16日は、マレーシア連邦の結成記念日(マレーシア・ディ)だ。
1957年に独立したマラヤは、1963年シンガポールと北ボルネオのサバ、サラワクを加え、現在のマレーシアが形成された。(シンガポールは、1965年8月10日に分離独立)
ナジブ・ラザック首相が就任し、新たな国民統合のスローガン「1・マレーシア」を提唱し、それまではサバ、サラワクの両州のみの祝日だった9月16日も国民の祝日になったのは、昨年のことである。
今年は、独立記念日(8月31日)が、マレー系最大の祭り、ハリラヤ・プアサと重なったため、マレーシア・ディが独立記念日の祝賀をかねた日になった。
その祝いのタイミングにナジブ首相が用意していたのは、大きな政治改革についての発言だった。
まず、大きな改革は、共産ゲリラとの内戦時に制定された国内治安法(ISA)の撤廃。法的手続きなしに容疑者の長期拘束(60日間)が可能だったISAは、これまで何度も見直しの声が上がっていたが、マハティール政権時には、テロリストの封じ込めに功を奏してきたこともあり、実現には至らなかった。しかし、アブドゥーラ前政権では、政治家の人種差別発言事件に際し、ジャーナリストなど民間人にも適用されたことが、政権への大きな非難につながり、アブドゥーラ首相の退任の遠因となった。
また、個人の表現と集会の自由、新聞の出版許可の年次更新制度の見直し、廃止も盛り込まれた。マハティール政権時代から続く国民が重苦しく感じる社会の雰囲気の根源にある法律である。
ただ、法律の名称が変わるだけで、制度は形を変えて残るのは、選挙対策の空約束だ。
特に表現の自由に関しては、何度も実質何も変わらない事態を経験している。
変革が民主主義と自由を前進させるのか、注意深く見守っていかなければならない。