F1に参戦しているスパイカーF1は、アレックス・ユーン(01-02年当時のミナルディ所属)に続くマレーシア人で2人目となるファイルズ・ファウジ(写真)をテスト・ドライバーとして起用することを発表している。スカイパーの前身はジョーダンで02年に佐藤琢磨がテスト・ドライバーとしてF1デビューを果たしたチーム。
ファイルズは、一昨年からF1の下のカテゴリーGP2に参戦、シーズンオフには国別対抗のフォーミュラー・カテゴリーのA1GPにも参戦している24歳のドライバー。GP2での入賞歴は、05年に7位1回、10位3回、06年は7位と9位が1回ずつ、10位が2回。
ただ、今回のF1昇格に関してもかなり特異な状況で、ファイルズがレギュラー・ドライバーとして活躍できる可能性についてはかなり厳しいのが現実。
まず、スパイカーは、ファイルズを含む4人のテストドライバー起用を発表。これは異例の多人数であり、大チームでも2人のテスト・ドライバーが一般的。新ルールにより、金曜日にテストドライバーを出走させる選択権があるにしても、4人が平等に起用されるとは考えづらい。
また、テストドライバーとしての前評判や実績でもファイルズは他の3人に劣っているのが現状。F1才能養成所でもあるGP2出身という経歴でも、05年の王者でウィリアムスでデビューしたニコ・ロズベルグ、昨年の王者でマクラーレンからデビューするルイス・ハミルトン、05年2位でルノーからデビューするヘイキ・コバライネンらと比べて見劣りすることは否めない。
やはり、小チームならではの持ち込み資金頼りの“持参金ドライバー”の性格が色濃い。しかしながら、2010年韓国でのF1開催が決まり、開催地消滅の危機にあるマレーシアにとっては、ペトロナスというスポンサーと同時にF1ドライバーの存在は喉から手が出るほど欲しいものであることは確か。インドでのF1開催が着実に進んでいるほか、マレーシアとしては負けられない隣国シンガポールまでF1開催に手を挙げていることを考えれば、ファイルズのF1昇格は悲願だったともいえる。
しかし、中東から東の国で日本以外でGP2レベルドライバーがいることだけでも十分マレーシアはモータースポーツで抜きに出ている国であることも事実。
ファイルズの検討を祈りたい。
ファイルズ・ファウジの公式ホームページ