非常に不鮮明だが、バッタのような虫。
後肢はしっかりと発達していてバッタだが、
羽もよく発達していてイトトンボやムカシトンボほどもある。
したがって通常のバッタの『跳躍を補助する』といった
飛び方ではなく、ホバリングも出来そうなスムースな飛翔を見せる。
(ホバリングは未確認)
もしかすると日本でも珍しくないのかもしれないが、
私がこの虫に注目するのは、必ずキヌガサタケの存在が近くにあるからだ。
今回は私がこの虫をみつけたすぐそばで、同僚がキヌガサタケを発見した。
帰りにこのキヌガサタケの個体をみてみるとすでに小さな昆虫に食い荒らされていたが
このバッタ様の虫も近くで確認できた。
何か特別な関係があるのかもしれない。
次はこちらも若干不鮮明だがトサカの大きなトカゲだ。
尾の先までだと全長40センチを優に超えるかなりの大型だ。
しかし何よりこのド派手なデザインに惹かれる。
尻尾のしましまは魅力である。
今回はこの個体のほかにもう一匹別の場所で確認できた。
キヌガサタケはぜひ画像検索してみてください。
高級中華食材としても有名です。
マレーシアのは白っぽい種類です。
朝方かなりの雨があったので川の水位が心配だったが、
上流部では大雨がなかったようで、晴天の下、透き通った清流沿いの
トレッキングとなった。
女性が8人もいると、記念写真を撮ったりおしゃべりしたりで
かしましいばかりで中々進まないが、森が深まるごとにだんだん
真剣にかつ静かになってくる。
しかし最初のヒルをみつけたころから、今度は悲鳴が多くなる。
今回はまたとりわけ多かった。
最初のころは大騒ぎしていて見ることすら恐れていた彼女たちが
だんだん慣れて、自分の指ではじき飛ばすようになってくる。
何人かは食いつかれて血を流すような目にあったようだが、
この実体験の強みは何にも換えられない大きな財産だと思う。
実験のサンプルとして集まってきた土や植物を見るたびに、
彼女たちは湿った落ち葉のことをヒルのことを思い出してくれるだろうか?
人の入っている地域のゴミの多さのことも思い返してくれたら
とてもうれしい。
次回は彼女たちが目撃した森の生き物を紹介する。
しかしマレーシアの自然愛好家は、『HHH』をプロレスラーとは
思わないことが多い。
そしてちょっと複雑な思いでこの『HHH』の文字を見ることになるはずだ。
ハッシュ・ハウス・ハリアーズ(HHH)。
マレーシアはクアラルンプール生まれのゲームの名称だ。
簡単に言えばジャングル内での鬼ごっこである。
逃げ手は目印になるものを落としながら逃げる、
追っ手はその目印を頼りに追いかける。
勝ち負けを競うものではなく、ジャングル内の厳しいルートで
迷わずへばらずゴールに辿り着くというゲームなので、鬼ごっこというのは
正確ではないか。
むしろ地図やコンパスを使わないオリエンテーリングという感じだろう。
そして時間も競わない。
なんのためにこんな辛いことをやるのか?
それはビールをおいしく飲むためなのだそうだ。
英国人はこういうバカげたことを真剣にやるのが好きだよね。
さて前述の『複雑な気持ち』とは何のことかと言うと
ルートを作る人が落としていく『目印』に関係がある。
逆さまなので90度回転させてアップにしたものがこちら。
ビールの絵が見えるだろうか?
これがジャングルの中のルート沿いにずうっと落ちているのである。
かつては『小麦粉とおがくず』だったそうだが、最近はもっぱら10センチ角の紙切れだ。
ジャングルの中にこの白い紙が落ちているのは興ざめだ。
しかし、新しい紙を拾ってしまったりしたら、参加者が迷子になるかもしれないので
それもはばかられる。
彼らは自然愛好家ではなく、ビール愛好家であるので、
ジャングルの環境が悪化することなど気にならないに違いない。
ひとつビールをよりおいしく飲むために、
ゴミを拾うところまでをゲームにしてくれないだろうか?
