HHH

HHHを「エイチ・エイチ・エイチ」ではなく「トリプルエイチ」と
発音する人はきっとプロレスファンだろう。
世界最大のプロレス団体WWEの看板スターの一人
『ハンター・ハースト・ヘルムスリー』の通称だからだ。
やられっぷりが見事な本当のプロである。


 
しかしマレーシアの自然愛好家は、『HHH』をプロレスラーとは
思わないことが多い。
そしてちょっと複雑な思いでこの『HHH』の文字を見ることになるはずだ。
ハッシュ・ハウス・ハリアーズ(HHH)。
マレーシアはクアラルンプール生まれのゲームの名称だ。
簡単に言えばジャングル内での鬼ごっこである。
逃げ手は目印になるものを落としながら逃げる、
追っ手はその目印を頼りに追いかける。
勝ち負けを競うものではなく、ジャングル内の厳しいルートで
迷わずへばらずゴールに辿り着くというゲームなので、鬼ごっこというのは
正確ではないか。
むしろ地図やコンパスを使わないオリエンテーリングという感じだろう。
そして時間も競わない。
なんのためにこんな辛いことをやるのか?
それはビールをおいしく飲むためなのだそうだ。
英国人はこういうバカげたことを真剣にやるのが好きだよね。
さて前述の『複雑な気持ち』とは何のことかと言うと
ルートを作る人が落としていく『目印』に関係がある。

逆さまなので90度回転させてアップにしたものがこちら。
ビールの絵が見えるだろうか?

これがジャングルの中のルート沿いにずうっと落ちているのである。
かつては『小麦粉とおがくず』だったそうだが、最近はもっぱら10センチ角の紙切れだ。
ジャングルの中にこの白い紙が落ちているのは興ざめだ。
しかし、新しい紙を拾ってしまったりしたら、参加者が迷子になるかもしれないので
それもはばかられる。
彼らは自然愛好家ではなく、ビール愛好家であるので、
ジャングルの環境が悪化することなど気にならないに違いない。
ひとつビールをよりおいしく飲むために、
ゴミを拾うところまでをゲームにしてくれないだろうか?
*現在世界中の50カ国以上に支部があり、十万人単位の人が楽しんでいるそうである。

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