最近、日本のメディアで「マレーシア」の活字が躍るのは、1週間後に控えたロンドン五輪男子サッカー・アジア地区第3次五輪予選のマレーシア−日本戦を扱ったスポーツ欄だ。
まぁ、通なサッカー・ファンがアジアの片隅の国の取りとめのない話を扱っている本欄(ブログ)を観ているとも思えないけれど、日本の対戦相手であるマレーシアU-23代表、ハリマオ・ムダの状況について。
日本代表はシリア線に破れ、「黄信号」的なトーンの記事が目立つ。主力組の故障離脱と欧州組の召集が進まないことなどが要因。マレーシア戦で勝つことだけでなく、どれだけ多く得点するかが課題となっている。
こういう状況でいくばくかマレーシア代表を知っているボクとしては、「そんなに簡単じゃないぞ!」と言いたいところなのだが、日本も楽観できる要因も多い。
5日に行われたアウェイでのバーレーン戦でハリマオ・ムダは、0-1とリードされて迎えた後半76分にアーマド・シャキール(Ahmad Shakir)による同点ゴール。このゴールを演出したのは、スロバキア・リーグFC ViOn Zlaté Moravce への期限付き移籍しているMFワン・ザック・ハイカル(Wan Zack Haikal Wan Noor)だった。
アウェイでの貴重な1ゴールを手にしたマレーシア、あと15分守りきれば、貴重な勝ち点1を獲得できるはずだった。しかし、再びホームでのバーレーン戦の悪夢が繰り返される。終了間際の88分、正面からの逆転ゴールで、再び悲願の五輪出場は長い眠り夢の続きとなってしまった。
また、さらに悪いことにチームで最高の動きを見せていたワン・ザック・ハイカルが、ロスタイムに主審に抗議したことでレッドカード。日本戦にのメンバーに名を連ねることはできなくなった。
こういう状況になったハリマオ・ムダの焦点は、9日に開幕したシンガポール・リーグ(Sリーグ)に移っている。ハリマオ・ムダは、今季からアルビレックス新潟やブルネイDPMM(このチームは、アジアサッカー渡世人、伊藤壇選手がレンタル移籍で所属していた)が加入しているシンガポール・リーグで常設チームとして参入している。ちなみにシンガポールのU-23チーム、ヤング・ライオンズもマレーシア・リーグに参戦している。
また、代表チームの強化の優先順位でも6月から始まる13年開催のU-22アジア選手権予選に移りつつある。この大会に向けたチームも当然ハリマオ・ムダが母体であり、監督もそのままオン・キムスィ(Ong Kim Swee)が就くことになり、日本戦は若手のテストの場になるだろう。
そういった事情で日本戦は、マレーシアにとって結果的に「負けてもいい理由」が揃った試合である。日本にとって不安材料は、このところ午後6時ぐらいから降り始める集中雨といったところだろうか。会場となるブキット・ジャリルにあるナショナル・スタジアムは、リーグ戦でも使用されており、以前よりも整備はされているようだ。
日本とマレーシアの総合力の差は、歴然としているのでマレーシアびいきのボクとしては、ちょっとでも日本代表を苦しめてほしいところだけれど。注目は、バーレーン戦から10番をつけている17歳のMFモハマド・ナズミ(Muhamad Nazmi Faiz Mansor)。このところ急成長している選手であり、なんとなく“マレーシアのカカ”と呼びたくなる存在。
気になる人は、彼のページをみてください。