ちょっと間が空いてしまったのだが、ローカル・サッカーの話題。
マレーシア杯準決勝第2レッグ、トレンガヌ対セランゴール戦は1-1、2試合合計でセランゴールが4-2で勝利。10月1日の決勝戦は、スーパー・リーグ(1部に相当)王者で2連覇を目指すペルリスとプリミア・リーグ(2部に相当)の顔合わせというシーズンの終幕にふさわしい展開になった。
セランゴールは24日(土)にFA杯決勝で昨季王者ペラと対戦を控えており、国内最強サポーターが燃えに燃え上がる。地元サッカー関係者は、「セランゴールだけは、ひょっとしたら欧州に匹敵するクラブチーム」と言う。クラブ運営資金の潤沢さはマレーシア随一で、サポーターが熱い。実力も昨季こそ低迷でプリミア・リーグの降格という憂き目に遭ったが、強豪という言葉が一番しっくりするチームだ。97年には何を間違えたか現役イングリッシュ・プリミア・リーガー、トニー・コテェイ(ウェスト・ハム)がプレーしていた。
それで3冠を狙える位置まできたセランゴールの復活劇という美味しい展開を迎えているのだが、クラブにとっては落胆の一語に尽きるニュースが舞い込んできた。
「マレーシア杯、FA杯の優勝賞金は無し」というもの。
マレーシア杯の優勝賞金はRM10万、FA杯はRM15万。物価的には1000万円、1500万円の感じか。それが出ない。選手やクラブは、「何のためにやってきたんだ」との思いが強いだろう。それもこのタイミングでニュースが流れるのも志気を挫く要素だ。
それでなぜ賞金が出ないか。タバコ広告禁止によるものだ。
メインスポンサーがダンヒルからテレコム・マレーシアになったことにより、スポンサー収入がRM3000万(9億円)からRM800万(2億4千万円)に激減したことだ。
こんなこと端っから分かっていることなのになぁ。
ちなみに伊藤壇選手もMリーグのダンヒル・ロゴ入りのユニフォームにあこがれていたと言う。
ボクみたいに昔から住んでいる日本人にとってダンヒルがタバコとして幅を利かせていることとローカル・サッカーのスポンサーとして名が通っていることがマレーシアのイメージに深くつながっている。一般の人にはどうでもいいけども、ボクにとってダンヒル=サッカーであり、強いタバコをくゆらすマレーシア人という原風景にまでなっている。ダンヒルは一外国企業だけどなんだかマレーシアになじんでいるのだ。
マレーシアでバコ広告は02年のW杯からサッカー中継の冠スポンサーから撤退。それまでもタバコ製品自体のテレビCMはできなかったものの、ダンヒルやマイルドセブン、せーラムなどブランドイメージとしての広告は可能だった。タバコ広告の規制は、アブドゥーラ政権になってからどんどん進んでいる感じだ。
そして今年からMリーグ・スポンサー撤退。お金が足りなければ「寂しい」だけでは済まされない。エア・アジアがマンUにRM1千万使えるのなら、やっぱりローカル・サッカーも何とかしてもらいたいと思ってしまう。
サッカーだけではない。もう一人、スポンサーで泣いている優秀なマレーシア人スポーツ選手がいる。
アジア・パシフィック・ラリー選手権を制したこともあるアジア随一のラリードライバー、カラムジット・シンだ。今年は世界ラリー選手権(WRC)のプロダクション・カー部門にエントリーしているものの、スポンサー資金が足りず規定数のラリーに参戦できず、ペナルティーとして罰金を科されたと言う。
なんとも惜しい話ばかりの地元スポーツ界である。
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トニーコッティは現役のプレミアリーガーという
だけではなく、元イングランド代表という点でも
注目されていましたよね。
遠征先で同室のイスラム教徒選手が朝5時に
お祈りするのが、我慢できないとか、自分で
スパイクを磨かねばならないのが我慢できない、
といって辞めていった(という風聞が立った)
と記憶していますが、そのうわさに胸を痛めて
新聞社あてに書いた弁解の手紙が、直筆で掲載されていました。
その後、プレミアのレイチェスターに復帰し、
そのシーズンは7点ぐらいあげたように思います。
てなわけで、ちょっと親しみを感じています。
またどうでもいいこと長々書きました。
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アジケトさん、嬉しい話題を振ってくれました。
調べてみるとトニー・コッティがいたのは97年のことで、セランゴールは史上初のマレーシア杯とFA杯制覇を成し遂げているのですね。コッティはシーズン半ばで帰国、その代わりにアーソナルからクリストファー・キオミヤという選手をレンタルしていました。マレーシア杯決勝戦対パハン戦では、キオミヤが劇的なゴールを決めて1-0の勝利。
そのころのストライカーはアズマン・アドナン。アズマンのイメージは、そのままセランゴール黄金時代の記憶と結びついているようです。
それで今季の立役者は、インドネシア代表ストライカーのバンバン・パムンカスと昨季の得点王ブライアン・フューンテス(国籍は調査中)。この二人で60点の暴れよう。
黄金時代の始まりを予見させるセランゴールです。