9月に名門ロータスの復活支援という形で、フォーミュラ・ワン(F1)に参戦する1マレーシア・F1チーム(1Malaysia F1 Team)は、来年3月のシーズン開幕を目指し、着実に準備を進めている。
ちょっとニュースやF1ファンの楽しみでもあるストーブリーグ(噂レベル)の話を交えての駄文を。
参戦発表時には、チーム代表にメインスポンサーの格安航空会社エア・アジアを擁するチューン・グループのCEO、トニー・フェルナンデス氏とテクニカル・ディレクターにジョーダン、ルノー、トヨタで手腕を発揮したマイク・ガスコイン氏が就任する体制となることが明らかにされていた。
10月31日には、チームのCEOに国産自動車プロトン社の元ジェネラル・マネージャー、リアド・アーマッド氏の抜擢が発表された。リアド氏は、38歳という若さ。ロータスの親会社がプロトンということも大きいだろうが、小国のマレーシアがF1参戦する“夢のプロジェクト”を象徴する人事であることをアピールする側面も大きい。
また、今月5日には、マイク・ガスコイン氏と長く仕事をしたキース・サウント氏がチームのCOOに就任することが発表され、新チームを経験から支える人事も進んでいる。
さて、ロータスF1は、カンポス(スペイン)、US F1(米)、マノー(英)と来シーズン新規参入する4チームのうちのひとつ。そのなかでも、先般のトヨタ撤退のニュースの余波で予期しない注目度を上げているようなのだ。
まず、名門フェラーリによるF1の統括団体であるFIA(国際自動車協会)批判。
フェラーリは、昨年のホンダに続き、BMW、そしてトヨタという大手自動車メーカーが撤退し、入れ替わりに前述の新地チームが参戦する状況に危惧を表明。特にロータスF1は、「コリン・チャップマンやジム・クラーク、アイルトン・セナなどが思い浮かぶチームとは全く関係がない」と切って捨てている。
要するにフェラーリにしてみれば、「どこの者とも知れないチームが、F1というエリート・カテゴリーに入ってくること」が気に喰わないのだろう。でも、この問題は、FIAによる今年5月に来シーズンから4000万ポンドの予算制限を定める案で、F1分裂の危機にまで状況が悪化した時の話にさかのぼる。トヨタやBMWは、別のレースカテゴリーを結成するとFIAに脅しまでかけたチームにもかかわらず、経済危機でF1を放り出した態度に怒りを向けるべきである。
まぁ、その予算制限案騒動で、来シーズンから予算削減を促す動きで、ロータスをマレーシアが支援形の参戦が実現したのも本当だが…。
フェラーリに見下されたロータスであるが、トヨタの正ドライバー昇格当確という状況までいって、トヨタ撤退により、行き場を失った小林可夢偉が、ロータス入りを熱望していると伝えられている。また、ガスコイン氏は、経験あるドライバーを欲しがっており、一緒に仕事したことが長いヤルノ・トゥルリーのロータス入りが確実視されている。
もしこの元トヨタ・ペアーがロータスのドライバーとなれば、日本人ファンもどっさりと応援に回りそうだが…。しかし、もう引退して久しい元王者ジャック・ヴィルヌーヴの名前まで挙がっているので、ドライバー選びはまだまだ誰に落ち着くか読めない。
そうなるとマレーシアの悲願、ファイルズ・ファウジ(Fairuz Fauzi)は、テスト・ドライバーでスタートか。
それにしても周辺がにぎやかでファンには楽しいが、ちゃんとクルマを走らせて、マレーシアが笑い者にならないで欲しいと、願う。