もうマレーシアを代表する映画監督であるといっても誰も異存がないヤスミン・アーマッド(Yasmin Ahamad)監督の『Mukhsin』(06年)が、世界3大映画祭のひとつであるベルリン国際映画祭でも評価された。
『Mukhsin』は、『Sepet』と『Gubra』の主人公であるオーキッドが10歳のときに13歳の男の子との初恋を描いた作品。昨年の東京国際映画祭で初上映された。
今年は金熊賞に中国の王全安監督「トゥヤの結婚」が受賞し、アジア映画界の好調を示したが、『Mukhsin』は、子供をテーマにした作品部門の「Grand Prix by the Kinderfilmfest International Jury」と「Generation K-Plus Crystal Bear Special Mention」の2賞を受賞した。
有力英字紙スターがドイツに滞在中ヤスミン監督に電話で取材したところ「ドイツでのプレゼンテーションが終わり、帰国していたところ、金曜日(16日)に受賞の知らせがあり、急いでドイツに飛び、日曜日(18日)に授賞式に出席した」という。受賞は期待もしていなかったというところだろう。また、ヤスミン監督は、評価対象になった600作のなかの1作であると説明している。
審査員は、『Mukhsin』について「地域と家族の絆の強さを詩的なイメージと効果的な音楽により演出した、すばらしく、惹きつけられる雰囲気の作品。ウィットに富んだ脚本とユーモラスな登場人物も秀逸。愛情に踏み切ることができない友情、そして愛情に変わったとき、すでに友情と相容れないことを語った物語だ」と評価している。
ヤスミン監督は、「(作品を見終わったあと)世界はまだ大丈夫だ」といってくれたのが一番嬉しかった感想だったと語っている。映画祭全体として暴力など重いテーマのものが多く、『Mukhsin』は清涼剤のようだったことも、評価につながったと分析している。
“世界を救う作品”、すばらしい評価を得たようである。
現地での公開は、3月8日になるとのこと。
映画館に行かなければ。
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