上映禁止措置を巡ってニュースを賑わしているマレーシア人監督ツァイ・ミンリアン(Tsai Ming-liang)のマレーシアを舞台に撮影した英語作品名『I Don’t Want to Sleep Alone』についての続報。
英字紙スターによると当地の検閲局は、いくつかのシーンをカットすることにより当地での上映を許可するという通達をツァイ監督側に送ったという。
それによると主演リー・カンシェン(Lee Kang-sheng)の臀部が露出しているシーン、リーと女優のチェン・シアンチー(Chen Shiang-chyi)の接吻などがカットの対象となっている。また、地元俳優ノーマン・アトゥン演じる移民が傷ついたリー演じる主人公を自宅で介抱する場面で、プトラジャヤでの野焼きのニュースがラジオから流れるシーンも対象だという。
ツァイ監督は、上映が可能になったことには歓迎の意を示しているが、検閲の条件を受け入れるかは検討中とのこと。また、検閲当局の委員会との面会も望んでいると同紙は報じている。
と、ここまでが報道だが、結局「マレーシア人のイメージを傷つける」といった具体性のない理由は通用しなかった。そこまで難癖をつけることは表現の弾圧に他ならないし、国の体裁にまでかかわるという認識ぐらいは検閲局も持ち合わせているようだ。
ツァイ監督にとってもヌーディティ(身体の露出)が検閲対象となることは想定済みだと思う。他の監督のなかには、初めから検閲を通らないことを見越して製作し、当地レベルの“過激シーン”がカットされることを宣伝材料にしていると思わせる人もいる。
とにかく、とりあえず上映禁止を覆したツァイ監督には拍手を贈りたい。
マレーシアが“文化三流国”の汚名を着ずにすんだことも。(もちろん皮肉です)