新作レビューを。
4人組ヒップホップ・グループ、Ahli Fiqir (アリ・フィキール)のデビュー作『Hari Ini Dalam Sejarah』。
ジャケットを店頭で見たときは、どんな音楽かも想像できなかったし、アラビア文字風のデザインでアーティスト名さえも読めない始末で、しばらく手が出せなかったのだが、これは革命作といえるほどスゴイ。
本作は、マレーシア・ヒップホップでは珍しく、全曲マレー語。(やはり、英語とマレー語曲のどちらかが入り混じるのが普通なのだ)それも本格的にマレー民謡とヒップホップの融合を目指しているのだ。過去にもToo Phatが「Anak Ayam (Freak To The Beat)」や「Ala Canggung」といった曲でマレー民謡でラップする曲を作っているが、アルバムの全体のトーンからみればあくまでも遊び的な感じがすることは否めない。
彼らの場合はマワルバルドゥリという結構なレベルで民謡も歌える専任女性ボーカルがいる気合の入りようだ。「Angguk-Angguk Geleng-Geleng」や「Kalau Melayu Memang Melayu 」などヒップホップとしてのアレンジ自体はそれ程新しい感じはしないのだが、民謡のメロディーにキレのあるラップがのるサウンドは文句なくカッコいい。ただ民謡や懐メロをラップやメタルにアレンジした曲は当地でもいくつかあるが、彼らの場合メロディとリズムをどこまで取捨選択するかが大胆であるという面でセンスが段違いである。言い換えればカッコよさとダサさの境界線の見定め方が絶妙なのだ。
また彼らの場合あくまでもラッパーであることにもこだわっていて、扇情的にメッセージを伝えるスタイルを持ち味としている。マレー語はけっこうアジテーションの表現が得意な言語で、彼らの怒涛のように言葉が叩きつけられる。メッセージとしているのは“マレー”であること。ちょっとタイプは違うがインドネシアのIwa-Kのような熱さがある。
当地でもヒップホップ界は活況で、話題作りのための目新しさやウリは出尽くした気がする。それでも誰もが気づいているようで取り上げなかった“マレー人であることとマレー語”というテーマでこれほど革新的な作品を作ることができたのは驚きだ。
久々に入魂という言葉が感じられる表現者の登場に喝采。
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お久しぶりです。
これがアリフィキルのデビューアルバムなんですね〜
1年くらい前に8TV、ジェイソンローの番組「スタバ内の最悪環境の中で歌手に歌わせよう(本当の番組名はlatte8)」で痛々しくsamseng歌っていたのを覚えていますから、かなり「暖めた」アルバムなんでしょう。
>言い換えればカッコよさとダサさの境界線の見定め方が絶妙なのだ。
まさに!100%同意です。米ラップで例えると「バスタは知っているが、ジャルーは知らない」みたいな(笑)
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ssjさん、さすが。
アリ・フィキール(リーダー個人のアーティスト名)もヒップホップ・ファミリーのなかでは注目されているようで、V.Eのアルバムなどにも共演していたはず。
本作も配給元こそWEAですが、新興レーベルのパワーレコードが制作なので、今の音楽界の現状ではアルバムデビューまでには時間がかかってしまうようです。
ところでオンエアー回数の多い「Samseng」は、彼らの本質が現れている曲とは言いがたいですね。「Samseng」を聴かされたのでは、アルバムは買いに行かないよなぁ、って感じ。
最近、ラジオ局でオンエアーされている「Angguk-Angguk Geleng-Geleng」を面白いと思ったら、アルバムも気に入ります。きっと。
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>「Samseng」を聴かされたのでは、アルバムは買いに行かないよなぁ、って感じ。
はは、Samsengを聞いた当時は正直、teh tarik crewみたいのと同列に思ってました(笑)rap=gangsta=samsengって「おいおいそのまんまかよ」見たいな(笑)
ところでアサさんに「さすが」とか言われると、またどっかの掲示板にたむろってる「インターネット不良君達」の僻み、妬みの対象になりそうでちょっと怖いです(笑)