリア(ちなみに全部マヤ・カリムが演じている)が邂逅し、マリアがマリアムに自分の母であることを思い出させ、赤子への復習を思い留めさせる。まぁ、そつなくまとめたエンディングだ。
しかし、やはり幽霊は物悲しく、美しい。そして非運をまとえば、さらに美しくなる。この作品の魅力は、人間の情念が運命に対する諦念になったときに奏でられる暗いが、絶対的な安堵を与えてくれる無常の旋律だ。
前作評のときにも書いたけど、マヤ・カリムは伝統衣装をまとっている姿が本当に美しい。ドイツ人とのハーフにかかわらず、本当にマレー的な美しさなのだ。アジアでは、少なくとも日本でも、女性は美しくなければ幽霊にもなれない。(美しくなければ、ただの化け物。蛇足!)
前作に続き、テーマ曲はアジャイ作曲でミシャ・オマールが歌う『Ku Seru』。
この作品の物悲しさを表現して余りある佳曲だ。
現在、VCDがリリースされたので、ご覧になることをおすすめする。
映画館では英語字幕があったのだが、VCDでは確認していません。
(あと、マヤちゃんのもっと解像度がいい写真をお望みならば、リクエストください。ちゃんと原版探します)
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
マヤちゃんではなく、イダ・ネリナさんの美麗写真はございませんでしょうか?(笑)SEPETを見てから、彼女のコケティッシュで魅力的な表情が脳裏から離れません…。
兎にも角にも、新年始めてのご挨拶でございました。マレーシア芸能関係で、また今年もいろいろ動きがあるといいですね。私は今年の一発目として、芸術関係の方の日本上陸を仕込み中です。
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; Hotbar 4.5.1.0; .NET CLR 1.0.3705)
しおんさん、お久しぶりです。
『セペ』のラストシーンでのイダ・ネナリの演技、本当に印象に残る名シーンだったですね。あの意思の強そうな大きな目は独特の存在感をかもし出していますね。でも、生写真はないなぁ。
今年もがんばりましょう。