なんとまぁ、帰国(ボクにとってはマレーシアに来ること)して以来、レコード店を覗く機会もない有様。ちとばかり忙しいのであります。
それでも音楽業界の人は私のことを覚えている(もちろん変な日本人としてだけでしょうが)ようで、記者会見やアルバム発表などの招待状を送ってきます。
今日受け取ったのは、「ソニー・BMG・ミュージック・エンターテイメント」からでした。先月、地元BMGにNHK−FMでの録音音源を届けに行ったら引越しの最中でした。音楽業界の巨人の合併がやっとマレーシアでも始まったということです。
しかし、マレー音楽市場的に見れば、ソニーもBMGも下火と表現せざる得ない状態です。
90年代前半には、Search、Wings、M.ナシール、ジアナ・ゼインなどを擁し、王国を築いたBMGも最近では復古盤のリリースしかみられず、かろうじてミシャ・オマールの登場で生き延びている感じです。
ソニーも女優業の方が忙しい元ミスマレーシアでKRUの次兄ユスリーの妻であるエラ・ファジーラとアジア・バグース出身のエイミー・マストゥーラ以外は、インドネシアのアーティストのマレーシア・リリースで持っている感じです。
ちなみにマレー音楽市場で勢いがあるのは、ワーナーとEMIです。
ワーナーは、シーラ・マジッド、ザイナル・アビディンといったベテラン、無二のソウルフル・ボーカルのニン・バイズーラ、アラブ風ポップスのヤシンらを抱えています。
EMIも地元インディーズの雄、ポジティブトーンを買収し、Too Phat、Ruffedge、V・Eらの意気のいいヒップホップ勢などが活躍しています。日本盤が出ているPop ShuvitやButterfingersもEMI陣営です。
今回の招待状では、ソニー・BMG陣営はアズハリナというマレー系の女性歌手の他、ソウルR&Bの新星レシュモニュやアイドル発掘番組『マレーシアン・アイドル』の勝者、ジャクリーン・ビクターらを順次リリースするとのこと。
ちなみにレシュモニュとジャクリーン・ビクターはインド系。彼等がマイノリティーとしての強さである英語とマレー語で歌えることをどれだけ武器にして、音楽界に切り込んでくるかが楽しみです。
レシュモニュは、昨年デビュー作をリリースしたもののインド系のレコード会社が倒産。今年彼がブレイクした後にCDは完売し、彼の音楽が聴きたくても音源が手に入らない状態でした。新作には、デビュー作の音源も多く収録されるという話です。今後、マレー音楽でなく、全人種を対象にしたマレーシア音楽を語るとき、レシュモニュの名は忘れてはならないものになりそうですので要チェック。
ジャクリーンも人種を超えたマレーシア人が屈服した圧倒的な才能です。
あのザイナル・アビディンをして、「シティを打ち負かせるのは彼女だけ」と絶賛させたほどです。
楽しみになってきました。