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アジア太平洋映画祭 – アサ・ネギシのページ/Music Raja
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マレーシア・ライターの見聞録

アジア太平洋映画祭

 今年で50回の節目を迎えるアジア太平洋映画祭が9月28日から1日までクアラルンプールで開催された。今年は11カ国・地域から27本の長編、12本のドキュメンタリー、7本のアニメーションが出展された。
 日本からは『ビートキッズ』『電車男』『戦国自衛隊1549』の3作品。地元マレーシアからは歴史大作『プトゥリ・グヌン・レダン』、人気男優ロシャム・ノールが三部構成で三役に挑んだ『ギャングスター』、アフガニスタンを舞台にした『クエイシー&ライラ』などが参加した。
 映画賞の部門では、韓国の『TAE GUK GI』が最優秀作品賞、同作のカン・ジェギュ監督が最優秀監督賞を受賞した。また最優秀男優賞も『Family』に主演したジュー・ヒュンが受賞し、韓国映画界の好調さを印象付けた。
 地元マレーシアは、歴史大作『プトゥリ・グヌン・レダン』の主演女優ティアラ・ジャクリーナが最優秀女優賞を獲得。昨年の『ポンティアナ』のマヤ・カリムに次ぐマレーシア勢の連続受賞となった。また『クエイシー&ライラ』のアヨブ・イブラヒムが最優秀音楽賞、ドキュメンタリー部門で『プア』が最優秀作品賞を受賞し、地元開催に花を添えた。
 まぁ、ここまでがレポート。
 
 マレーシア映画界も大作然とした『プトゥリ・グヌン・レダン』や海外の映画祭で好評を得た『セペ』や『美しき洗濯機』などの作品が製作され、国際的注目度も上がってきた。
 ビジネスマン向けのウィズダムというサイトにも『21世紀に開花した多民族国家マレーシア映画』というタイトルの秀逸なレポートが掲載された。
 なかでもヤスミン・アーマッド監督の『セペ(Sepet)』は、マレーシア映画祭で6部門受賞し、一般受けもよかった作品だった。もちろんアジア太平洋映画祭にも出展するはずだった。
 ところが、一部の地元映画関係者が『セペ』を酷評した。酷評ならばいいのだが、ボクが聞いた限りはただの“難癖”なのである。要はイスラム教徒として「マレー系と中華系の恋愛なんか描くべきではない」と頭ごなしなのだ。
 これが表現者である映画関係者が言うことなのか。どう控えめな表現で感想を言わせてもらっても「物を作る資格がない連中」だと思う。マレーシアの検閲は東南アジア一厳しい。政治、宗教、民族など扱う題材に関してから宗教、道徳的な規範から外れた描写にいたる部分まで検閲当局から細かいチェックが入る。そういった環境で映画を作るのは大抵のことではない。
 仮にも映画を作っている人間が、宗教を持ち出して他人の作品を批判するのが悲しい。表現者が表現の自由を狭めているような行為で、自分の首を絞めているようなものだ。
 こんな難癖が渦巻いたこともあり、ヤスミン・アーマッド監督は『セペ』の出展を止めてしまった。
 華やかな祭典の裏にはこんな映画界の一幕があったことも記しておこう。

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4 Comments

  1. あっすぅ あっすぅ
    2005年10月7日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    こんにちは!更新いっぱいで安心しております*^^*
    Sepetの件は残念ですね。
    他のイスラム教国ではお目にかかることすらできないことが許されるのがマレーシアのステキなところだと思っているので・・・。
    ただ、「それはイスラム教徒でなければわからない感覚なんだ」って言われるともう何も言えなくなるのですが・・・。

  2. 2005年10月8日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.0; Mac_PowerPC)
    先ほどマレーメールで読んだんですが
    マヤカリム、昨年のアジア太平洋映画祭での受賞に続いて
    スペインのなんとかいう、ホラー映画祭でも
    主演女優賞を受賞したそうですね。
    この映画、スチル写真のいくつかを見る限り『駄作』の匂いが
    ぷんぷんしますが。。。ネギシさんの評価はいかに。

  3. アサ・ネギシ アサ・ネギシ
    2005年10月8日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; Hotbar 4.5.1.0; .NET CLR 1.0.3705)
     こんにちは。
     マヤ・カリムの受賞は昨年の『ポンティアナッ』ですか。
    http://aisa.ne.jp/musicraja/blog/index.php?eid=12
      
     こんなの(↑)昔書きました。
     確かにホラー映画としては目も当てられない出来ですが、この映画でのマヤ・カリムの物悲しい優美さはよかったですね。マレー系の感性には訴えるものはありました。でも、海外の映画祭でも評価されているということは興味深いですね。
     ボクは一編の悲劇の運命に翻弄された女の情念のドラマという感じで評価です。
     
     繰り返しますがホラーとしてではないですよ。

  4. 2005年10月8日    

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.0; Mac_PowerPC)
    ネギシさん どうもありがとうございました。
    なるほどねー。新聞などで見る稚拙なお化けメーク写真は
    ホラー映画としてのダメさだけを反映したものって理解します。
    でもほんとに最近のマレーシア映画トピックが多くていいですねー。

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