一週間ぐらいマレー半島北部のランカウイとペナンを巡ってトラベル・ライターみたいなことをしてきた。でも観光地なんて遊びに行くのが一番で、リゾートからカメラとノートPCを背負って毎朝仕事に出て行くもの余計疲れるだけという普通考えればわかることを知っただけであった。
ちょっと古くなってしまったが、やはり先月28日のシティ・ヌルハリザ(Siti Nurhaliza)とマウィ(Mawi)に染まったテレビのことを書いておこうと思う。
まずは民放最大局TV3で3時間半にわたって生中継されたシティとダト・Kことカリッド氏の披露宴。
披露宴にはRM100万もかかっていないと二人は話していたが、予想どおりのド派手婚だったことは確か。(ちなみに英語有力紙ニュー・ストレート・タイムスは、総費用はRM500万と試算している)
市内のKLコンベンション・センターに招かれたゲストは2500人。シティの出身州のパハン王家やマハティール前首相、ナジブ副首相など超VIPが出席もしている。歌手仲間も祝宴で歌を披露したほか、インドネシアからクリス・ダヤンティやヘティ・コス・エンダンなんかもお祝いに駆けつけた。
披露宴の中継としてはたいした盛り上がりはなかったが、ケーキカットの後にシティが「Cahaya Cinta」というオリジナル曲をも披露した。でも、歌詞に「愛は資産があるからじゃない」という一節が盛り込まれていて、ちょっと失笑してしまった。
地元の小学生なんか翌日みんなネタにしているんだろうなぁ。
実を言うと3日にはシティの故郷であるパハン州クアラ・リピスでもファン向けの祝宴の場が設けられ、TV3が生中継。放送時間帯は、TV3の都合で午後11時から深夜0時になっていて、なんだか不自然な時間に食事を口に運ぶ二人の姿が映されていた。
結婚の契りの儀式からKLでの披露宴、故郷での祝宴まで完全生中継。富豪と稀代のスターの結婚は、十分にスポンサーをひきつけ、テレビ局にはおいしい商売となったようだ。
テレビと時代に愛され続けた寵児の蜜月というマレーシアらしい前時代性なのかもしれない。
さてその裏番組にあてられた国営放送RTMによるマウィと元フィアンセのイナ(ノル・ディアナ・ナイム)さんが生出演した『Santai』の方は、“婚約破棄真相激白”といった緊迫した感にはならなかった。イナさんのほうがマウィとの思い出を語ったり、「マゥイとの愛は簡単に忘れられるものではない」と涙する場面もあったが、意外にあっさりとしていた。
まぁ、イナさんが歌手デビューするという事情から実現した企画だからお互いを糾弾しあうような番組にはなるすべもなかろうというもの。イナさんは地方の慎み深い女の子というイメージつくりには成功したようだ。
最後に別スタジオにいた二人が対面して「お互い歌手仲間としてやっていこう」という手打ちをして終わった。
翌々日の新聞は、シティの披露宴は630万人、マウィとイナさんの番組は470万人が視聴したというデーターを発表。人口2500万人のマレーシアとしては、どちらも視聴率的には大成功だった。