F1も日本GPが終わり、そろそろ終幕に向かっているが、久々にモーター・スポーツの話題を。
こんなことは、モーター・スポーツに野心を燃やし続けるマレーシアでしかなかろうという話なのだが、F1直下のカテゴリーGP2に昨年誕生したアジア・シリーズの08/09シーズンに元F1ドライバーのアレックス・ユーン(Alex Yoong)が参戦することが9日、発表された。
もうちょっと説明するとGP2アジア・シリーズの発足と同時にマレーシア・チーム、「マイ・QI・メリタス・マハラ」が誕生し、昨季はホンダのテストドライバー、ルカ・フィリピと吉本大樹が参戦した。
GP2というとF1を狙う若手ドライバーの登竜門で、歴代年間王者はF1で活躍している。
年間王者を経てF1に昇格した名前を挙げても、05年のニコ・ロズベルグ(ウィリアムズ)、06年のルイス・ハミルトン(マクラーレン)、07年のティモ・グロック(トヨタ)と、かなり有望株であることが分かる。
01-02年にミナルディでF1に15戦参戦したことがある32歳のユーンが、そういった若者たちに混ざってレースをするのはかなり異例なのだ。初めは、アドバイザーとして参加するのかと思って、かなり耳を疑ってしまった。
マイ・QI・メリタス・マハラはヨーロッパ・シリーズには参戦していない小規模チーム。ユーンの経験をもう一人のドライバーでフォーミュラBMW時代から育成しているアール・バンバー(Earl Bamber、18歳)とチームの成長のために役立てようということのようだ。
もうひとつついでに言うと、マレーシア・モーター・スポーツ界が重要視している国別対抗戦A1GPで、F1スカイパー(現フォース・インディア)でテスト・ドライバーを務めたことがある地元ドライバー、ファイルズ・ファウジ(Fairuz Fauzy)がA1でも実力を発揮し、ユーンもA1卒業できた事情もある。
先週末開幕したA1GPの08/09シーズンの緒戦オランダで、ファウジはスプリント・レース1位、フィーチャー・レース2位という好成績を挙げ、マレーシアは首位でシーズンのスタートを切っている。マレーシアは今季で4シーズン目のA1参戦だが、1年目は5位、2年目は6位と欧州を中心とする参加国に伍してきたが、3年目は15位に終わり、インド、中国というアジアのライバル国に遅れをとる結果となった。
今のところまだF1昇格も可能性もある場所にいるファウジの活躍も楽しみだ。
GP2アジア・シリーズは、17日から開催されるF1中国GPとの併催で開幕し、来年4月18日のドゥバイまで全6戦を戦う。
やっぱり、ユーンといえば、02年F1開幕戦の豪州GPで非力なミナルディを7位でフィニッシュさせた走りや06年のA1中国GPで圧倒的な巧さで2レース完勝した姿などは忘れられないね。とても一流とはいえないんだけれど、渋い走りを魅せてくれるドライバーなのだ。
マレーシアという国に生まれたからこそGP2で走ることができるのだろうが、こうなったらとことん彼のドラマに付き合うつもりだ。