*現在世界中の50カ国以上に支部があり、十万人単位の人が楽しんでいるそうである。
ボルネオ島だとレンタカーということになるので、いつも自分の好きな音楽という
わけにはいかないが、カーラジオからお気に入りの曲が流れてくると
何か幸先がいいような気がして嬉しくなる。
マレーシアは割合うす曇りの日が多くて、突き抜けるような青空にはなかなか
お目にかかれないが、プランテーションの中をつっきるハイウェイに青空というのは
油ヤシの濃い緑とのコントラストがすばらしく、ついついアクセルを踏む足に力が入る。
このシチュエーションの場合、以前はドゥービーブラザーズが定番だった。
「チャイナ・グルーブ」で始まるベスト盤なんてやっぱり気持ちいい。
もちろん中学生時代に初めてラジオの洋楽ベスト10番組を聞いた時以来のごひいき
KC&ザ・サンシャインバンドもいい。不健康な夜のダンスミュージックなのに
昼間のハイウェイにも違和感がない。昼間っから「That’s the way aha, aha」である。
でもシチュエーションに一番合っているのは「Keep it comin’ love」かな。
ところが最近ピーカンのハイウェイで定番になっているCDがある。
それはブルーハーツ。「リンダ・リンダ」のあれである。
かなりの音量でかけて、全力で歌いながら走る。
ちなみにボーカルの甲本ヒロトとは誕生日が一緒。
1963年と年まで同じの45歳、あちらは相変わらず細いけどね(涙)。
歌詞の良し悪しは音楽の二次的な属性でしかない、というのがトシの長年の
主張なのだが、あれだけ簡単な言葉ではっきりと歌われると歌詞を無視できない。
ちっとも色褪せないというのはやっぱり強いものなのだろう。
彼らの曲は懐メロに聞こえない(トシの世代だけか?)。
先日は30代のお客さん二人を北部のジャングルに迎えに行き、
帰り道は大ブルーハーツ大会である(笑)。
ちなみにローテーションの相棒は「落語名人会 古今亭志ん朝シリーズ」。
「明け烏」「宿屋の富」「佃祭」なんかを好んで聴く。
ギャップありすぎか…でもいいんだよねー。
もちろん皆さんにはどうでもいい話ではある。
パプアニューギニアでは樹上と根元に。
マレーシアの森林では根元に。
色こそ異なるがおそらく同類であろう。
どちらもかなり不気味な姿である。
ちなみにかなり硬い.
ベゴニアを特徴づけているのはなんと言ってもその葉だろう。
全体の形は様々だが、そのすべてが左右非対称なのだそうだ。
写真には2種類のベゴニアの葉が写っている。
左上に見られるのは葉がしっかりとして光沢のあるタイプ。
右下の方は日本のベゴニアでもおなじみ、肉厚で柔らかく表面に毛があるタイプだ。
こちらは毛のあるタイプのクローズアップ。
そして花。野生種は花数が少ないけどやはり楚々として美しい。
葉はつるつるのタイプである。
霧に包まれた森の入口。
この入口までの舗装路の部分も含めると全行程で20km強。
やはり鈍った体に登りっぱなしの5kmはしんどい。
すぐに口中はからからで、唾液が粘って喉にからみついて
吐き気がする始末だったが、水を少しづつ含んで落ち着かせると
体の方も徐々に調子が戻って来た。
Mossy Forestと呼ばれる苔むした森林の入口に辿り着いた時は
スタート時より元気なくらいだった。
落ち葉や枝が完全に分解されずに堆積している地面は水を含んだスポンジのよう。
木に着生している苔類が音を吸収するかどうかはわからないが、非常に静かな世界だ。
霧につつまれた苔むす森に佇むと、何やら厳粛な思いが体中にしみわたる気がする。
がらにもなく厳粛な気持ちになる。
森林は心を落ち着かせ、元気にしてくれる。
やっぱりなくてはならないものなのだ。
一旦、存在を確認してしまえば、
花はかなり大きいし、その独特の形状から
目が離せなくなるが、黒っぽい紫の花は
ジャングルの薄闇にしっとり溶け込んでいて
見逃してしまう人も多い。
花と葉を見ればわかるように、ユリの仲間ではない。
これでもサトイモ(サトイモ科)などを比較的近いグループに持つ、
タシロイモ科の植物なのである。
ネットで検索するとブラックキャットという種が園芸植物として
比較的ポピュラーであることがわかるが、
ジャングルでみかけるこちらの方が気品があるように思えてならない。
もしブラックキャットがブラックリリーの園芸品種だとしたら、
トシは野生種であるブラックリリーに間違いなく軍配を挙げる。
もっともこの行司、ジャングルに対する依怙贔屓のきらいがあるのだが。。。
こちらは少しクローズアップしたもの。
デジタルカメラで撮影したので、背景が明るくみえるが
薄暗いジャングルに高さ5−60センチもあるこの花がすうっと立っている
姿は、毅然として美しく、さらにやや不気味でもある。
この花に出会えた日は何やら得をした気になるから不思議だ。
都市と近いということもあって、遠くから
町のざわめきが聞こえるのは残念だが
そこそこジャングル気分が味わえる。
その森林の中に数多くある板根のなかでも
おそらく、もっともワイルドな板根がこれ。
ちょっとわかりにくいが、高さ3メートルほどの
卵形の岩を覆うような形で板根が張っている。
トシはその岩の上に立っているわけだ。
板根の幅はそれほどではないが、一体、どのように形成されたのか?
また、岩の上に乗っかっているような木に、果たして板根が必要なのか?
非常に興味深い。
撮影:S.kobayashi