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10年前の気分再び… – アサ・ネギシのページ/Music Raja
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マレーシア・ライターの見聞録

10年前の気分再び…

 6月の更新が全滅寸前なので、駄文でも…。
 
 3月に行なわれた総選挙後の政治勢力の刷新でニュースは政局の話ばかり。 
 週明けの今日は、野党勢力、人民同盟(ペカタン・ラキャット)のリーダーとなったアンワール・イブラヒム氏が生命の危険を感じ、身を隠している記事が新聞を賑わしている。
 アンワール氏は副首相として当時のマハティール首相からの信任も厚く、97年には前首相が1ヶ月もの長期休暇をとり、アンワール氏への政権禅譲のための予行練習まで行なわれていた。
 それがいまからちょうど10年前、アジアを発端にした経済危機の舵取りで当時のマハティール首相と対立。マレーシアが晴れ舞台として用意を進めてきた英連邦大会(旧英国植民地版オリンピック)開催を前にしたタイミングで、前首相は突然アンワール氏を副首相を解任。そしてアンワール氏が政治的に運動を始めると、警察・司法当局はアンワール氏を同性愛(男色)の罪で逮捕する事態となった。
 ボクも当時、近代化が進むマレーシアの後進的、専制国家的な側面を目の当たりにして暗然としたものだった。
 
 それから10年、アブドゥーラ政権になってアンワール氏は釈放され、実質的に自ら率いる人民正義党(PKR)は総選挙で野党第一党に躍進。アンワール氏も補欠選挙で議員に返り咲くのは確実とされ、野党連合ペカタン・ラキャットによる政権奪取が実現した際には、最も首相にふさわしい人物という了承を取り付けている。
 そのアンワール氏に対し、再び側近が同性愛の訴えを起こしたことが明らかになった。
 10年を経て、同じ容疑、それもアンワール氏の政治的伸長のタイミングを見計らったように持ち上がった。そのアンワール氏は警察や軍部の情報当局による密殺を恐れて、身を隠しているというのが、今日のニュースの大雑把な説明だ。
 
 事実はどうであれ、どう考えても政権与党側からの攻撃と世間はみるだろう。政権与党のイメージダウンになる公算の方が大きいのではないか。また、同性愛の容疑というのは、どういうことか。もしかしたら「今度こそ本当か」と思わせる裏の裏をかく心理戦か。
 
 アブドゥーラ首相は、マハティール前首相との対立がのっぴきならない状況になると、前首相の独裁的な側面を支えた司法の制度改革を打ち出したばかりだ。前首相の負の遺産を本当に清算できるのか。また、アンワール氏に関わる件でも社会正義を実現する裁判が行なわれるのかどうか。
 ボクも総選挙で圧倒的与党支配の後退により、ゆるやかに2大政党の時代へと移行し、民主化が進むと楽観したいのだが、まだまだ道は遠そうだ。
 そして再び襲ったきたこの暗澹たる気分がいつ晴れるものなのか…。
*一部、追加報道による事実関係の誤認があり、訂正を加えました。

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