来季からエア・アジアなどマレーシア企業の支援で復活するロータスF1のドライバーが、14日(月)発表された。
大方の予想通り、元トヨタのヤルノ・トルゥーリとマクラーレンを離脱したヘイキ・コヴァライネンという顔ぶれとなった。また、第3ドライバーとしてマレーシア人のファイルズ・ファウンジの起用も同時に発表された。
ロータスのシートについては、今季デビューした小林可夢偉や08年半ばのチーム消滅により“浪人”している佐藤琢磨の名前など、アジアつながりで日本人ファンを期待される名前が挙がったが、チームとしては現在のドライバー市場のなかで最良といえる人材を確保したといえる。
9月15日、ロータスF1の計画発表当初は、ナジブ首相が出てきて、マレーシアの技術と人材でマレーシアF1チームを作ると能天気な発言があったころに比べて、新チームとしては破格の株価上昇というべき現象が起きている。当初はマレーシア人ドライバー、ファウジを乗せることが規定路線と思われていたが、トヨタなどの撤退やブラウンGP(現メルセデス)などの興隆により、期せずして大物ドライバーが吸い寄せられてきた形だ。
話は外れるが、日本市場に関してチーム代表のトニー・フェルナンデス氏は、あまりいい印象を持っていないきらいがある。トニー氏の本業格安航空会社エア・アジアなどの企業が目指すところは、価格破壊。エア・アジアも当然、日本路線を開通を進めているが、日本の規制の壁に辟易しているようすである。まぁ、それが日本人ドライバーを選ばなかった理由にはならないが…。
“ブランド・バブル”とも言うべきロータスF1だが、もともと海のものとも山のものとのつかないマレーシア企業が、メルセデスやフェラーリという金持ち企業が顔を利かせるF1という社交クラブでやっていくために名門ロータスを担ぎ出した事情がある。
ただ、ロータスの名前の重さは、予想以上であった観もある。マクラーレンでダメ出しされたとはいえ、新チームながらコヴァライネンを確保できたのだから上出来だ。
トニー氏も当初、シーズンの開幕を見届けてチーム代表を退く、と発言していたが、12月に入り、師弟関係にあるリチャード・ブランソン氏が、同じく来季から参戦する新チーム、マノーのスポンサーとなったことで、トニー氏も後には退けなくなった。
トニー氏は、英国留学後、ヴァージン航空で働いた経験があり、01年に休眠状態だったエア・アジアを現在の規模に育て上げた。今度はサーキットで本家ヴァージンに挑むことになる。
パドックでもアジアの快男児トニー氏の快活なストーリーが展開しそうで、楽しみだ。