来月、フォーミュラ1(F1)グランプリ(GP)を控えたマレーシア。
下手な横好きレベルの内容で申し訳ないが、自動車レースにかけるマレーシア野望について。
F1直下のGP2にマレーシア・チームが誕生し、ちょっと面白いことになっている。
F1を最高峰とするヨーロッパのフォーミュラ・レースは、2005年からF1直下にGP2が設置され、それまで様々な国のF3000出身者がF1を目指していた状況と比べ、ぐっとわかりやすくなった。GP2における05年のニコ・ロズベルグ(ウィリアムズ)、06年のルイス・ハミルトン(マクラーレン)、07年のティモ・グロック(トヨタ)と年間王者は有望株としてF1に昇進してきている。もちろん日本人には、今年から中嶋悟の息子中嶋一貴がウィリアムズに抜擢されたことでGP2の存在を知るきっかけになったことだろう。
今年からGP2は、1月から4月まで全5戦のアジア・シリーズを開始。新規チームとして参戦しているチーム「Qiメリタス・マハラ」は、マレーシアがモータースポーツ界で日本以外のアジアの覇権を握るべく投じた布石なのである。
(写真左が、フィルハット・モクザニ氏)
もちろん今年のF1の話題は、インド資本による「フォース・インディア」の誕生。資金難が伝えられているスーパー・アグリにインド資本の手が伸びているといわれ、モータースポーツにおけるインドのプレゼンスが大きくなっているのも現状。しかし、金食い虫のF1は大富豪といえども長期にわたってチームを維持することは容易ではない。フォース・インディアの前身のスカイパー、ミッドランドとも1年もチームを維持できなかった。もちろん、フォース・インディアは、インドGP開催の2010年までチームを維持し、第2のインド人ドライバーをデビューさせるつもりだろう。
さて、メリタスでは、99年からマハティール前首相の孫であるフィルハット・モクザニ氏がアジアでのドライバー・マネージメントなどのチーフとして関わってきた。フィルハットの父モクザニ・マハティール氏もマレーシアのモータースポーツ界のタニマチとして手腕を振るっている。フィルハット氏は、05年からチーム・マネージャーとなり、着実にモータースポーツ界で経験を積んできている。そして今年からマレーシア企業の資本も入り、名実ともにマレーシア・チームになった。
(写真:左からルカ・フィリペと吉本大樹)
マレーシアがメリタスを選ぶんだことも慧眼とも言える。このチームは、ナレイン・カーティケヤンや佐藤琢磨というアジアのF1ドライバーを輩出してきた。今年のアジア・シリーズのラインアップは、ホンダからテストドライーバーの機会が与えられたルカ・フィリピと吉本大樹。吉本は、レース関係者からの評価も評判も上々の人材で、機会と体制に恵まれればGP2王者も夢ではないと言われている。(ちんぱん川喜多氏による記事)
その吉本をマレーシア・チームがサポートする。面白くなってきた。
さて、マレーシア・チーム、メリタスが目指すのはすばり、2人目のマレーシア人F1ドライバーを誕生させること。そう今年フォーミュラBMWアジアで最終戦での失格で年間王者を逃したものの、関係者に衝撃を与えた14歳の怪童ジャゼマン・ジャーファー(関連記述はこちら)である。
昨年は、ファイルズ・ファウジ(関連記述はこちら)がスカイパーのテストドライバーに名を連ねたが、シーズン途中の正ドライバー解任劇の際にも昇格レースに彼の名前が挙がることはなかった。(結果は、多数のテストドラーバーの中からではなく、山本左近が選ばれた)ちなみにファイルズもGP2アジアに参戦しているので、もしかしたら彼のF1昇格もありえないことではないが、彼の経歴を見ればもたついている観がある。
今年からマレーシアが意識しないとは絶対にいえないライバル国シンガポールがF1開催を決定し、F1開催国の存続は母国人F1ドライバーの誕生如何にかかっているといえる。
大枚を叩くだけではないマレーシアのやり方を見守りたい。