最近気になる音がこれである。
ベッティ・ボナフェ(Betty Bonafe)の『Ibtisam』だ。
彼女はユー・ウェイ監督の『Buai Laju-jaju』の主演女優で、アルバムを出すと聞いて「副業程度かなぁ」と思っていたが、これが大きな間違い。
当地は、ヤシン(Yasin)などアラブ風ポップスというジャンルがあるが、彼女は全曲アラブ語で勝負してきた。というのも彼女は、アラブの血が4分の1入っていて、アラブ語も堪能のようだ。ちなみに彼女には、オランダとジャワ人、そしてマレーの血も入っているというコスモポリタンな人だ。
プロデュースには、ヤシンのアルバムでも重要な役割を果たしているファリヒン・アブドゥール・ハッタが参加し、アラブ一色。正直なところ、ここまでアラブに傾倒しているとボクの守備範囲外なのであるし、あまりアラブ語のくぐもった発音も好きでないのが正直なところだが、ガンブスなどの民俗楽器と電子音が絡み合う魅惑的な音楽に仕上がっている。
彼女の歌いっぷりも『Buai Laju-jaju』の演技同様の官能さをたたえている。なんだか心臓の鼓動と吐息が歌になっている感じなのだ。
それで、一番耳から離れない魅力をたたえているのがタイトル曲「Ibtisam」。日本の歌謡曲のようなアレンジで聴くアラブ語のささやき…。
アラブ世界のポップス、侮るべからず。