25人女性アーティストによる珠玉のマレー・メロディー佳曲を集めた決定版コンピ

　うー、この３カ月間、大きな仕事が平行して進行していて、心身ともにヘトヘトの状態だ。
　この虚脱感の隙間に耳と心に入り込んでくるメロディの話をしたいのだけれど、やっぱりこれが胸が張り裂けるほどの情熱が爆発するマレー泣きメロなのだ。
　
　間違ってもユナ（Yuna）の「Dan Sebenarnya」（気になる人は、こちらでも）とかじゃないのが、熱帯の灼熱の陽光と瀑布のような豪雨に激しい気性のマレーおネェちゃんにイカれているアサ・ネギシ証左であるが…。
　そんな話は、どうでもいいとして、情熱的で物悲しいマレー・メロディと感情移入命の歌唱といういつの時代でも手放さないマレー音楽がマレー音楽たる本質を堪能できるアルバムの紹介だ。
　

『Keunggulan Wanita』（SONY MUSIC）は、時代を飾った女性歌手の代表曲を集めたコンピレーション・アルバムである。本来、コンピ盤なんて、シロートのお試し盤と、ボクは手にしないのだけれども、本作には唸らされた。
　というのも、本作の2枚組25曲入りで、25アーティスト（デュエット曲参加アーティストも含む）の曲が収録されているからだ。当地では、コンピ盤というとレコード会社が同じアーティストのヒット曲を集めたというのが相場なのだが、本作はレコード会社の枠を超えた曲が集まっているのがミソ。ソニー・ミュージックだからBMGの音源があるのは当然だけど、EMIや独立系のレコード会社からも広く音源を集めていることに敬服。
　そして、集められたアーティストも幅広い世代なのも瞠目。
　ちょっと興奮の顔ぶれなので、以下、デビュー時期に分けて列記してみる。
＜80年代＞
アイシャ（Aishah)、Ella（エラ）、フランシスカ・ピーター（Fransisca Peter）、ラムラ・ラム（Ramlah Ram）、シーラ・マジッド（Sheila Majid）
＜90年代＞
エイミー・マストゥーラ（Amy Mastura）、カメリア（Cameria）、ダヤン・ヌルファイザ（Dayang Nurfaizah）、エラ・ファジーラ（Erra Fazira）、ファウジア・ラティフ（Fauziah Latiff）、ノラ（Nora）、ニン・バイズーラ（Ning Baizura）、サフラ（Safura）、シマ（Shima）、シティ・ヌルハリザ（Siti Nurhaliza）、シャフィナズ（Syafinaz）、ジアナ・ゼイン（Ziana Zain）
＜00年代＞
アズハリーナ（Azharina）、アビバ・ノール（Abibah Noor）、ディア・ファディラ（Dia Fadila）、ジャクリーン・ビクター（Jaclyn Victor）、ミシャ・オマール（Misha Omar）、シャリファ・ザリナ（Sharifah Zarina）、シティ・サラ（Siti Sarah）
＊デビュー順ではなく、アルファベット順で表記。収録曲は、必ずしも表記の年代ではありません。
　まぁ、眺めてもわからない人もいるだろうけど、だいたい選曲の妙なんて無縁なコンピ盤が多い当地（金儲けというか少しでも資金回収が目的）で、ちゃんと曲への愛着とアーティストへの尊敬が表れているのが嬉しい。
　まぁ、ちょっとこの曲は代表曲でもヒット曲でもないなぁ、という選曲もあるが（いちいち述べていると、私見が混ざって長くなるので）、時代を飾った佳曲揃いであることは保証しましょう。
　マレー・メロディーの叙情に身も心もどっぷり浸れる一作。
　アサ・ネギシとしては、入門編として本作でマレー音楽ファンが増えて欲しいところだけれども、あんまり激しい恋（特に失恋）をした直後の人は、魂まで奪われるので要注意。

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